健康回覧板 ~よむクスリ~

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化学物質による食中毒-カドミウム-

2008-07-14 18:57:40 | 食中毒に関するメモ
今日もまた暑い日でしたね~

さて、今日は化学物質による食中毒の2回目『カドミウム』です。
カドミウムはみなさんも一度は聞いたことのある物質ですよね!
よく充電池や防錆などのメッキに使われています。
カドミウムは、亜鉛や鉛の精錬時の副産物としてできるものです。
従って、その廃棄法をきちんとしなければ環境汚染として排出され、人への害を及ぼすものです。

【性状】
  原子記号が『Cd』、金属状態では青みを帯びた銀白色
 の柔らかい金属で、延性と展性にすぐれている。融点320.9
 ℃、沸点765℃である。
  有機カドミウム化合物は、有機水銀化合物より不安定で
 あり、環境汚染のカドミウム中毒には関与していない。

【毒性】
  経口摂取されたカドミウムは、5%程度の吸収率で消化
 管から吸収されます。しかしながら、この吸収率は食品中
 のカドミウムの化学形や食事をしたときの一緒に摂取した
 成分やpHなどに変わり、鉄、カルシウム、亜鉛、タンパ
 ク質の濃度が低いとカドミウムの吸収率は高くなります。
  カドミウムは、主に肝臓と腎臓に蓄積しやすい。肝臓や
 腎臓に移行したカドミウムはメタロチオネインという分子
 量6,500程度のシステインに富んだ金属結合タンパク質と
 強固に結合するため長く蓄積される一方、逆にメタロチオ
 ネインに捕獲されていることにより毒性が防御されている。
  しかし、このメタロチオネインは絶えず分解・再合成が
 行われているため、カドミウムが腎臓に過剰蓄積されると
 メタロチオネインの合成が間に合わなくなり、その結果フ
 リーのカドミウムが多く存在することで腎障害を引き起こ
 します。

【主な感染食品】
  海産物にカドミウムの濃度が高いものが多く、貝類や頭
 足類の内臓や改装で検出される。また極めて低い量ですが
 米においても検出されることがあります。

【感染後の症状】
  感染後の症状は、短期間に高濃度のカドミウムを摂取し
 た場合と、長期間にわたって微量摂取した場合とでは、そ
 の毒性は異なります。
  高濃度をカドミウムを短期間に摂取した急性中毒では、
 直後より嘔吐、腹痛、下痢などが見られるが、回復は速や
 かである。
  長期間にわたって微量摂取した慢性中毒では、その標的
 像基は腎臓であることから近位尿細管がもっとも影響を受
 けます。その結果症状として、多尿、アミノ酸尿、糖尿、
 蛋白尿が見られる。さらに腎障害が進行すると、糸球体や
 遠位尿細管の機能に影響を受ける。
  この尿細管機能異常の進行とともに栄養障害などが加わ
 ると、骨軟化症を呈し大腿痛、腰痛の症状が現れる。

【治療】
  カドミウムによる腎障害の治療法は、まずカドミウムの
 暴露を止めることが重要である。初期の段階で暴露を中止
 すれば、軽減することも可能であるが、その程度の症状で
 中止すれば改善するのかはまだ解明されていない。
  慢性中毒患者に対しては、キレート療法は全く使えずそ
 の治療法は未だ確立されていない。急性中毒においてカド
 ミウムがメタロチオネインと結合していない場合は、キレ
 ート療法によりカドミウムの排泄は可能である。

【予防対策】
  環境土壌汚染の防止による、カドミウムの水質や土壌へ
 の汚染を減らすことと、食品中のカドミウム濃度の基準を
 きちんと守って流通させることのみ


以上が、カドミウムによる食中毒についてですが、日本の中毒事件として最大規模のものが過去にありました
みなさんも学校で習ったことのある、富山県神通川流域で発生した『イタイタイ病』です。約200名ほどの認定患者を出す大事件で、慢性中毒症から始まり、次いで骨軟化症をおこし、さらにこれに妊娠、授乳、内分泌の変調、老化及び栄養源としてのカルシウム等の不足が誘因となって大規模化した事件でした

みなさんも何気なくものを捨てるといった行動には十分注意しましょう
自然環境を保護すると言うことは、自分たちの健康や生活を守ることになります
今一度環境について考えましょう

でわ。また。。。。。


参考:食中毒予防必携 第二版(日本食品衛生協会) より一部抜粋


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