渡辺姓の探検室

全国第五位の大姓 渡辺氏の歴史を探るブログです。

平家物語の渡辺綱3

2008-05-30 07:53:13 | 渡辺さんの祖渡辺綱
平家物語 剣の巻
《一条戻橋での鬼退治》③
これを持参しければ、源頼光おどろき給ひて、播磨なる晴明を呼びて問はれければ、「綱には七日のいとま賜はつて、仁王経を購読すべし」とぞ申しける。第六日になる夜、門をたたく者あり。「たれ」と問へば、「綱が養母、渡辺よりのぼりたる」とこたふ。この養母と申すは、綱がためには伯母なり。「人してはあしかりなん。」とて綱立ち寄りて言ひけるは、「七日の物忌にて候へば、いづくにも一夜の宿を借り給ひて、明日入らせ給ふべし」と言えば、母さめざめと泣き、「生まれしよりあらき風にもあてず、人だてし甲斐ありて、頼光の御内に『箕田源四』とだに言ひつれば、肩を並ぶる者なし。うれしきにつけても、恋しとのみ思へば、このごろはひとしほ夢見心もとなくてのぼりたるに、門をさへひらかざりし。かかる不孝の咎なれば、神明もまぼり給はじ。七日の祈誓よしなし。今よりは子ともたのむべからず。親と思ふなよ。」とかきくどき言ひければ、綱は道理にせめられて、「たとひ身はいかになるとも」とて、門をひらきて入れてげり ~(続く)

『平家物語 下 巻十一剣の巻下』新潮日本古典集成より

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平家物語の渡辺綱 2

2008-05-26 06:25:35 | 渡辺さんの祖渡辺綱
平家物語 剣の巻
《一条戻橋での鬼退治》②
女房申す様、「わが住む所は都のほか。おくり給はんや。」
「さん候」とこたへたければ、「わが行く所は愛宕山ぞ」とて、綱が髻(もとどり)ひつ掴んで、乾(西北)をさして飛んでいく。綱はちともさわかず、(源家の名刀)鬚切を抜きあはせ、「鬼の手切る」と思へば、(綱は)北野の社の回廊の上にぞ落ちにける。
髻につきたる手を取ってみれば、女房の姿にては雪の膚とおぼえしが、色黒く、毛かがまりて小縮みなり。~(続く)

『平家物語 下 巻十一剣の巻下』新潮日本古典集成より

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平家物語の渡辺綱

2008-05-21 16:36:47 | 渡辺さんの祖渡辺綱
平家物語 剣の巻
《一条戻橋での鬼退治》
源頼光の郎等に「渡辺の源四郎綱」という者あり。武蔵の国箕田といふ所にて生まれければ、「箕田の源四」と申しけり。頼光の使として一条大宮につかはしけるが、夜陰におよび馬に乗り「おそろしき世の中なれば」とて(綱に源家名刀の)鬚切を帯かせらる。
一条堀川の戻橋にて、齢二十あまりの女房の、まことにきよげなるが、紅梅の薄衣の袖ごめに法華経持ち、懸帯してまぼりかけ、ただ一人行きけるが、綱がうち過ぐるを見て、(女房が)「夜ふけ、おそろしきに、送り給ひなんや」となつかしげに言ひければ、綱、馬より飛んでおり、「子細にやおよび候ふべき」とて、いだいて馬に乗せ、わが身も後輪にむずと乗り、堀川の東を南へ行きけるに、~(続く)

『平家物語 下 巻十一剣の巻下』新潮日本古典集成より

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一条戻橋

2008-05-20 07:13:40 | 渡辺さんの祖渡辺綱
安倍晴明を祀る晴明神社の近くに、一条戻橋があります。堀川通り沿いで「一条戻橋」というバス亭もあるので、すぐ分かります。

《一条戻橋(いちじょうもどりばし)》
所在地 京都市上京区堀川通
一条通の堀川(小さい川です)に架けられた橋です。現在の橋は平成7年に架けられたもので、晴明神社には古い一条戻橋(大正11年建設)の復元橋があります。ちなみに、一条通は平安京の一番北の通りです。
戻橋の伝説で有名なのが、『平家物語』にある渡辺綱が鬼の腕を切り落とした逸話ですね。
それによると、「渡辺綱が夜中に戻橋を通りかかると、橋のたもとに美しい女性がいて、その女は夜も更けたので家まで送ってほしいと頼みました。綱は怪しいと思いながらも、馬に乗せてあげました。すると女は鬼に姿を変え、綱に襲いかかりました。綱は鬼の腕を太刀で切り落として逃げました。鬼の腕は摂津国渡辺(大阪市中央区)の屋敷に置かれていたが、綱の義母に化けた鬼が取り戻しました。」
なんとも、恐ろしい話ですね。今では、夜更けでも明るい所ですが・・・

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今昔物語集 の源宛(充)5

2008-05-19 07:12:58 | 渡辺さんの由来
今昔物語集 巻第二十五 第三
《源充(宛)と平良文の合戦せる語》⑤
互の郎等共、各主共の馳組て射合けるを見ては、「今や被射落る、今や被射落る」と肝を砕て心を迷して中々我等が射合て生も死もせむよりは難堪く怖しく思けるに、此く射さして返れば、怪しみ思けるに、此の事を聞てぞ皆喜び合へりける。
昔の兵此く有ける。
其後よりは、充も良文も互に仲良くて、露隔つる心無く思ひ通はしてぞ過けるとなむ伝へ語りたるとや。

『今昔物語集 本朝部(中)』岩波文庫より

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今昔物語集の源宛(充)4

2008-05-18 15:18:17 | 渡辺さんの由来
今昔物語集 巻第二十五 第三
《源充(宛)と平良文の合戦せる語》④
亦馬を取て返して亦矢を番て走らせ合う時に、良文、充に云く、「互に射る所の矢皆□る矢共に非ず、悉く最も中を射る矢也。然れば共に手品は皆見へぬ。つたなき事無し。而るに、此れ昔よりの伝はり敵にも非ず。今は此て止なむ。只挑計の事也。互に強に殺さむと可思きに非ず」と。
充此れを聞て云く、「我も然なむ思ふ。実に互に手品は見つ。止なむ、吉き事也。然は引て返なむ」と云て、各軍を引て去りぬ。~(続く)

『今昔物語集 本朝部(中)』岩波文庫より

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今昔物語集の源充(宛)3

2008-05-17 09:13:44 | 渡辺さんの由来
今昔物語集 巻第二十五 第三
《源充(宛)と平良文の合戦せる語》③
充此れを聞きて、「我れも然思給ふる事也。速に罷り出ず」と云せて、充楯を離て只一騎出来て、雁股を番(つがい)て立てリ。良文も此の返事を聞て喜て郎等を止めて云く、「只我れ一人、手の限り射組まむと為る也。尊達、只任せて見よ。然て我被射落なば、其時に取て可葬き也」と云て、楯の内より只一騎歩かし出ぬ。
然て雁股を番て走らせ合む。互に先づ射させつ。次の矢にたしかに射取らむと思て、各の弓を引て矢を放つて馳せ違ふ。各走せ過ぬれば、亦各馬を取て返す。
亦弓を引て矢を不放して馳せ違ふ。各走せ過ぬれば亦馬を取て返す。亦弓を引て押宛つ。良文、充が最中に矢を押宛てて射るに、充馬より落る様にして矢に違へば、太刀の股寄に当ぬ。充、亦取て返して良文が最中に押宛て射るに、良文矢に違て身を□る時に、腰宛に射立てつ。~(続く)

『今昔物語集 本朝部(中)』岩波文庫より

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今昔物語集の源宛(充) 2

2008-05-16 08:57:19 | 渡辺さんの由来
今昔物語集 巻第二十五 第三
《源充(宛)と平良文の合戦せる語》②
既に其契の日に成ぬれば、各軍を発して、此く云ふ野に巳(午前10時ころ)の時計に打立ぬ(対陣する)。各五六百人許の軍有り。皆身を棄て命を顧みずして、心を励ます間、一町計を隔て楯を突き渡したり。各兵を出して牒(開戦を告げる文書)を通はす。其兵の返る時に定れる事にて矢を射掛けるなり。其れに馬を不□ず、見返らずして静かに返るを以て猛き事にはしける也。
然て其後に各楯を寄せて、今は射組なむと為る程に、良文が方より充が方に云はする様に「今日の合戦は各軍を以て射組せば、其の興不侍ら(面白くない)。只君と我とが各の手品(腕前)を知らむと也。然れば方々の軍を不令射組して、只二人走らせ合て手の限り射と思ふは何が思す」と。~(続く)

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『今昔物語集 本朝部(中)』岩波文庫より

今昔物語集の源宛(充)

2008-05-08 09:59:20 | 渡辺さんの由来
今昔物語集 巻第二十五 第三
《源充(宛)と平良文の合戦せる語》①
今昔、東国に源充・平良文と云二人の兵有りけり。充が字をば箕田の源二と云、良文が字をば村岳(むらおか)の五郎とぞ云ける。
此の二人、兵の道を挑ける程に、互に中悪しく成にけり。二人が云事を互に中言(誹謗中傷)する郎等(家来)有て、云令聞ける様、「充は良文を『其の尊は我に可挑き事かは。何事に付ても手向へしてむや。穴糸惜』となむ云」と良文に告ぐ。
良文此を聞て「『我をば然は否不云じ物を。手の聞む方も思量も、其の尊の有様、皆な知たり。実に然か思はば、可然からむ野に出会へ』となむ云ふ」と充に告ぐれば、魂太く心賢き兵也と云へども、人の云ひ腹立て合すれば、共に大きに怒を成して、「『此く云てのみかは可有き。然らば日を契て可然らむ広き野に出会て互に問』となむ云」と云ひ聞せければ、「其の日と契て野に出会む」と消息(果たし状)を通はしつ。其の後は各軍を調へて戦はむ事を営む。~(続く)

『今昔物語集 本朝部(中)』岩波文庫より

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