チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

シベリウスのフリーメイソンの音楽と「フィンランディア」の歌詞が別のバージョン

2015-02-19 20:04:45 | メモ

シベリウスの「タピオラ」の作品番号は112です。では、その次の113は何でしょう?即答できる人はかなりの「シベリウシアン」に違いないです。

オルガンとテノールのための「フリーメイソンの儀式音楽」。(113の下2桁、13はフリーメイソンが好む数字らしいです。)

自分はこのことを『フリーメイソンと大音楽家たち』(吉田進著、国書刊行会)という本を読んで初めて知りました。

フリーメイソンというと作曲家ではモーツァルトが有名です。そしてシベリウスもまたメイソンだったということをこの本で知り、シベリウス・ファンとしては正直ちょっとショックでした。

なぜかというと「秘密結社」という言葉に排他的な、アブなく悪いイメージを持っているからなんですが、この著作をじっくり読むとそんなに変な組織じゃないことがわかり(本心としては全くわからないけど)自分を安心させた次第です。

無理やり気を取り直したところで、この作品113を初めて全曲を通してNMLで聴いてみました。12曲で30分ちょっと。

↑BIS-1977。指揮者・作曲家クーシスト(Jaakko Kuusisto, b. 1974)によるテノールとオーケストラ編曲版も入っています。でもそんなことに関係なく絶対買わない種類のCD。

No. 1. Avaushymni (Opening Hymn):儀式開会のための曲。(これは結構イイ!)
No. 2. Suloinen aate (Thoughts be our Comfort):シラーの詩による。地上の闇を一掃する天上の光を祈願する。
No. 3. Kulkue ja Hymni (Procession and Hymn): Naatko kuinka hennon yrtin (Though Young Leaves Be Green):孔子の言葉「時間の進行と死は免れ得ないが、賢者は心の中に慰めと希望を見出す」
No. 4. Hymni (Hymn): Ken kyynelin (Who Ne'er Hath Blent His Bread with Tears):ゲーテの詩による。「苦しみ悲しむばかりで、希望と慰めを見出さぬ者は、天上の光を知らぬのだ。」
No. 5. On kaunis maa (How Fair Are Earth and Living):フィンランドのメイソン詩人による。地上と天上を讃える。
No. 6. Salem:スウェーデンのメイソン詩人による。「進もう、兄弟たちよ。光へ向かって。」
No. 7. Hymni (Hymn): Kella kaipuu rinnassansa (Whosoever Hath a Love):スウェーデンのメイソン詩人による。「心の奥底で正義を愛する者は、魂に幸福の萌芽を持つ」
No. 8. Veljesvirsi (Ode to Fraternity):フィンランドのメイソン詩人による、兄弟愛の恩恵の歌。
No. 9. Ylistyshymni (Hymn):フィンランドのメイソン詩人による、感謝の歌。
No. 10. Marche funebre (Funeral March):葬送行進曲。
No. 11. Suur' olet, Herra (Ode):フィンランドのメイソン詩人による。
No. 12. Finlandia-hymni (Finlandia Hymn):男声合唱によるフィンランディア

(曲目と解説は、同著372~373ページ+ナクソス・ミュージック・ライブラリーより引用)



。。。前触れなしにいきなり聴かされたら誰の作曲だかわからないような、全体的には「2度目はもう結構です」的な大変マジメな音楽でした。

しかしながら、最後の12番が有名な「フィンランディア賛歌(変イ長調)」なのには多少のビビりをいただきました。

しかもコスケンニエミ作の歌詞と違う!

シベリウスのメイソン仲間の歌手、ヴァイノ・ソラ(Wäinö Sola, 1883-1961)による詩だそうです。「主よ、夜明けごとに日を甦らせたもう汝の恵みが、我々の国に行き渡りますように」。。こっちの歌詞で歌う日本の合唱団があったらかなりマニアックですね。フリーメイソンは女子禁制だから男声合唱にならざるを得ないし(?)、聴くお客さんからしたらどっちでもいいんでしょうけど。

ちなみにこの本を信じればシベリウスがフリーメイソンに入団したのは1922年8月18日に新生フィンランドのロッジ(支部みたいなもん?)である「スオミNo. 1」が結成された時だということです。当初はお付き合いというか、受身だったシベリウスも次第に熱心に参加するようになり、ロッジのオルガン奏者を引き受けたりしたそうです。

入団後の作品である第7交響曲(作品105、1924年)、タピオラ(作品112、1926年)等「シベリウスの作品とフリーメイソンの関係が、さらに明らかにされることが望まれる」とありますが(自分は望まない~)、これらの曲にメイソンとの関係が暗号化されていたり?