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Foreign Media Analyst in Japan

日本のメディアで海外情報が載らない日はない。海外情報の正確性、専門性や最新性をめざし、独自の収集、解析、翻訳にチャレンジ

電子出版におけるプライバシー保護および電子図書館での保護の具体的取組みの日米比較(その1)

2016-08-26 01:05:25 | 信頼性の高い情報とは

 筆者は、たまたま米国の人権擁護団体であるEFF(Electronic Frontier Foundation)のサイトで、主要電子出版社のプライバシー保護内容の比較を行った結果を一覧にしたもの(2012年版)を読んだ。 

 他方、わが国の公立図書館の電子図書館への取り組みの例として、千代田区図書館は2007年11月にインターネットを活用した日本初のインターネットを使用して電子図書の貸出返却が可能な国内サービスとして千代田Web図書館サービスを開始したという記事を読んだ。

 また、同図書館は「千代田Web図書館は、インターネット上で電子書籍の貸出・返却ができるサービスです。・・このページでは、現在所蔵している約7,500タイトルのコンテンツ(電子書籍)の中から、代表的なコンテンツをリストで紹介しますので、ぜひお試しください。」と謳っている。 

 ところが、千代田区立図書館サイトを見ても、横浜市立図書館の「個人情報保護に関する方針(プライバシー・ポリシー)」のような「プライバシー・ポリシー」が見当たらない。 

 そのような状況下で、筆者はわが国の国立国会図書館サイトで「米国図書館協会(American Library Association:ALA)がデジタル環境下での利用者のプライバシー保護を目的とした4つのプラーバシー・ガイドラインを公表」したというの記事を読んだ。 

 今回のブログは、第一に米電子出版社のプライバシー保護内容の比較を行い、第二にALAのプライバシー保護にかかるガイドラインの内容を検証した。特にALAのガイドランはIT化が進んだ米国の図書館サービスの実態に即した内容であり、他方わが国の国会図書館も翻訳する予定が見えないことから、先行して仮訳したものである。なお、ALAのガイドラインに内容は決して平易なものではない。筆者なりにIT分野の注記を加えたが、専門家による補記を期待する。

  なお、今回のブログは2回に分ける。

1.EFFが独自に行った主要電子出版社のプライバシー保護内容の比較

 2012年版ではあるが、EFFが独自に主要電子出版社のプライバシー保護内容の比較を行った結果を一覧にしたもの( 「EFF「E-Reader Privacy Chart, 2012 Edition 」)を公表している。

 米国の以下の主要電子出版社9社につき、Q1~Q7の各項目につき比較を行っている。 

(1)調査対象の出版社

「Google Books」

「Amazon Kindle」

「Barnes & Noble Nook」

「Kobo」

「Sony」8/22(26)  (note1)

「OverDrive」

「IndieBound」

「Internet Archive」

「Adobe Content Server」 

(2)質問事項

 以下の質問事項につき「Yes 」, 「No」,「Unclear」という回答ならびに簡単な補足説明がある。 

Q1:ユーザーの電子書籍の検索内容を追跡しているか? 

Q2:ユーザーが書籍購入後に、何を読んだり、どのように読んだかにつきモニタリングしたり、またその情報を読者に還元すべくリンクをはっているか? 

 Q3:端末に関し、提携する電子書籍ストアーから買わないことにつきどのような互換性を持っているか? 

Q4:書籍の購入記録を保持しているか?電子書籍以外の購入や取得につき追跡しているか? 

Q5:非統合の様式で集めるた個人情報を誰と共有しているか? 

Q6:顧客に対し、個人情報へのアクセス、収集および削除につきいかなるメカニズムを用意しているか? 

Q7:顧客の同意なし自社以外と顧客情報を共有しうるか? 

2.アリゾナ州の例で見る電子書籍のE-booksも含むライブラリアンに対するプライバシー保護義務や罰則規定 

 アリゾナ州「41-151.22. Privacy of user records; violation; classification; definition」の例で見てみた。わが国においても電子書籍の閲覧が公共図書館等でも開放されるること広く行われていることから、保護ルールの明確化の検討が喫緊に取り組むべき時期に入っていると考える。 

 なお、アリゾナ州では違反者に対し、次の刑罰が科される。

・Sentencing Range for Class 3 Misdemeanor Offensesクラス3の軽犯罪 

・Maximum Probation:最高1年の執行猶予 

・Maximum Jail:最高30日の拘禁刑 

・Maximum Fine for a Person個人の違反行為:500ドル(約5万円)+課徴金(surcharges) 

・Maximum Fine for an Enterprise法人の違反行為:2,000ドル(約20万円)+課徴金 

3.わが国の電子書籍会社のプライバシー・ポリシーに見る顧客情報の取扱い

  2社の例で、内容を見ておく。 

電子書籍「ADTHREE」のプライバシー・ポリシー

 次に挙げるソニーの利用規約の内容と比較されたい。Sonyの米国等法人は2014年に顧客をKoboに引き継いだが、やはり米国並みのプライバシーポリシーや利用規約の内容を持っていると考えざるを得ない。 

「株式会社 アドスリーは、 個人情報保護の重要性に鑑み、「個人情報の保護に関する法律」及び本プライバシーポリシーを遵守し、お客さまのプライバシー保護に努めます。  

個人情報の定義

お客さま個人に関する情報(以下「個人情報」といいます)であって、お客さまのお名前、住所、電話番号など当該お客さま個人を識別することができる情報をさします。他の情報と組み合わせて照合することにより個人を識別することができる情報も含まれます。」 

 ・・・これだけである。 

②ソニーJP「Reader™ Storeサービス利用規約」から一部抜粋 

第5章:ご利用者の情報の取り扱い 

第27条(本サービス収集情報の取り扱い)

1.当社は、本サービスにもとづく取引を通じてご利用者から収集した、クレジットカード情報、メールアドレス、コミュニケーション機能利用時のユーザー名その他個人を識別または特定できる情報(以下「本サービス個人情報」といいます)および取引情報(ご利用者のコンテンツの購入履歴、本サービスのご利用状況、クッキーを利用して収集する本ウェブサイトの閲覧履歴等に関する情報を含む)を、本サービスを提供する目的、ご利用者に対して、当社ならびにソニー株式会社およびその子会社のコンテンツやサービスを紹介する目的、およびご利用者の属性(年齢、住所など)ごとに分類された統計的資料を作成する目的のために利用させていただきます。

また、当社は、潜在的な情報セキュリティ上の脅威を特定し、かかる脅威からお客様および当社を保護する目的で、当社が必要と判断する分析を実施するために、本サービス個人情報を利用することがあります。 

2.当社は、以下のいずれかに該当する場合を除き、本サービス個人情報を第三者に開示いたしません。尚、第1号、第2号および第6号に基づく開示にあたっては、開示先に対して、本サービス個人情報を厳重な管理体制のもとで保持させかつ他の第三者への開示または当社が承認した目的以外の利用は行わせないようにします。 

(1) ご利用者に本サービスを提供するうえで必要となる業務委託先に開示する場合

(2) 前項に定める利用目的のために、ソニーグループ会社に開示する場合

(3) ご利用者が事前に承諾された場合

(4) 法令により開示が要求される場合

(5) 当社、ご利用者または第三者の権利または財産を保護するために開示する必要がある場合

(6) クレジットカードの第三者による不正使用を防止するために、クレジットカード会社からの要請に応じて当該クレジットカード会社に開示する場合(当該クレジットカード会社からクレジットカードを発行している会社に対して再開示する場合を含みます)

(7) 合併、会社分割、事業譲渡その他の事業承継の場合 

3.当社は、本サービス個人情報を、厳重な管理体制のもとで管理、保管し、上記に定める場合以外で、本サービス個人情報が第三者に漏洩することのないように、合理的な範囲内でセキュリティの強化に努めます。

4.本サービス個人情報については、「購入履歴確認」のウェブページより検索・照会いただけます。なお、ご利用者が当該ウェブサイトを利用できない場合、第38条(お問い合わせ先)に定めるお客様窓口(以下「お客様窓口」といいます)宛てにご連絡ください。当社は、可能な限り対処するものとします。

5.ご利用者が当社による本サービス個人情報の利用目的の通知、開示、内容の訂正、追加または削除、利用の全部または一部の停止、消去または第三者への提供の停止その他の対応を希望される場合には、お客様窓口宛てにご連絡ください。当社は、可能な限り対処するものとします。

6.ご利用者が、個人情報をご提供されない場合、利用目的に基づくご利用者への本サービスの提供その他ご案内等が行えないことがあります。 

 第28条(My Sony IDご登録情報の取り扱い)

1.当社は、本サービスの提供にあたり、ご利用者がMy Sony IDにご登録いただいた情報を利用いたします。当該情報のうち、個人を識別または特定できる情報については、ソニーマーケティング株式会社が別途定めるMy Sony ID利用規約「第5章個人情報の取り扱い」の第27条(共同利用)(こちらの内容をご確認願います)その他の規定に従い、適切に管理のうえ、共同利用いたします。なお、この場合、My Sony ID利用規約「第5章個人情報の取り扱い」の各条項における「ソニー製品等」の用語は、本規約にて定義する「本サービス」を意味します。

 前項に定めるほか、当社は、前条第1項に定めるご利用者の属性(年齢、住所など)ごとに分類された統計的資料を作成する際に、本サービス個人情報とMy Sony IDにご登録いただいている情報とを参照することがございます。 

*************************************************:

(note1)EFFが調査したのが2012年でありSonyをとりあげていたが、その後、米国やカナダに展開していたSony Reader Store はカナダのトロントに本社を置くKoboに顧客を引き継いだ。

*************************************************

Copyright © 2006-2016 平野龍冶(Ryuji Hirano)All rights reserved. No part of this publication may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted in any form or by any means, including electronic, mechanical, photocopying, recording, or otherwise, without prior written permission of the author.


電子出版におけるプラーバシー保護および電子図書館での保護の具体的取組みの日米比較

2016-08-25 18:59:08 | 信頼性の高い情報とは

 

 筆者は、たまたま米国の人権擁護団体であるEFF(Electronic Frontier Foundation)のサイトで、主要電子出版社のプライバシー保護内容の比較を行った結果を一覧にしたもの(2012年版)を読んだ。 

 他方、わが国の公立図書館の電子図書館への取り組みの例として、千代田区図書館は2007年11月に千代田区立図書館ではインターネットを活用した日本初のインターネットを使用して電子図書を貸出返却が可能な国内サービスとして千代田Web図書館サービスを開始したという記事を読んだ。

 また、同図書館は「千代田Web図書館は、インターネット上で電子書籍の貸出・返却ができるサービスです。・・このページでは、現在所蔵している約7,500タイトルのコンテンツ(電子書籍)の中から、代表的なコンテンツをリストで紹介しますので、ぜひお試しください。」と謳っている。 

 ところが、千代田区立図書館サイトを見ても、横浜市立図書館の「個人情報保護に関する方針(プライバシー・ポリシー)」のような「プライバシー・ポリシー」が見当たらない。 

 そのような状況下で、筆者はわが国の国立国会図書館サイトで「米国図書館協会(American Library Association:ALA)がデジタル環境下での利用者のプライバシー保護を目的とした4つのプラーバシー・ガイドラインを公表」したというの記事を読んだ。 

 今回のブログは、第一に米電子出版社のプライバシー保護内容の比較を行い、、第二にALAのプライバシー保護にかかるガイドラインの内容を検証した。特にALAのガイドランはIT化が進んだ米国の図書館サービスの実態に即した内容であり、他方わが国の国会図書館も翻訳する予定が見えないことから先行して仮訳したものである。なお、ALAのガイドラインに内容は決して平易なものではない。筆者なりにIT分野の注記を加えたが、専門家による補記を期待する。

  なお、今回のブログは2回に分ける。 

1.EFFが独自に行った主要電子出版社のプライバシー保護内容の比較

 2012年版ではあるが、EFFが独自に主要電子出版社のプライバシー保護内容の比較を行った結果を一覧にしたもの(EFF「E-Reader Privacy Chart, 2012 Edition 」を公表している。

 米国の以下の主要電子出版社9社につき、Q1~Q7として比較を行っている。 

(1)調査対象の出版社

①「Google Books」

「Amazon Kindle」

「Barnes & Noble Nook」

④「Kobo」

「Sony」8/22(26) (note1)

「OverDrive」

「IndieBound」

⑧「Internet Archive」

「Adobe Content Server」 

(2)質問事項

 以下の質問事項につき「Yes 」, 「No」,「Unclear」という回答ならびに簡単な補足説明がある。 

Q1:ユーザーの電子書籍の検索内容を追跡しているか? 

Q2:ユーザーが書籍購入後に、何を読んだり、どのように読んだかにつきモニタリングしたり、またその情報を読者に還元すべくリンクをはっているか?  

Q3:端末に関し、提携する電子書籍ストアーから買わないことにつきどのような互換性を持っているか? 

Q4:書籍の購入記録を保持しているか?電子書籍以外の購入や取得につき追跡しているか? 

Q5:非統合の様式で集めるた個人情報を誰と共有しているか? 

Q6:顧客に対し、個人情報へのアクセス、収集および削除につきいかなるメカニズムを用意しているか? 

Q7:顧客の同意なし自社以外と顧客情報を共有しうるか? 

2.アリゾナ州の例で電子書籍のE-booksも含むライブラリアンに対するプライバシー保護義務や罰則規定 

 アリゾナ州「41-151.22. Privacy of user records; violation; classification; definition」の例で見てみた。わが国においても電子書籍の閲覧が公共図書館等でも開放されるること広く行われていることから、保護ルールの明確化の検討 が喫緊に取り組むべき時期に入っていると考える。 

 なお、アリゾナ州では違反者に対し、次の刑罰が科される。

・Sentencing Range for Class 3 Misdemeanor Offensesクラス3の軽犯罪 

・Maximum Probation:最高1年の執行猶予 

・Maximum Jail:最高30日の拘禁刑 

・Maximum Fine for a Person個人の違反行為:500ドル(約5万円)+課徴金(surcharges) 

・Maximum Fine for an Enterprise法人の違反行為:2,000ドル(約20万円)+課徴金 

3.わが国の電子書籍会社のプライバシー・ポリシーに見る顧客情報の取扱い 

 2社の例で、内容を見ておく。 

①電子書籍「ADTHREE」のプライバシー・ポリシー

 次に挙げるソニーの利用規約の内容と比較されたい。Sonyの米国等法人は2014年に顧客をKoboに引き継いだが、やはり米国並みのプライバシーポリシーや利用規約の内容を持っていると考えざるを得ない。 

「株式会社 アドスリーは、 個人情報保護の重要性に鑑み、「個人情報の保護に関する法律」及び本プライバシーポリシーを遵守し、お客さまのプライバシー保護に努めます。  

個人情報の定義

お客さま個人に関する情報(以下「個人情報」といいます)であって、お客さまのお名前、住所、電話番号など当該お客さま個人を識別することができる情報をさします。他の情報と組み合わせて照合することにより個人を識別することができる情報も含まれます。」

  ・・・これだけである。 

②ソニーJP「Reader™ Storeサービス利用規約」から一部抜粋 

第5章:ご利用者の情報の取り扱い 

第27条(本サービス収集情報の取り扱い)

1.当社は、本サービスにもとづく取引を通じてご利用者から収集した、クレジットカード情報、メールアドレス、コミュニケーション機能利用時のユーザー名その他個人を識別または特定できる情報(以下「本サービス個人情報」といいます)および取引情報(ご利用者のコンテンツの購入履歴、本サービスのご利用状況、クッキーを利用して収集する本ウェブサイトの閲覧履歴等に関する情報を含む)を、本サービスを提供する目的、ご利用者に対して、当社ならびにソニー株式会社およびその子会社のコンテンツやサービスを紹介する目的、およびご利用者の属性(年齢、住所など)ごとに分類された統計的資料を作成する目的のために利用させていただきます。

また、当社は、潜在的な情報セキュリティ上の脅威を特定し、かかる脅威からお客様および当社を保護する目的で、当社が必要と判断する分析を実施するために、本サービス個人情報を利用することがあります。 

2.当社は、以下のいずれかに該当する場合を除き、本サービス個人情報を第三者に開示いたしません。尚、第1号、第2号および第6号に基づく開示にあたっては、開示先に対して、本サービス個人情報を厳重な管理体制のもとで保持させかつ他の第三者への開示または当社が承認した目的以外の利用は行わせないようにします。 

(1) ご利用者に本サービスを提供するうえで必要となる業務委託先に開示する場合

(2) 前項に定める利用目的のために、ソニーグループ会社に開示する場合

(3) ご利用者が事前に承諾された場合

(4) 法令により開示が要求される場合

(5) 当社、ご利用者または第三者の権利または財産を保護するために開示する必要がある場合

(6) クレジットカードの第三者による不正使用を防止するために、クレジットカード会社からの要請に応じて当該クレジットカード会社に開示する場合(当該クレジットカード会社からクレジットカードを発行している会社に対して再開示する場合を含みます)

(7) 合併、会社分割、事業譲渡その他の事業承継の場合 

3.当社は、本サービス個人情報を、厳重な管理体制のもとで管理、保管し、上記に定める場合以外で、本サービス個人情報が第三者に漏洩することのないように、合理的な範囲内でセキュリティの強化に努めます。

4.本サービス個人情報については、「購入履歴確認」のウェブページより検索・照会いただけます。なお、ご利用者が当該ウェブサイトを利用できない場合、第38条(お問い合わせ先)に定めるお客様窓口(以下「お客様窓口」といいます)宛てにご連絡ください。当社は、可能な限り対処するものとします。

5.ご利用者が当社による本サービス個人情報の利用目的の通知、開示、内容の訂正、追加または削除、利用の全部または一部の停止、消去または第三者への提供の停止その他の対応を希望される場合には、お客様窓口宛てにご連絡ください。当社は、可能な限り対処するものとします。

6.ご利用者が、個人情報をご提供されない場合、利用目的に基づくご利用者への本サービスの提供その他ご案内等が行えないことがあります。 

 第28条(My Sony IDご登録情報の取り扱い)1.当社は、本サービスの提供にあたり、ご利用者がMy Sony IDにご登録いただいた情報を利用いたします。当該情報のうち、個人を識別または特定できる情報については、ソニーマーケティング株式会社が別途定めるMy Sony ID利用規約「第5章個人情報の取り扱い」の第27条(共同利用)(こちらの内容をご確認願います)その他の規定に従い、適切に管理のうえ、共同利用いたします。なお、この場合、My Sony ID利用規約「第5章個人情報の取り扱い」の各条項における「ソニー製品等」の用語は、本規約にて定義する「本サービス」を意味します。

 前項に定めるほか、当社は、前条第1項に定めるご利用者の属性(年齢、住所など)ごとに分類された統計的資料を作成する際に、本サービス個人情報とMy Sony IDにご登録いただいている情報とを参照することがございます。 

 

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(note1)EFFが調査したのが2012年でありSonyをとりあげていたが、その後、米国やカナダに展開していたSony Reader Storeはカナダのトロントに本社を置くKoboに顧客を引き継いだ。 

(note2) Laptop Checkout:図書館のラップトップ端末の貸し出しの返却手続きである

サンフランシスコ州立大学の図書館(J.Paul Reonard )の例で見ておく。貸し出し期間は4時間から最長で28日間である。また期限間までに返却しないときは罰金が課されるのが一般のようである。

 (note3) わが国の日本図書館協会の1980.6.4総会決議「図書館員の倫理綱領」参照。なお、米国図書館協会の「図書館員の倫理綱領(Code of Ethics of the American Library Association)」もあわせ参照されたい。

 (note4)合衆国憲法修正第一(1791年成立)の訳文を引用しておく。 

「政教分離原則,信教・表現の自由」:合衆国議会は、国教を制定する法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律、または言論・出版の自由もしくは人民が平穏に集会して不満の解消を求めて政府に請願する権利を奪う法律を制定してはならない。

「図書館の自由」とは、言論の自由にあたると解されている。(筆者の補足) 

(note5) 米国の人権擁護団体や大学図書館協会などの多くが、2001年パトリオット法に基づくNSLが大学図書館活動等にも大きな影を落としていると指摘する。

 この「国家の安全保障にかかる提供強制通知(National security letters:NSL) 」は、ISPや通信会社等の通知の受取人が保有・管理する情報を、連邦捜査官に提供することを強要するために通知される行政処分をいう。

 米国パトリオット法(U.S.Patriot Act)によって認可されるもので、受取人につき通知の内容や指示を議論することを禁ずる報道禁止令を含む。この通知は裁判官の認可を必要としないが、限られた範囲での司法審査を受ける。これらの通知は、連邦捜査局やその他の連邦機関によって使用される。(米国法律用語辞典(U.S.Legal)の解説)

 米国の人権擁護団体であるEFFの次の説明も参考になろう。

「USA PATRIOT法によって拡大されたすべての危険な政府監視力強化のうち、PATRIOT第505条によって拡大されたU.S.C第18編.§2709 (Counterintelligence access to telephone toll and transactional records)の下で国家安全保障にかかる強制的情報提供通知(NSL)の権限は、国民をもっともこわがらせまた人権を侵す1つである。

 これらの通知は、電話会社やISP等の通信サービスプロバイダーに向けて発せられ、そしてFBIに対し、いかなる監視や事前の司法審査なしで普通のアメリカ市民の個人的な通信やインターネット活動についてひそかにデータを要求するのを許すものである。NSLの受取人は、彼らの友人や彼らの同僚に、または彼らの家族にさえ手紙の存在を示すことを禁ずる「口外禁止命令(gag order)」に従うことが義務付けられる。 

 この権限に関するFBIの全体的な濫用実態は、連邦司法省の調査およびEFFの情報公開法に基づく開示要求から得られた文書内で文書化された」EFFのNSLの解説文から引用した。 

  参考までに、U.S.Patriot Act 第505条全文を以下あげる。

SEC. 505. MISCELLANEOUS NATIONAL SECURITY AUTHORITIES. 

(a) TELEPHONE TOLL AND TRANSACTIONAL RECORDS- Section 2709(b) of title 18, United States Code, is amended--

(1) in the matter preceding paragraph (1), by inserting `at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge in a Bureau field office designated by the Director' after `Assistant Director';

(2) in paragraph (1)--

(A) by striking `in a position not lower than Deputy Assistant Director'; and

(B) by striking `made that' and all that follows and inserting the following: `made that the name, address, length of service, and toll billing records sought are relevant to an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely on the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States; and'; and

(3) in paragraph (2)--

(A) by striking `in a position not lower than Deputy Assistant Director'; and

(B) by striking `made that' and all that follows and inserting the following: `made that the information sought is relevant to an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'.

(b) FINANCIAL RECORDS- Section 1114(a)(5)(A) of the Right to Financial Privacy Act of 1978 (12 U.S.C. 3414(a)(5)(A)) is amended--

(1) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge in a Bureau field office designated by the Director' after `designee'; and

(2) by striking `sought' and all that follows and inserting `sought for foreign counter intelligence purposes to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'.

(c) CONSUMER REPORTS- Section 624 of the Fair Credit Reporting Act (15 U.S.C. 1681u) is amended--

(1) in subsection (a)--

(A) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge of a Bureau field office designated by the Director' after `designee' the first place it appears; and

(B) by striking `in writing that' and all that follows through the end and inserting the following: `in writing, that such information is sought for the conduct of an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.';

(2) in subsection (b)--

(3) (A) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge of a Bureau field office designated by the Director' after `designee' the first place it appears; and

(B) by striking `in writing that' and all that follows through the end and inserting the following: `in writing that such information is sought for the conduct of an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'; and

(3) in subsection (c)--

(A) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge in a Bureau field office designated by the Director' after `designee of the Director'; and

(B) by striking `in camera that' and all that follows through `States.' and inserting the following: `in camera that the consumer report is sought for the conduct of an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'.

 

(note6) わが国の「プライバシー・スクリーン」の商品例:コクヨ

「パソコンディスプレイが他人にのぞき見られるのを防ぐ「のぞき見防止セキュリティフィルター」は、内部に組み込んだ微細なルーバーによって、ディスプレイ画面の発光方向を正面から左右30度の範囲に制限したフィルターです。横から見ると画面が真っ暗に見えるため、外出先や移動中、または機密情報を扱う際など、画面からの機密情報の漏洩を防ぎ、他人の視線を気にせず作業に集中できる環境をつくります。」

 (note7) プラグインとは、一言でいうと「ソフトに機能を追加するための小さなプログラム」をいう。一般的に利用されているものとしては、次のようなものがある。

Java、Quicktime、Silverlight、Adobe Reader、Windows Media Player等が挙げられる。 

(note8)一般的にキーロガーは、パソコンに接続ないしインストールされ、ユーザーがどんなキーやコマンドを入力したかを逐一記録して内部メモリに記録したりログファイルを出力するプログラムで、監視目的のほか、データのバックアップなどにも利用できる。(Wikipediaから一部抜粋) 

(note9)「復元ソフトウェア(restoration software)」は、ここで言う使用履歴の完全削除とは機能が基本的に異なる。ガイドラインの作成者であるALAに直接確認する必要があると考えるが、とりあえずは原文のまま訳しておく。 

(note10)マルウェア(malware)の「mal-」には、「悪、不良」などの意味があり、「マルウェア」という言葉には「不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェア」あるいは「悪質なコード」などの意味がある。[コンピュータウイルス」、「ワーム」、「トロイの木馬」、「ランサムウェア」、「ボット」、「バックドア」、「スパイウェア」等が含まれる。

 なお、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準(告示)の「コンピュータウイルス」の定義は次のとおりである。

コンピュータウイルス(以下「ウイルス」とする。)

  第三者のプログラムやデータべースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、 次の機能を一つ以上有するもの。 

(1)自己伝染機能 

  自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、 他のシステムに伝染する機能 

(2)潜伏機能 

  発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能 

(3)発病機能  

プログラム、データ等のファイルの破壊を行ったり、設計者の意図しない動作をする等の機能   なお、筆者はたまたまあるブログで「経済産業省の「コンピューター・ウィルス対策基準」という告示で、マルウェアは規定されています。この告示によれば、第三者のデータベースやプログラムへ意図的に被害を与えるプログラム=マルウェアとされます」を読んだ。しかし、同告示にはマルウェアの定義はない。誤った情報が独り歩きしている。

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パリの連続過激派テロを受けEUが取り組む新たな視点からのテロ対策

2015-11-23 12:11:08 | 信頼性の高い情報とは

2015.11.22 オーストラリアABC ニュース記事の写真(Belgian soldiers stand guard outside Brussels hotel)を引用

 別ブログが「パリの過激派連続テロの影響はEU自体の根本的制度見直しにつながりうる重要問題と考えるべき」と題する欧州議会のTHINK TANK(European Parliament Research Service)局員が発した最新情報を紹介している。  

 EUだけでなく世界中に拡がりつつある急進主義の急速な展開は、ISだけでなく、従来地理的に活動が限られていた他の急進主義者の目を覚まさせる結果を招いている。11月20日アフリカ西部のマリで発生したホテルでのアルカイダ系テロ組織によるテロ等は、まさにその傾向を顕著に表している。  

 ところで、前述のブログの情報を補完する意味で、11月20日に欧州連合理事会サイトで総合的なテロ対策を公表したので、その一部概要を紹介する。その作業に取り組んだ背景は、わが国のメデイアの報道の不十分さである。また、紙媒体の限界であろうが、海外の有用な情報源へのリンクがほとんどない。  

 本文で引用するEU資料には前述のEU議会事務局のブログの内容や他のEU資料との重複がある。できるだけその点は考慮して記載したが、十分には整理されていない点は容赦願いたい。 

  最後に、筆者が言いたい点は、テロ対策は机上訓練だけでは絶対に防ぎようがないことである。EUの各資料にもあるとおり、世界中で今起きているテロの本質はすでには宗教的派閥争が中心問題ではなく、最新の捜査技術をもってしても防ぎ得ない「人の心は見抜けない」、「社会的弱者は更なる弱者を生む」といった点が今後の取り組みを考える上で重要である点をあためて指摘しておく。その意味で、この理事会報告はEUや国際関係機関の極めて密なるコラボレーションの実現、さらには刑務所内外での対策、ソーシャルワーカー等との連携も視野に入れた本格的・具体的なものとなっている。いずれわが国内でも取り上げられ、本格的な調査、研究が行われるはずであるが、先行して内容を整理した。  

 なお、作業時間の関係で今回は、最も実務的に関心があると思われる下記の取り組み項目のうち、「(1)Conclusions of the Council of the EU and of the Member States meeting within the Council on Counter-Terrorism」のみ仮訳する。  

(追加)本原稿が書き上がった時点で、オーストラリアのメデイアABC newsの「オーストラリアの普通の社会生活のなかで12人の男性と15歳の高校男子がランダムなテロを計画、その勧誘行為は刑務所内で行われていたとする警察関係者」と題する記事を読んだ。その内容を読むと、まさに本ブログの懸念は世界中に拡がっている感がある。 

1.欧州連合理事会サイトの関係資料の一覧 

(1) 「Conclusions of the Council of the EU and of the Member States meeting within the Council on Counter-Terrorism」  

(2) 「Conclusions of the Council of the European Union and of the Member States meeting within the Council on enhancing the criminal justice response to radicalisation leading to terrorism and violent extremism」

 (3) 「Response to foreign terrorist fighters and recent terrorist attacks in Europe」

 (4) EU terrorist list  

  2.「Conclusions of the Council of the EU and of the Member States meeting within the Council on Counter-Terrorism」の重要部の仮訳  

(1) 拘置体制にかかる施設の運営構造と組織化対策の強化 

○加盟国は、刑務所内でテロリズムや狂暴な過激主義につながる急進化を妨ぐため、当該国家の状況や関係する個人の必要に応じて、例えば次のような要素を含む点を考慮し、かつオーダーメイドの指導方針を適用することとなっている。  

①危険度査定ツールや過激化の初期の徴候を見つけるツールを開発し、犯罪司法制度の中で各種関係者間で情報の共有化を強化する。 

②刑務所でよく訓練された宗教的な代表の十分な員数を提供し、かつソーシャル・ワーカーとカウンセラーに指示を与える。 

③収容者に、刑務所での簡単に洗脳されないための重要な思考法技術を学んで、習得する機会を提供する。 

④刑務所スタッフと抑留者間における尊重や意思疎通を通じ、リハビリテーションと再統合プログラムの運営を効果的に可能にすることで刑務所を安全なものとする。 

⑤このような状況下において、欧州連合理事会内で域内で開発される規則に従った拘留状況の改善のための現下の進行中の仕事の改善に取り組む。  

○このような状況下において、加盟国は、 ”RAN” (note1) (note2)および「RAN刑務所と執行猶予」ワーキンググループが提案した勧告書により最高の実践テーマを学ぶとともに、最も最近では、2015年10月の「刑務所と執行猶予中における急進主義化の取扱い」があげられる。(note3)  

○ ”RAN” は、この主題に関してよき実践例の交換に係るプラットホームを提供し続けており、テロリズムと狂暴な過激主義者につながる特に刑務所内での過激化への対処方法に関し、オーストリア、フランスとドイツによって草案がまとめられた「2008年版ハンドブック」を供給している。   

(2) 起訴や拘留の代替または追加的方法の実施 

○加盟国は、 必要に応じて、法執行機関、安全保障機関や起訴専門機関との間で、かつ適当な場合、地方自治体とソーシャル・ワーカーと関連した情報の共有を含む学際的研究機関(multi-disciplinary bodies)、多くの専門分野にわたって全体論の方向で外国のテロリスト戦士との彼らの関係について取り組まねばならない。これは、多くの専門にわたる機関の設置や作業方法の設定や統合的方法にいる事例のフォローアップで可能となる。  

○加盟国は、EUの”ECRIS (European Criminal Records Information System)” (note4)の潜在力を100%使用し、また欧州委員会は第三国の国民をカバーする提案を提出するために、ECRISの拡大提案を認めなければならない。   

 ○加盟国は、国内の司法機関野枠組みの中で、その刑事司法(青少年裁判制度をむ)制度の柔軟性を使用して、適切と判断される場合、あらゆる手続きにおいて起訴や拘留に代わる代替的または追加的手段(とりわけ、社会復帰における条件、執行猶や拘禁刑期間の保留・停止を含む、必要に応じた適切なリスクアセスメントに基づく)オーダーメイドかつ個別的なアプローチを検討しなければならない。  

(3) 統合、社会復帰と社会との再統合手段の提供 

○ 加盟国は、教育分野(基本的な権利、法の支配と民主主義を進めて、含んでいて、寛容で、多元的な社会を促します)で終わりまで、結束帰納的な行動とプログラムを作成することによって、予防措置を目標とされるテロリズムと狂暴な過激主義者につながる過激化の根本要因に対処する努力を導くべきである。   

○ EUの加盟国の地方、EU機関や国際機関は、市民社会とともに対話に向けたネットワークや公共広場の創設を含む異なるターゲットグループに対し、どのようにして固定概念を打破するか、また(暴力的過激主義に対する)対抗的な語り(counter-narrative) (note5)を作り出す方法や手段を開発しなければならない。  

○ このような状況下において、加盟国は、欧州委員会や関係するEU機関の支援の下で、ISP含む戦略的通信における協調、特に必要に応じて、インターネット照会機関(たとえば、ユーロポールのインターネット照会班(Europol Internet Referral Unit)「シリア戦略通信アドバイザー・チーム(Syria Strategic Communications Advisory Team)」の継続的な支援など)を活用して特定のコミュニティやグループを対象とした恐怖をあおり、誤解、固定概念をもたらすオンラインのヘイト・スピーチと同様、インターネットでのテロや勧誘目的の使用の阻止に取り組むべきである。 

○加盟国は、刑務所の内外でのリハビリテーション、非過激化または組織からの離脱を考慮に入れた手段や帰還者の再統合を実行すべきである。そのことは平和な社会への周回を防いで、ローカルな状況と個々のケースに適合することにつながる。 

○加盟国は、ソーシャル・ワーカー、コミュニティと家族と同様に、犠牲者やリハビリ後の元海外のテロリストの戦士を取り組むべきである。

 ○加盟国は、 刑務所内外での社会復帰、非過激化と組織からの離脱の経験と最高の実践結果を交換すべきである。  

 ○加盟国は、RAN Centre of Excellenceの助言を活用すべきであり、同センターは求められれば、そのようなプログラムを始める際に支援すると申し出るべきである。  

 (4)  関係者の教育・訓練

 ○加盟国は、 急進的にされて、支えられて多くの専門にわたる方向で、EUと国際レベルでの支援に持続的かつ多くの専門分野にまたがる方法においての危険にさらされていて狂暴な過激派または急進的な考えの人々を扱うことに関係するすべての関係者(刑務所スタッフ、保護観察官、司法官その他)への十分なトレーニングに対し資源を提供すべきである。 

 ○ 加盟国は、 「欧州・裁判・トレーニング・ネットワーク(EJTN)」 「欧州警察大学校(CEPOL)」、 「欧州検察機構(Eurojust)」(note6)の助言を使用)やRAN Centre of Excellenceならびに、 「欧州保護観察連合(CEP)」「欧州刑務所・矯正サービス(Europris)」の支援のもとで、必要に応じて(伝統的な学習コースやオンライン・セミナーやスタッフの交換等を含む)テロリズムに対処している刑事司法担当の全関係者および急進主義者を取り扱う司法関係者も同様に、 このような状況下で、リスクアセスメント方法論や社会復帰計画の開発、拘留の代替手段の使用などにつきに特別な目標のもとで行われるべきである。 

 (5)モニタリングからの学習と実行の応酬

 ○Eurojust(欧州司法機構)は、テロリズムと激しい過激化(起訴と拘留に代わる代替手段を含む)に関しては加盟国で適用できる立法上のフレームワークと関連した裁判管轄について、その「テロリズム確信モニター(TCM)」の使用によって、情勢をモニターし続けることになっており、このように外国のテロリストの狙撃者等に関して犯罪取締方針の更なる発展の一因となることになっている。 

 ○EuroprisやRAN(そのCentre of Excellenceによる作業グループを通じる)やEJTNは、適時にEuropol、CEP,Europrisとともにテロリズムと狂暴な過激主義者(特に下記の①~④の下で対処される問題)につながっている過激化に対する犯罪的な司法面の対処に関して他の関連した国際機関(特に「国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI )」「グローバル・テロ対策フォーラム(GCTF:Global Counterterrorism Forum)」等も活用し、既存の国家による実践事例の交換やそこで学んだ事などにつき情報交換を行う。 

 ①拘置施設の構造と組織化

 ②裁判官と検察官によって、そして、外国のテロリストのファイターと帰還者によってもたらされる脅威のレベルを評価するための刑務所スタッフによって使われる危険度査定ツール

 ③「テロリストの仕分け」システム(個々のケースのために最適な「座礁(strand)」を評価することを目的とする)

 ④起訴や拘留とくに刑務所内外における特定の更正計画の選択肢または追加的な処置

 ⑤トレーニングを含む裁判の前後関係の内外における範囲内の担当者間の協力⑥外国のテロリストの戦士に関する犯罪の有罪化方針

 ⑦インターネットや社会的プラットフォームの使用 

 (6)資金提供

  ○ 欧州委員会は、関係する異なる関係者のための訓練計画のためや特定のプロジェクトのためにEU資金提供を通して上記を容易にする(関連した資金提供プログラムの原則に従う) 

 ○ 欧州委員会は、刑務所で非過激化/更正計画を作成するために加盟国のために資金提供を利用可能とし、またRAN Centre of Excellenceにより作成されたプログラムの支援とともに、特にプライオリティーとして加盟国から役に立つ最高の実践例を繰り返すことによって、刑事訴訟手続でならびにそのようなプログラムを活用させる。 

  ○加盟国は、裁判官、検察官と警察を通じた人種主義や外国人嫌いに関するより良い施行のため特定のプロジェクトを遂行した。また、欧州 委員会は、この目的のために利用できる目標遂行に関し、資金提供を行った。 

 ○加盟国は、欧州委員会の介在による努力とともにに寛容性を推し進める市民団体を支援し、オンラインによる「対抗的な語り(counter-narrative)」を生み出すの阻止をすすめてきた。 

 ○欧州委員会は、 「ヨーロッパ社会基金(European Social Fund)」を通して社会的統合方針の取り込みを促進する責務を負う。 

 ○加盟国は、刑事司法の担当者、地方自治体と市民の社会を含む関係する異なる関係者が利用できる資金の完全な運用を奨励すべきである。 

 ○上記の活動は、EUの「2014年から2020年までの長期予算(multiannual financial framework: MFF)」 (note7)の枠組みおよびこの問題は中期の見直しと統合されねばならない。 

  (7)EU機関外の次元での取り組み

 ○EUは、テロリズムと狂暴な過激主義者に対する刑事司法による取り組みを推進してきており、国際的にはこの問題に関する第三専門パートナーの支援も受け、地域の状況や公共のセキュリティ等を正式に考慮して理事会議長、委員会やEUのCounter-Terrorism Coordinatorは、本結論(conclusions)の適用による進捗状況を報告するものである。 

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 (note1) RANは”Radicalisation Awareness  Network”の略語で、急進主義の拡大問題を真摯に受け止め、具体的な社会政治問題として取り組んでいる。その事務局が欧州委員会の移住・域内問題事務総局である。 

 (Note2)欧州委員会の移住・域内問題事務総局のHP内容を仮訳する。

 「EU加盟国は、国境を越える問題(例えば亡命者、移住、国境管理、組織犯罪とテロリズム)に関して協力を増やすことを約束した。 欧州委員会の下部機関として、移住と内務問題事務総局(DG)は、これらの地域でEU-レベル規則を準備し、その適用状況を監視する。 DGは、EU加盟国ならびに市民プログラムのためにヨーロッパの下で資金を調達されるプロジェクトについても責任がある。 局長マテアス・ルエット(Matthias RUETE:ドイツ)によって指揮され、職員約300人はオープンでかつ安全なヨーロッパをつくるために働いている。」

  (note3)EUでは、2015.1.14 バルセロナで「欧州刑務所・矯正サービス(Europris)」主催の研究会を開催、次のテーマで検討を行っている。

 ①Adult Learning, Alan Smith - EPEA, October 2015, Antwerp Belgium 

 ②Criminal Justice Platform Radicalisation Conference, Summary Report and Notes - October 2015, Barcelona  

Criminal Justice Platform Radicalisation Conference, Presentations - October 2015, Barcelona  

 (note4)欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は5月30日、前科などの犯罪記録の電子データ交換のために「欧州犯罪記録情報システム(ECRIS)」を設立し、これを欧州評議会への提案として採用したと発表した。

  EUでは、加盟国の拡大や人的交流の拡大とともに、セキュリティへの不安が高まっている。一方で、セキュリティおよび司法の分野での情報強化のための犯罪記録の情報交換は、従来のシステムでは満足な結果を得ることができていなかったという。これまでのシステムでは、すでに発生した犯罪への処断という意味では一応適切に作動しているが、今後の犯罪の予防には役に立っていないのが現状であるという。 

  これに対して欧州委員会は2006年に調査を行なったが、各国の裁判所は自国における犯罪記録のみに基づいて処断を行なうため、他国での記録を参照することができず、総合して低く処断される傾向にあるとしている。また、特定の職業においては犯罪記録は大切な資料となるが、これが適切に利用されていないとされている。 

  欧州委員会による今回の提案は、犯罪記録について統合的なデータベースを構築し、各国で適切な利用を図るほか、欧州市民に対して各国における刑法制度の簡単な説明を整備することが予定されており、市民に優しい法制度を目指すという。 

  現在、データベースの開発は遅れ気味とされているが、2009年はじめには各加盟国に対して配布ができるよう準備を進めていく予定であるとしている。 2006.6.2 Internet Watch記事「犯罪記録の電子データ本格交換へ~EU加盟国 」から抜粋 

 (note5) ”counter-narrative”は、なんと訳せばよいか。米国大使館のサイトから引用する。その使用例を持って引用する。

「地域に根ざした取り組み、芸術、メディア、スポーツ、文化を通じて(暴力的過激主義に対する)対抗的な語り(counter-narrative)やメッセージ(counter-messaging)を提供できる若者、女性、市民社会および民間指導者たちのネットワーク構築活動を支援する。」 

 (note6) 以下の項目の理解を支援する資料として、2015年2月19日米国大使館の資料ファクトシート 「 米国国務省および米国国際開発庁(USAID)が支援する暴力的過激主義対策の取り組み」(米国国務省報道官室)を参照。 

 (note7)2013.12.2 The Indiv Journal europe「EU理事会が長期予算を承認」参照。

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米商務省NISTが危険は即災害につながらないいコミュニティの建築物やインフラの新耐性強化計画ガイドを発表

2015-11-09 16:22:06 | 信頼性の高い情報とは

 わが国では近年、歴史的に見ても例を見ない大規模自然災害が毎年のように発生している。これは、わが国だけでなく、例えば、わが国の気象庁に該当する英国気象庁(Met Office)は、11月5日、Metの気象専門科学者が、世界中で数10もの異常気象の原因を調査する米国気象学会(American Meteorological Society )の2014年レポートを編集するうえで重要な鍵となる役割を演じたと報じた。すなわち、グローバルな毎年、自然災害を調査、研究している「米国気象学会(American Meteorological Society )」(note1)(note2)の報告書「Explaining Extreme Events of 2014 from a Climate Perspective」を紹介しつつ、その主要な指摘内容を解説している。 

 本ブログの中心テーマを、 「国立標準技術研究所(NISTレポートにもとづき、以下紹介する。なお、筆者はこの分野の専門家ではない。しかし、これだけグローバルな異常気象の現象が明らかになると、英国では「エネルギー・気候変動省」の取り組み動向や議会下院における「エネルギー・気候変動委員会」 (note3)(note4)における真剣な検討が行われている。わが国でも関係省庁に任せるのみで済む話ではないと考えるのが常識と思える。 

1.米国NISTが「コミュニティ耐性強化計画ガイド(Community Resilience Planning Guide)」を発表

  1029日、米国・商務省傘下の独立的位置にある「国立標準技術研究所(NISTは、米国の地域社会が異常気象、地震や他の危険(hazards)の災害のショックに耐え、回復するための建物および電力、ガス、水道、道路等のインフラ・システムのために「コミュニティ耐性強化計画ガイド(Community Resilience Planning Guide)」を発表した。

 他方、わが国の大規模災害等に対する政府や気象庁の取り組みはいかがなものであろうか。たとえば、首相官邸の「国土強靱化推進本部 」のサイトみてみよう。直近の決定等では、平成27年6月16日に「国土強靱化アクションプラン2015」を決定した。 (note5)

 さらに、平成25年12月17日に「国土強靱化政策大綱」・「大規模自然災害等に対する脆弱性の評価の指針」を決定し、平成26年6月3日に国土強靱化基本計画の案を作成するとともに、「国土強靱化アクションプラン2014」を決定、また、同日の閣議において「国土強靱化基本計画」が決定、さらに平成26年4月25日に「大規模自然災害等に対する脆弱性の評価の結果」を取りまとめたと報じている。

 また、国土交通省サイトで見ると「大規模自然災害時の初動対応における装備・システムのあり方検討委員会」の検討成果はどのように生かされているのか、行政機関の縦割りの弊害は解消され、さらに各自治体や研究機関との連携は果たしてすすんでいるのか等、不安とともに疑問はさらに沸いてくる。 

2.ガイダンスの要旨と関係機関の具体的取り組み(関係情報とのリンク等は筆者の責任で行った) (仮訳)

 本計画ガイドは有名なハリケーン・サンディ(Hurricane Sunday)(それはアメリカ合衆国で157が死亡、メイン州からノースカロライナ州まで荒廃と破壊を与えた)の3回目の記念日に発表した。この新しい計画ガイドは、公的および民間部門における、コミュニティのリーダーを対象とする。それは、コミュニティが彼らが危険に備えて、状況を変えることに適応して、耐えるのを手伝い、迅速に混乱から立ち直るための計画を作成するために従うべき実用的な6段階の手順を配置した。 

 ペニー・プリツカー商務省長官(Penny Pritzker)は「アメリカ国民の生命と商業にある異常気象のひろく影響があるのなら、我々がその影響を軽くするためにより多くのことをしなければならないことは明白である。地方の自然災害に対する耐性強化はあらゆる都市が向けなければならない挑戦である。この計画ガイドは、コミュニティが危険が災害になるのを防ぐ準備計画を作成するのを援助することができる」と述べた。 

 特定の目的、危険、ニーズと個々のコミュニティの有する資源内容に適合し、不可欠なサービスを維持・緩和するため、この計画は政府、ユーティリティ、サービスプロバイダと他の団体・組織が優先度を定め、各種資源を割り当てるのを助ける。もし、大規模な危険さが発生したときは、バックとなる部門の強化をも補強する。 

 オバマ大統領府の「気候行動計画(Climate Action Plan)で引用しているとおり、、この任意ガイドは、NIST、コミュニティと政府機関の複数のレベルから各種の専門家と密接に動き、サービスプロバイダーや研究機関によって共同で開発された。 

 社会的、工学的また公共の安全に向けた諸展望を包含した耐性強化計画は、コミュニティが危険な状況が大災害になるのを防ぐのを助ける。新しいガイドは、短期から長期のものまで、混乱を最小にして、効果的な回復を可能にする方法を強調する。最も主要な目標は結果的に極端な課税を居住者、企業と政府に全体的に課すことになるサービスが行われない状態が長期間にわたるのを避けることであり、コミュニティ機能と日常生活の活動の再開が長く遅れたりて、再建の努力が延期されることの回避である。 

 2000年以降、およそ900大規模な災害宣言(disaster declarations)はアメリカ合衆国(損害賠償額で少なくとも10億ドル(12千億円)を引き起こした102の災害を含む)で被害にあった。連邦緊急事態管理庁(FEMA)によると、天災の出来事のおよそ半分は、何らかの連邦援助を誘発した。

 どのように耐性を持つかに関し、本ガイドはコミュニティが耐性強化に影響を及ぼす、官民の努力を統一することも支援する。 

 テレーズ・マカリスター(Therese McAllister:(NISTのコミュニティ耐性強化プログラムのリーダー)「耐性強化計画は、単独な活動ではない。耐性強化の目標はコミュニティ・プライオリティーと資源に合致しなくてはならないし、また緊急的対処、経済発展、地区制と他の地方計画活動に融和しなければならない」と述べる。 

 本ガイドは、建物や基盤systems(エネルギー、通信、輸送、飲料水と廃水)の機能確保に集中する。この「構築すべき環境」はそれがどのように社会的で経済サービスを支持するかについて明確に評価される。そして、洪水、ハリケーンまたは他の危険さの前後の機能はコミュニティを破壊する。予想された危険イベントの間と後に望ましい実行成果のレベルをその構築された環境に設定した後に、コミュニティは、これらのパフォーマンス・ゴールを達成するために埋められなければならない隙間を評価することができる。 

 本ガイドが推薦する6つの段階手順は、コミュニティとその利害関係者から得られる耐性強化チームの編成から始めて、定期的にアップデートされる耐性強化戦略の開発、承認と実施にいたる内容である。 

 過去の災害証拠は、多くのコミュニティの構築された環境がルーチンさえと期待される危険のためにさえ期待にそわないことを示唆する。2000年以降多くの大統領の非常事態宣言は耐性を持った構造・設計上のレベル・ビルディングを上回らなかった危険な出来事のために出された。弱い実効性は、古くなった基盤(規則コードや標準が今日ほど厳しくなかったときの建築物を含む)の結果、物理的なシステムの間の依存関係、貧相な設定またはメンテナンス不足である場合があった。 

 計画ガイドは、全体として米コミュニティと国の耐性を向上させるNISTの努力の一部で作成され、20152月に、10の大学から研究者が関係し、コロラド州立大学に本部を置くNISTの資金による共同活動)「リスク・ベースのコミュニティ耐性力計画・エクセラント・センター(Center of Excellence for Risk-Based Community Resilience Planning)」を立ち上げた。 

 米国の研究機関でも、「コミュニティ耐性委員会(Community Resilience Panel:コミュニティ耐性問題とその具体的挑戦に関して関係者の共同活動を促進する組織)」が活動を始動している。2015119日、NISTのあるゲイサースバーグ(Gaithersburg)で同委員会の就任会議がメリーランド(キャンパス)で開催される。すべての利害関係が参加できるが、事前の登録が必要である。 

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 (note1)Explaining Extreme Events of 2014 from a Climate Perspective」は180(41MB)ものである。その内容を見ると、52頁に異常気象の発生国、地域が現象別に地図上に表示されている。すなわち、「乾燥(Drought)」「高温(Heat)」「大火(Fire)」「大雨(Havy Rain)」「寒波(Cold)」「大雪(Snow)」「電子伝達系(ETS)活性(ETS Activity)(note2)「サイクロン・台風(Tropical Cyclones)」「海氷範囲(Sea Ice Extent)」「海面温度(Sea Surface Temprature:SST)」「平均海面気圧(MSLP Anomalies)  

 なお、1点気になるのは同報告書の168頁から169頁にかけての表34.1の内容である。国別・地域別に上記の異常気象のほか「大量降雨(Heavy Precipitation)」「山火事(Wildfires)」「海面気圧(Sea level pressure)」につきグローバルな一覧が作成されているが、東アジアでは韓国や中国は記載されているが、わが国はいずれにも該当していない。われわれの実感とはかけ離れている。同学会にわが国の研究機関は参加していないことが原因か、機会を見て学会事務局に確認してみたい。

(note2)電子伝達系( Electron transport chain)は、生物が好気呼吸を行う時に起こす複数の代謝系の最終段階の反応系である。別名水素伝達系、呼吸鎖などとも呼ばれる。(Wikipediaの説明から一部引用) 

(note3)「 エネルギー・気候変動委員会」の審議テーマの代表的なものをあげておく。一部訳語を注記した。

・Ofgem(ガス電力規制庁) annual reports and accounts 2014-15

・Responsibilities of the Oil and Gas Authority

・DECC(エネルギー気候変動省) Annual Report and Accounts 2014-15

・ECC priorities for holding Government to account

・Low carbon network infrastructure

・Home energy efficiency and demand reduction

・Investor confidence in the UK energy sector 

(note4)オーストラリアの気候変動問題の専門の独立諮問機関「気候変動局(Climate Change Authority)を設置している。「2011年気候変動法(Climate Change Authority Act 2011)」に基づき設置された機関であるが、同サイトから機能概要を訳しておく。

 気候変動局はオーストラリアの緩和方針の統轄で重要な役割を演じる。そして、以下の事項を推薦をする。

 ・出削減目標とカーボン向け予算(emissions reduction targets and carbon budgets)

 ・再生可能エネルギー目標(Renewable Energy Target)

 ・カーボン削減をリードする( Carbon Farming Initiative)

 ・国家的温室効果とエネルギー報告システム(National Greenhouse and Energy Reporting System.)

 気候変動局は、オーストラリア議会に対して責任がある大臣によって要請されるとおり、独自の調査・分析を行う。すべてのチェック結果は公開諮問を含む。彼らが担当大臣に報告した後、すべての報告は可及的速やかに同局のウェブサイト上で発表される。

(note5)それ以前の決定等を見ておく。

   平成2663日に国土強靱化基本計画の案を作成するとともに、 「国土強靱化アクションプラン2014を決定しました。

    また、同日の閣議において「国土強靱化基本計画」が決定されました。

   平成26425日に「大規模自然災害等に対する脆弱性の評価の結果」を取りまとめました。(国土強靱化HPにリンク)

  平成251217日に「国土強靱化政策大綱」・「大規模自然災害等に対する脆弱性の評価の指針」を決定しました。(首相官邸の「国土強靱化推進本部 」のサイトとリンクさせた)

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カナダ政府は終身刑のうち性的暴行やテロ等重大犯罪者の仮釈放を限定する刑法等改正法案を上程 (その2完) 

2015-04-22 15:41:25 | 信頼性の高い情報とは

(執筆途上)

(2)参考:立法技術的な内容になるが、連邦議会のサイトにおける刑法等改正法案のsummary  部を仮訳する。興味のある読者は読まれたい。 

 本法案(Bill C-53)は、大逆罪(hight treason)ならびにカナダ刑法(R.S.C., 1985, c. C-46)) の第231条(4)項および第(5)項(note14)または(6.01) (note15)に定める計画的な故意殺人に対し、被告人の犯罪と関連した行為が将来被告人のふるまい・行動に関する制限につき通常人の標準によって抑制されそうもないという結論を強要するような残忍な性格によるものであるとして結論づけられる場合について、法に定める仮釈放制度の適用に関し、仮釈放の適用可能性のない終身刑(life sentence of imprisonment without eligibility=絶対的終身刑・絶対的無期刑とも呼ばれ、恩赦がない限り社会復帰の可能性はない)が宣告できるよう、刑法を一部改正するものである。 

 本立法は、被告人が第一級謀殺犯である場合、または本事件以前に謀殺による有罪判決を受けていたとき、あるいは国際的な殺人行為において「人道に対する罪及び戦争犯罪法」第4条または第6条に定める犯罪行為を行ったときは、裁判官に釈放を認めない絶対的終身刑を言い渡す裁量権を与えるべく刑法を一部改正する。 本立法は裁判所の決定は、被告人の年齢と性格、犯罪の性質、その犯罪をめぐる状況およびあらゆる陪審の勧告に基づくことを定める。 (note16) 

 また本法の制定に関し、裁判官に被告の刑期35年務めた後の釈放を申し込むために釈放権なしで拘禁終身刑を申し渡される犯罪者に「特例釈放(executive release)」*を認めるため、「矯正および条件付仮釈放法」を一部改正する。 本釈放決定は、枢密院総監(note17)により認められるか、または拒否される。 

 最後に、本制定にあたり「国防法(National Defence Act)」「人道に対する罪及び戦争犯罪法」ならびに「犯罪者の国家間の移送法(International Transfer of Offenders Act)」 (note18)の関連して結果として生じる改正を行う。

*”Executive Release”の用語は、本改正法案(Bill C-53)で初めて出てきたものである。わが国ではまだ言及した論文等はないと思われるので本ブログでは「特例釈放」の訳語を用いて、関係条文に即して説明しておく。なお、一部改正法案であるので、現行規定と読み比べて確認されたい。

 ①法案第Ⅱ.1 編 EXECUTIVE RELEASE 

〔解釈〕

156.01条 本編で用いる用語

〔特例釈放の適用申請手続き〕156.02 特例釈放は犯罪者が35年の刑期を終えた後、書面をもって公共安全・非常事態準備大臣に対し申請を行う。

〔仮釈放委員会による調査〕

156.03条,156.04条,156.05条、156.06条

〔公共安全・非常事態準備大臣による精査〕

156.07条、156.08条、156.09条、156.1条

〔枢密院総監の決定〕

156.11条、156.12条

〔仮釈放委員会が付す条件〕

156.13条、156.14条、156.15条

〔特例釈放の延期、停止、取消〕

156.16条、156.17,156.18条、156.19条、156.2条

〔委員会の釈放の延期等にかかる犯罪者からの意見聴取〕

156.21条

〔釈放の延期等に関する情報の開示〕

156.22条 

(以下、略す) 

(2)連邦議会の審議の最新動向

 Open parliament サイト: 法案に対する政府、議会の議員等の意見が逐一確認できる。なお、意見内容の逐次の確認は誰でもRSS登録することで可能となる。 

3 .関係者やメデイアの法案に対する意見

(1)カナダ刑事司法協会の2人の担当大臣への2015年2月27日付け意見書(CCJA部長(Executive Director) アーヴィング・クーリック(Irving Kulik)署名)

  法案の重要な人権保護上の論点を論じているので、原文に即し忠実に仮訳しておく。

「 私は、カナダ刑事司法協会(Canadian Criminal Justice Association :CCJA)を代表してこの手紙を書いていている。ご承知の通り、CCJAはカナダの刑事司法に関係する法律専門家や市民のため犯罪司法の在り方に寄与すべく取り組んできており、1919年にその業務を開始し、これまで多数の関係する問題につき議会の委員会等で証言してきた最も歴史をもつNPOの1つである。CCJAは、カナダの全域でから700人のメンバー代表を擁する。 

 CCJAは、マスコミで政府が現在2つの重要かつ問題をかかえる内容の制度変更をわが国の刑事司法制度に導入することを検討しているという穏やかならぬレポートを読んだことから、本手紙を書いた。すなわち、①殺人の有罪判決を受ける犯罪者のための仮釈放の申請不適用期間の更なる長期化、②特定の犯罪者において法仮釈放用の適用の廃止(仮釈放のない絶対的終身刑)という2点である。CCJAは、政府がそのような措置の影響をどのように考慮しているかにつき尋ねるために本手紙を書いた。

  第一に、仮釈放の不適用期間の延長に関して、カナダで謀殺(murder)の有罪判決を受ける誰でもすでに強制的な終身刑(mandatory life sentence)の対象となる点に注意することから始めたい。

 その有罪判決文は文字通り終身刑で、犯罪者の生きている間は、決して釈放といった期限切れにならない。現在の終身刑は人が刑務所で彼らの全ての人生を過ごすことを必ずしも意味するというわけではない。しかし、多くはすでに死ぬまでの終身刑である。長年の監禁の後、彼らが再犯リスクが低いと考えられるならば、当該犯罪者はカナダ仮釈放委員員会(Parole Board of Canada)によって仮解放されることができるのみである。

 これらの状況下でさえ、彼らは文字通り彼らの死ぬまでの残りの拘禁時間および仮釈放監察委員会によって強要される条件を守らないことにより、彼らの釈放の潜在的取り消しの間は監督下におかれる。 

 我々は、「生きる希望」がどんな生命でも必須の要素でもあると思う。たとえ犯罪者が過去に恐ろしい犯罪を犯したとしても、人は変わることができると思っている。個人がそのような変化を示して、彼らがもはやコミュニティにとって危険でないことの一歩手前まで改善されたことを示す機会に値すると思う。犯罪者が改め、改善するという誘因を取り除くことは、社会にとっても逆効果である。 

 CCJAは、仮釈放に関してその後釈放された殺人の有罪判決を受けた者の再犯率について、最近の統計にはアクセスしない。そのような統計は、間違いなくカナダとカナダ仮釈放監察委員会の矯正部( Correctional Service of Canada and Canada Parole Board)を通して、あなたが利用できることを意味しよう。

  しかし、我々が利用できる以前のデータに基づいて、その最近の統計は仮釈放に関してその後釈放される殺人の有罪判決を受けた人がほとんどもう一つの殺人または重い暴力犯罪を犯し続けないことをかなり確実に証明できることは確かである。これらの予想された提案が議会で持ち出されそうであるならば、我々はカナダ人がそのような手段の必要性についての完全なかたちでの議論をすることができるよう、殺人の有罪判決を受ける犯罪者の再犯率の統計が一般公開されるよう求める。 

 第二に、特定の犯罪者に対して、法定釈放( statutory release )の適用範囲を削減・機会を取り上げるという本法案の提案に関して意見を述べる。

 法定釈放の目的が、仮釈放に関して解放されない犯罪者が彼らの判決文にある終わりの前にコミュニティでそれでも監督下の義務的期間の影響を受けることを確実とすることであることを思い出すことは重要である。監督下におかれるこの期間は、犯罪者のための特権でなく、いずれにしても刑期満了のコミュニティへの開放であるにちがいない犯罪者の成功した再統合のチャンスを増やすメカニズムである。その監視と強要された状況で、法定釈放は成功した再統合のチャンスを増やして、それゆえに、公共の安全を増強させる。我々の意見は、そのような監視が最も必要であるそれら犯罪者のための法定釈放の機会の排除は、逆効果であり、それらの犯罪者がおよぶ市民への危険を増やすというものである。

  さらに、法定釈放の機会が減らされるか除かれるならば、わが国の経済面での経費削減の時に、経費増の影響を精査することが重要である。数年前、カナダ刑事司法協会は、潜在的経費の見積りを当時の公共安全・非常事態準備相に提供した。母数(parameters)がそれ以来変わる一方で、法定釈放の完全な廃止の費用がインプリメントされてかつて完全に資本と運用面の支出において10億ドルに簡単に達すると見積ることは確実である。一部の犯罪者への法定釈放の機会のどんな削減でも、結果的には巨大な費用増をもたらすといえる。 

 結論としては、CCJAがよく考えた上の意見として、これらの制度改正は公共の安全を増やすことなく、経費をシステム的に増やすだけで、我々がカナダで現在楽しむ公安のレベルをたぶん低下させるであろう。我々は、あなたが高くついて潜在的に危険な公共政策のこの通り道を追求するためにあるいかなる法案でも再考することを求める。 

(2)議会での審議や各党首等のコメント

 Huffting post記事ほか 

 

 

(3)カナダのメデイアによる批判

 メデイア名とURLのみ記す。

①2015.3.4 National Post 記事「Harper crime bill to throw away the key for ‘repulsive’ murderers could prove unnecessary and harmful: critics」:法案に批判的である。 

②2015.3.4 CTV news「'Life without parole' bill targets Canada's most heinous criminals: Harper 」 

③2015.3.4 The Grobe and Mail「Ottawa to introduce life sentences without parole under new legislation」

 4.カナダにおける釈放制度と重大犯罪の規制の在り方の論議

 本ブログをまとめる中で筆者が感じたままの意見を整理しておく。機会を見て本格的にまとめてみたい。

 

(1)カナダ旧刑法第745.6に定められていた「早期釈放申請に関する規定」の改正経緯4/12(53)である。これまでカナダ国内で多くの重大犯罪者により、悪用されたとして議会などが動きを紹介

ウィキペデイアの解説4/12(43)等に基づき制度の概要を整理する。 

 

 

 

(2)犯罪捜査と起訴、有罪、量刑にいたる手続きの効率化と厳格化

 

 

なお、カナダの陪審制度についての一般的説明は省略する。

 

(3)

 

 

 

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(note14)カナダ刑法第231(4)条、第231(5)条に見る謀殺カテゴリー区分

Murder of peace officer, etc.

(4) Irrespective of whether a murder is planned and deliberate on the part of any person, murder is first degree murder when the victim is

 (a) a police officer, police constable, constable, sheriff, deputy sheriff, sheriffs officer or other person employed for the preservation and maintenance of the public peace, acting in the course of his duties;

 (b) a warden, deputy warden, instructor, keeper, jailer, guard or other officer or a permanent employee of a prison, acting in the course of his duties; or

 (c) a person working in a prison with the permission of the prison authorities and acting in the course of his work therein.

 Marginal note:Hijacking, sexual assault or kidnapping 

(5) Irrespective of whether a murder is planned and deliberate on the part of any person, murder is first degree murder in respect of a person when the death is caused by that person while committing or attempting to commit an offence under one of the following sections:

 (a) section 76 (hijacking an aircraft);

 (b) section 271 (sexual assault);

 (c) section 272 (sexual assault with a weapon, threats to a third party or causing bodily harm);

 (d) section 273 (aggravated sexual assault);

 (e) section 279 (kidnapping and forcible confinement); or

 (f) section 279.1 (hostage taking) 

(note15) Murder — terrorist activity

(6.01) Irrespective of whether a murder is planned and deliberate on the part of a person, murder is first degree murder when the death is caused by that person while committing or attempting to commit an indictable offence under this or any other Act of Parliament if the act or omission constituting the offence also constitutes a terrorist activity.

 

(note16)

 

 

 

(note17)

枢密院勅令(Oder of Council),名目上は女王によって制定されるが、実務上、国王裁可は形式的なものでしかない。カナダにおいては、総督(Governor General)の名においてカナダ枢密院(Queen's Privy Council for Canada)により署名、制定される。

議会公式議事録(Miniutes of Council)

 

(note18) 

 

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