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トーマス・E・プライス保健福祉省長官が納税者への背信にあたる高価なチャータード飛行のために大統領のきわめて大きな怒り(Ire)を買った後に辞任

2017-10-02 08:33:48 | 信頼性の高い情報とは

 【要旨】

 929日のニューヨーク・タイムズ紙 は、保健福祉省長官トーマス・エドモンド・プライス氏(Thomas Edmunds Price)がチャーター便で1回当り最低40万ドルの航空視察飛行を行い、ワシントン特権で買収されかつ授権資本で沼地をきれいにするというトランプ大統領の選挙公約を破棄させたとして、9月29日(金曜日)に辞任したと報じた。これら記事は、わが国のメディアでも10月1日の朝刊等で詳しく報じられたとおりである。 

 本ブログは、トランプ内閣の閣僚級が国民の税金を如何に考え、その透明性を担保しているかを具体的に検証、論じることが目的である。

 その根拠記事としては、米国大手メディアであるニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト等があげられようが、今回はニューヨーク・タイムズの記事を仮訳しながら、筆者なりに補足的説明を加え、米国トランプ政権や内閣の実態を少しでも正確に理解すべくまとめた。 

本文

 バラク・オバマ大統領の「保健医療プログラム」を廃止し、代替制度を実施する努力が失敗した数ヶ月間、トランプ氏とトラブルに陥っていたプライス氏は、後悔と部分的な返済を行っても大統領の怒りは和らげられなかった。彼の出発は一番上の乱気流に襲われた政権からの最新のもので、大統領の挫折から一週間を守った。 

 「私は幸せではないですか?」とトランプ氏は、辞任が発表されてからほんの1時間ほど前、ニュージャージー州のゴルフクラブで週末のために出発する大統領に対し、プライス氏について尋ねた記者団に語った。私はあえて言う、「私は幸せではない」と述べている。彼はプライス氏を「非常に良い人」と呼んだが、民間航空のコストの一部のために政府に返済するというプライス前長官の提案は受け入れられないだろうと付け加えた。 

  プライス氏は、トランプ大統領の最も重要な選挙キャンペーン公約の1つに反して動いた。トランプ氏の顧問の一部は、個人的にワシントン特権でもって沼地の排水を彼の有権者の有利に流すという誓いを立てていたが、それは政権の出発点での「公約」であった。

 大統領がすでに彼の予備選挙拠点で守備体制に入っていたため、大統領が元州司法長官を共和党の上院議員としてアラバマ州の予備選挙初代レースを支持したが、選挙結果は敗北した。(米アラバマ州で2017年9月26日、セッションズ司法長官の上院議員辞任に伴う補欠選挙の共和党予備選決選投票が行われた。開票の結果、55%対45%で保守強硬派のロイ・モア(Roy Moore)元同州最高裁判事(70歳)が勝利し、トランプ大統領が推すストレンジ元同州司法長官(64歳)は敗北した) 

「閣僚級の長官が、納税者が資金を提供した双発ジェット機Gulfstream 4(note1)の豪華な内装で、42,000フィート(約12,800m)から沼地をどのように排水できるかを見るのはきわめて難しい」と、保守的なトークショー主催者でありトランプ氏の支持者であるローラ・イングラム(Laura Ingraham) は他の人たちと同様に、アラバマ州予備選で勝利した造反者のロイ・モア氏により大統領は喰ってかかられた。 

 トランプ氏は、立ち会った人々によると、金曜日の午後、ホワイトハウスの報告者を約2時間尋問した。閣僚の旅行の要請はすべてホワイトハウスによってクリアされなければならない、と報告者等は述べた。 

 ホワイトハウスのプライス氏の辞任に関する発表内容はきわめて短いものであり、彼の任務の奉仕に対する慣例的な感謝もなかった。 それは単に彼が「今日早く辞表を提出し、大統領がそれを受け入れた」と述べただけであった。 

*ホワイトハウスの声明文 

「保健福祉省長官トーマス・プライスは今日の辞表を提出し、大統領はこれを受け入れた。 大統領は、バージニア州選出のドン・J・ライト氏(Don J. Wright )を長官代行に就任させる予定で、午後11時59分に発効する予定である。ライト氏は、現在、HHSの副次官補で疾患予防健康増進局長である。」

  プライス氏は、トランプ大統領への辞表の中で「私は、医者と公務員として40年を過ごし、人々を第一に優先させた(putting people first)。 私は、最近の出来事がこれらの重要な目標から気をそらしてしまったことを残念に思う。これらの問題に対する成功するには、いずれかの人よりも重要です。あなたがさらなる混乱なしに前進するために、私は正式に辞任を述べる」と記した。 

 トランプ氏は、HHSの副次官補(deputy assistant secretary)で、疾病予防・健康増進局長であるドン・J・ライト氏を長官代行に指名した。(note2 ) 長官の後継者候補としては、メディケア・メディケイド・サービス・センター長であるシーマ・ヴェルマ(Seema Verma) (note3)と、HHS品医薬品局(FDA)局長であるスコット・ゴットリーブ(Scott Gottlieb (note4)が挙げられている。(note5) 

 プライス氏は9月29日金曜日に、トランプ大統領に保健福祉省長官を辞任する手紙を送った。同氏は、チャーター便のために、納税者が足を運んだ旅行手形に少なくとも1回に 40万ドルを使った後、各方面から圧力を受けていた。 

 プライス氏の問題となった仕事とは、9月19日に”Politico”による 1以来、一連の報告書において彼のチャーター航空機の広範な使用に関するものであった。 大統領は、プライス氏の行動は個人的かつ公然であると発言した。トランプ氏は、928日木曜日に、政府が少なくとも40万ドルのうち51,887ドルをプライス氏が返却することを歓迎した。しかし、彼の仕事を成果として残すには不十分であった。 

 ジョージア州の医師で、オバマ大統領の「Patient Protection and Affordable Care Act (患者保護並びに医療費負担適正化法、PPACA)通称Affordable Care Act (ACA) 」に長い間、反対していた共和党議員であったプライス氏は、法律を廃止しようとしているトランプ陣営のリーダー役を務めた。2017年 7月に、トランプ氏はACA廃棄法案の投票権が得られなかった場合、プライス氏を解雇すると述べていた。 

 トランプ氏は、その際に彼の傍らにあるプライス氏の聴衆に語った 。「 得られなければ、トム、あなたは解雇される」私は言うであろう。 

 彼はジョークとしてそれを言った、そして彼の聴衆は冗談としてそれを取ったが、実際に大統領は上院で健康管理の法律を渡す失敗した努力に関し、プライス氏を非難した。 議会で法案が可決されたのに伴い、今週、トランプ氏が過半数を奪回するのに十分な上院議員が敗北したとき、 最新の努力が崩壊した。 

 プライス氏は、着任当初から各種問題で避難されていた。上院議員は、1月の聴聞会で、彼が所有していた医薬品および医療用の株式で10万ドル以上あるという問題を押しつけた。また、民主党は、プライス氏がオーストラリアの会社「Innate Immunotherapeutics」の株式400,613株の価値を控えめに公表していると述べた。 彼は自分自身を擁護して、「私がしたことはすべて、倫理的で、取締役会の上でも、法的にも透明性がある」と語った。

  トランプ大統領は就任からわずか8カ月で、首席戦略補佐官、国家安全保障顧問、報道官、2人の報道官(communication directors)、次席補佐官、国家安全保障補佐官、 FBI長官、その他数多くの補佐官や顧問がやめている。 

 プライス氏は旅行代金の私用に関する怒りに直面する唯一のトランプ政権の上級官僚ではないかもしれない。すなわち、最近では、キャビネットの出世コース習慣に関する膨大な報告書が、プライベートジェット機の使用に慣れ親しんだ億万長者が受け入れているトランプ政権の広報担当者の頭を悩ませている。 

 例えば、内務省長官のライアン・ジンキ(Ryan Zinke) は、ラスベガスで新しいプロのホッケーチームを祝う会で演説をするために12,000ドルの旅行を含むいくつかの飛行のためにチャーター機を使用した。また、環境保護庁 (Environmental Protection Agency)長官であるスコット・プリューイット(Scott Pruitt)は、チャーター便と軍事飛行に5万8000ドル以上を費やした。ワシントンポストによると、退役軍人省長官デービッド・シュルキン(David Shulkin)はビジネス・ミーティングと観光が混在するヨーロッパへの10日間の旅行で妻を連れて行った。 

 スティーヴン・ターナー・マヌーチン(Steve Terner Mnuchin)財務省長官は、欧州の新婚旅行のために1時間あたり2万5000ドルの軍用機を使用することを注文した後、8月にはケンタッキー州のフォートノックスに飛行する政府のジェット機を使用し、日食をはっきりと見ることができた後でその利益を放棄した(note 6) 

 他の閣僚は、彼らの旅行の実践内容を説明する声明を出しました。中小企業庁は長官リンダ・マクマーン(Linda MacMahonが私的に航空業務を「まれな時に利用したが、そうしたときは、自分自身のポケットから全てのコストをカバーした」と述べた。また、ベッツィ・デボス(Betsy DeVos)教育省長官 は「個人的に所有する航空機に乗って旅行しており、米国の納税者負担はゼロであり、請求もされないし、いかなる返済も行う必要がない」と教育省は述べている。 

 内務省長官ライアン・キース・ジンキ(Ryan Keith Zinke)氏がヘリテージ財団に向けエネルギー政策を送った金曜日に、キャビネット内の状況に関する機密性が明らかになった。 彼は、チャーター便内で「ちょっとしたたわごと(a little B.S.)」と呼ばれることにつき怒鳴りながら口を開いた。 

 ジンキ氏は「私はコーチを飛ばす」と述べ、彼は、必要な時にのみチャーター便や軍用便を使う旨、付け加えた。「私は旅行するたびに旅行計画を内務省の倫理部に提出する。私はいつも正直で、私の旅行について前向きに考える。」と付け加えた。

  「現在および元ホワイトハウス・ウェストウイング(note7)の関係者は、トランプ内閣の過去の航空費用の支出の監視は、緩やかであったと元大統領の首席戦略補佐官(chief strategist)あったスティーブンK.バノン氏が各会員の議題と旅程を見直すために60日に1回の会合を要請していたため、幹事は疑惑のあるフライトにはフラグを立てなかった」と関係者は語った。 

 混沌としたホワイトハウスのウェストウィングに対し厳しいい軍事規律を課そうとしていたホワイトハウスのジョン・F・ケリー首席補佐官(John F. Kelly, the White House chief of staff)は、ミック・ムルバニー大統領予算監督官(presidents budget director, Mick Mulvaney) に対し、飛行のプロセスを見直し、価格の上限を設定するよう、2人の計画で説明した。

  最近の会見で、閣僚機関の補佐官であるマルク・ショート氏(Marc Short)ホワイトハウス立法問題局長) は、出席した人によると、閣僚たる長官の経費に関する追加報告を準備すべきだと警告した。 ショート氏は、政府機関は最終的にすべてが公表されると仮定し、同補佐官は大統領のスタッフがまず最初にクリーンにするよう促した。 

 さらに、ホワイトハウスの副首席政策補佐官(Deputy Chief of Staff for Policy Implementationを務めるリック・ディアボーン(Rick Dearborn)は、大統領の標的に入っているという状況に精通している。 ディアボーン氏は先週、アラバマ州予備選挙を訪問したトランプ氏と同行し、負けたルーサー・ストレンジ上院議員を支持した。 ワシントンに戻る飛行機で、彼が負けそうであった候補者を支えたままにしておいたので、大統領はディアボーン氏とホワイトハウス政治部長であるビル・ステアピン(Bill Stepienに喰ってかかったと、名前を挙げられる許可を与えられなかった側近が記者に述べた。 

 大統領はディアボーン氏とホワイトハウス政治責任者のビル・ステアピン氏を失いそうに思った候補者を支援していたため、退任した。 

 飛行機に乗った2人は、大統領が彼の側近を懲罰してはならないと主張した。 もう一人の顧問は、ディアボーン氏とステアピン氏はどちらも旅行問題に注意を喚起していたが、ひどくなったらトランプ氏の怒りはとどまらなかったと述べた。

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(note1) ガルフストリーム IV(Gulfstream IVは、ガルフストリーム・エアロスペースが開発・製造していた双発ビジネスジェット機。1985年に初飛行、2002年まで生産された。 

(note2) 筆者の記憶ではドン・J・ライト氏(Don J. Wright )930日にはHHS幹部(HHS Leadership)および運用部門幹部(Operating Division Leaders)いずれにも入っていない人物である。101日現在は代行とはいえ長官である。このような飛び級人事は如何なる政治的背景によりものか研究テーマである。実際「ドン・Jライトって誰?」という記事が目につく。Yahoo news や女性向けメディア Bustle com 等を参照されたい。 

(note3) トランプ氏は、プライス長官の指名と同時に、メディケア(高齢者向け公的医療保険制度)とメディケイド(低所得者向け医療保険)の運営主体である「メディケア・ メディケイド・サービス・センター(CMS)」の責任者に、インディアナ州のヘルスケア政策コンサルタントのSeema Verma氏を指名し、上院の承認を得ている。 

 (note4) スコット・ゴットリーブ氏はオバマ大統領時代にはFDAの副局長であり、議会上院で承認後、2017年5月11日に局長の宣誓している。トランプ色は薄いかもしれない。 

(note 5) 2017年9月1CBSニュースは「財務省の監察官(OIG)は先週、スティーブ・ミンチュン財務長官がケンタッキー州に妻と一緒に皆既日食を見るために政府の飛行機を利用するこたことを監査している」という記事を載せている。筆者のブログでもしばしば取り上げた米国連邦機関の自己監査機関の強大な機能を表す例として注目したい。 

(note6) この2人についてワシントンポストはホワイトハウス内でよく尊敬され、尊敬されているが、ちらも、過去の長官が多くがポストを取る前に持っていたような政治的な経験を持っていないとコメントしている。 

(note7) ウエストウィングは大統領の執務室「オーバルオフィス」 (Oval Office) 、閣議室、国家安全保障会議室、定例記者会見室、危機管理のためのシチュエーションルームなどのほか、現在では副大統領、首席補佐官、大統領補佐官、報道官、法律顧問、上級顧問などの上級スタッフのオフィスなどが入る、アメリカ合衆国連邦政府の中枢である(Wikipedia から一部抜粋)

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総務省等の自治会・町内会の加入率の算定根拠は果たして適正・公平か?

2017-03-15 18:06:23 | 信頼性の高い情報とは

 筆者は町田市から市内の自治会役員として最近時、標記の極めて重要な問題提起を受けた。その本質は「自治会介入率の計算根拠とは具体的に何か?」という問題である。総務省が基本的に決めるべき問題であると考えるが、実態は以下述べるとおり、実際に町田市が行っている統計手法は、市区町村が把握する「世帯数、人口」、「地縁型住民自治組織(自治会、町内会等)の団体数・加入世帯数」、「1団体あたりの世帯数・人口」に基づく統計のみであろうし、実施に国や地方自治体が行いうる調査の限界であろう。 

 しかし、筆者としては自治会は行政機関ではない、いうまでもなく自治会・町内会の役割とは何であろうか。 

(1) 自治会・町内会や学区自治組織の活動について平易に説明したものとして 京都市の以下の解説「自治会の基礎知識」が比較的一般的な内容であろうと考え、あえて引用する。 

 

(2) 自治会・町内会の独自の加入率の考え方

 自治会・町内会が法的な根拠を持たない住民の自主的任意団体である以上、その運用のあり方も含め次のような制約があり、したがってそこでいう「加入率」の定義は行政が行うものと別途考えざるをえない。

 しかしながら、これまで公表されている自治会・町内会等加入率調査(note1)はおそらくすべて筆者が本文で述べるような基準の基づかず、かつ加入率計算の公式、定義がないままにいかにも正確な統計としてその加入率向上運動を行っている。極めて、非客観的かつ非科学的な作業といえる。

  前述のとおり、行政機関が住民登録、市民税等に基づく統計調査の結果は、各自治会等が理解、把握している加入率より一律に低い数字となっており、その意味では実態と異なる意義のうすい調査となっているといえる。 

 筆者は今回のブログで自治会・町内会の加入率調査における定義や算出案を提案するものである。社会政策、社会保障問題や統計専門家等による更なる客観的でかつ精度の高い調査への見直しを期待する次第である。 

 さらにこの問題に関連し、筆者は平成27年国勢調査において調査員を担当した。そこで見えてきた世帯数の正確な国民統計調査のむずかしさの問題もこの機会にあわせ述べておく。

 1.自治会・町内会の加入率計算上、分母となる世帯数から控徐すべきもの

 実際の自治会等の運営から見て控除すべき項目を例示する。個別自治会の実情の応じて差があろうが、ほぼ共通的な内容と考える。 

①アパート、借家、社宅の世帯は除く。これらの世帯は異動が激しく、また世帯主などの正確な把握は困難であり、もともと自治会として世帯数の分母とはなりえない。 

②二世帯住宅は自治会としては1世帯とせざるをえない。自治会費、回覧物などは原則1世帯分のみで納付、配布している。 

③いわゆる空家は、世帯主の住民登録、市民税の納付の有無などはプライバシーの問題もあり、自治会では把握できないため世帯数の分母に計上できない。 

2.国勢調査で見えた正確な世帯数調査の困難性

 総務省の有識者会議のメンバーでもない筆者としてはこれまでの調査員経験を踏え、以下の点を提言するにとどめる。(note2) 

(1)筆者の担当エリアは極く普通の住宅地であり、「一戸建て」、「アパート」「賃貸マンション」「小規模社宅」などで混在する地域であった。 

 詳しい国勢調査員の作業手順はここでは略すが、今回の調査で追加されたインターネット調査以外は基本的な流れはこの数十年変わっていない。皮肉にも、筆者は数回に亘り訪問したが結局会えなかった世帯の多くは「インターネット回答済」であった。 

 このようなデジタル・デバイド問題の解決なくして、過去及び未来(平成32)に向けて頻繁開催される有識者会議 (note3)を行っても解決には結びつかないと考える。

 なお、自治体により対応が異なる場合があろうが本部から郵送提出者のリストに届かないまま、最終報告を行わざるをえなかった。本部・調査員間の連絡体制の不備は事実である。 

(2) かなり以前から指摘されている改善内容は以下の一覧のとおりである。

① 国勢調査全体にわたる手続きの評価

②調査員の行動面から見た具体的検討課題(平成17年の調査結果で見えたもの)

(2) 特に賃貸マンション、アパートの世帯などの調査用紙の確実な配布方法は管理人、大家を介する情報収集方法である。これは筆者がたまたま担当したエリアでアパートの大家さんがたまたま近くに住んでおり、各入居者の入居状態を直接確認できたためむだな行動が省略できた。しかし、これはあくまで例外である。 

(3) 住民票では、息子夫婦と同居していることになっているが、実際は高齢者本人はすでに有料施設等に入居済である場合、また住民票はそのままにして施設に入居済である場合等が今後増えることは不可避であろう。行政としてこれら施設との連携調査が必須であるといえよう。 

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(note1) 当面、筆者が調べた自治体や関係団体の加入率調査で公表されているものを例示的にあげる。

① 町田市・市民部 市民協働推進課「町田市データで見る町内会・自治会」(2017224)

② 川崎市町内会・自治会の現状について(平成25年5月15日 市民委員会資料)

③公益財団法人特別区協議会 特別区制度研究会報告書―第2期―(平成242月)第4分科会報告 

④公益財団法人神奈川国際交流財団「自治体における協議会型住民自治組織の現状」調査 10頁以下

 (note2) 今回は時間の関係であえて言及しないが、英国の国家統計局(Office for National Statistics: ONS))の統計レポートは調査対象が経済統計だけでなく国勢調査(Census)や人口統計、移民問題、貧困と人口問題など社会政策的な問題、EU加盟国などとの比較等極めて多角的かつ専門的な内容である。 

(note3)平成32年の国勢調査に向けた有識者会議はすでに2016年7月、11月の2回に亘り開かれている。オンライン調査の拡大など今後の課題については総務省統計局「平成32年国勢調査有識者会議」サイトで確認されたい。ただし、その内容はいまのところ具体的な提言らしき内容は見当たらない。

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超過時間手当ての支払いをめぐる裁判で証拠開示請求につき原告のATMや携帯電話記録の提出命令の可否

2016-09-14 14:38:28 | 信頼性の高い情報とは

  筆者の手元に、米国の労働法ローファーム・ブログ(Wadge and Hours Defense Blog)ら9月12日付けでユニークなコメントがついた記事A Plaintiffs ATM & Cell Phone Records May Be Discoverable When There Is a Particularized Showing of Relevanceが届いた。裁判の基本的な背景は連邦「公正労働基準法(Fair Labor Standards Act) (note1) (note2) 「ニューヨーク州労働法(New York Labor Law) (note3) に違反して時間外手当てが支払われなかったという主張に対し、被告たる雇用主が週40時間という拘束時間外を判断する際にATM取引の記録や私的な携帯電話の電子記録を反論証拠として開示請求できるかという問題が争点となった裁判の解説レポートである。 

 時間外手当に関する労働法の体系や"discovery"等、基本的な点でわが国とは異なる問題とは考えられるが、わが国でも同様の問題が争点となりうる可能性にかんがみてあえて取り上げ、仮訳した。 

 このブログは、米国の経営者向けの労働事件解説レポートであり、説明内容はかなり割愛されている。筆者が可能な範囲で補足を行った。 

1. 「ゴンザレス対アライド・コンクリート・インダストリーズ社(Gonzalez v. Allied Concrete Industries, Inc.)事件の概要

 「ゴンザレス対アライド・コンクリート・インダストリーズ社」事件において、13人の建設労働者は、ニューヨークの東部地区連邦地裁(Eastern District of New York)に告訴した。原告は、彼らが1週につき40時間以上働いたが、連邦「公正労働基準法と「ニューヨーク州労働法に違反して時間外手当てが支払われなかったと主張した。 

 これに対し、被告は原告等が働いていたと主張した時間の間における原告の行動に関して正確な情報を得るため、原告等のATM操作と携帯電話記録のディスカバリー手続き強要する裁判所命令の発布を求めた。 

2.ATM取引記録レシートについて 

 被告は、彼らが各原告が働いていたと主張する時間の間の所在と行動を明らかにするため、原告のATM取引記録を証拠能力ある証拠として証拠開示手続き(discovery) (note4)につながると主張した。この被告の主張の大部分は、2015年に同裁判所判決である「Caputi v. Topper Realty Corp., a 2015 case」(note5)によるものである。Caputi裁判では、時間外労働の権利を主張している原告は、問題となる労働時間に関し「原告のATM取引記録」のサンプリングを作成するよう命令を求めた。

  本裁判では、裁判官は被告の申立を拒否したが、その際に、Caputi判決につき一定の認識を示した。しかし、裁判所は、Caputi事件では被告が目撃者が原告が週労働時間の間、長引く昼食会に出席しかつその目的のために現金をATMから引き出したと証言したため、ATM取引記録に基づく証拠能力の開示手続きが許されたという結論を出した。 

 これとは反対に、アライド・コンクリート事件につき、同裁判所は、被告が何らの「求められた一括証拠開示における関蓮性につき、その証拠物が事件との関連性や必要性があるという信じるにたる信義則による結びつき」は示さなかったと結論づけた。 

3.携帯電話の通話記録について 

 被告たるアライド・コンクリートは、原告が彼らが働いていたと主張した時の間、「個人の活動(例えば仕事に関連しない電話、長電話や頻繁なテキスト・メッセージの発信)に従事したか」どうか決定するために、原告の携帯電話記録の開示を求めた。 

 被告は、「Caputi事件」ならびに2015年に別のニューヨーク州東部地区連邦地裁判決である「ペリー対マーゴリン&・ワインレブ法律グループ(The Margolin & Weinreb Law Group)事件」を申立時に引用した。両事件とも、賃金時間外の支払い権利を主張した原告は、彼らが平日の間、個人的な電話をかけたという証言に基づく携帯電話レコードを作成するよう命令された。アライドコンクリート事件では、そのような証言を得られなかった。したがって、本法廷は、携帯電話記録が関連した証拠を含むかもしれない被告が述べた推測は原告の「私事へ包括的な侵害」を正当化しないと述べた。 

 今回の判決等にもとづき結論をいうと、雇い主は、従業員の行動の電子証拠がFLSAに関する裁判で証拠能力を認められる場合があることに気づいていなければならない。ただし、これらの記録が証拠能力ありと主張するに足るための十分な根拠がある場合に限ることも同時に理解しておくことが必要である。 

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 (note1) 独立行政法人労働政策研究・研修機構のFLSA解説から一部抜粋

 FLSAは、しばしば「賃金・労働時間法(Wage Hour  Law)」と呼ばれるように、6条の「最低賃金」の規定と並んで、7条に「最長労働時間」の規定をおき、週40時間を超える労働に対する割増賃金(1.5倍)の支払を義務づけている。なお、FLSAは、わが国の労働基準法のような包括的労働保護法ではなく、最低賃金規制と最長労働時間規制(ただし後述のように、規制内容は割増賃金支払を義務づけることが中心となる。)を中核とし、加えて、12条で16歳の最低年齢や18歳未満の就業制限など年少者の保護を定めているほか、6条(d)で男女同一賃金等の規制を行っている法律である。

(note2) 連邦労働省の公正労働基準法の解説サイト「Wage and Hour Division (WHD):Compliance Assistance - Wages and the Fair Labor Standards Act (FLSA)」  

(note3) 具体的には、ニューヨーク州労働法 第5章(Article)労働時間 第1款(Title) 総則 第170条(section)をさす。なお、ニューヨーク州の場合、連邦法の表示方法が異なるため訳語も変えた。 

(note4) 証拠能力のある証拠( admissible evidence )。”discovery”とは、証拠開示手続であり、米国において、法廷外で、当事者間で互いに事件に関する情報を開示し収集することを目的として、審判(trial)前に行われる情報収集手続をいう。 

(note5) CAPUTI v. TOPPER REALTY CORP.事件(No. 14-cv-2634(JFB)(SIL).)の具体的な判決内容は、解説を参照されたい。 

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英国・法改革委員会「役所の職権濫用行為」検討プロジェクトの第二次諮問書とわが国の現状から見た課題

2016-09-07 12:58:47 | 信頼性の高い情報とは

 英国の「法改革委員会(Law Commission) (note1)は、2016年初めに行った最初の意見諮問に続き、2016年9月5日に第2段となる

「諮問書(REFORMING MISCONDUCT IN PUBLIC OFFICE A Consultation Paper )(No.229:全224)を公表した。その諮問期限は、2016年11月28日まで実施される。 今回のブログはその概要を仮訳するものである。

 2016年9月5日に本委員会は、法改革のための選択肢を含む諮問書の公表をもって諮問手続きの第2段階を開始した。最終報告書は、2017中に公表する予定である。 

 筆者が、この問題を取り上げた背景は、わが国でも同様の問題が大分県警のビデオ監視カメラ捜査事件で起きたからである。わが国では刑法193で「公務員職権濫用罪」 (note2) 、同194条で「特別公務員職権濫用罪」 (note3) が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45(note4) 、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43(note5) 、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成118月18日法律第137号)」30(note6) があげられる。 

 特に大分県警事件は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に抵触するだけでなく、刑法194条にも関わる問題であろう(note7)

  法改革委員会の諮問書にも明記されているとおり、役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。

 その意味で、この問題についての英国の取り組みの解析は、わが国においても他山の石とすべき問題と考える。 

1.法改革委員会の役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)の刑法上の検討の経緯

 (1)初回の諮問等をめぐる経緯

「役所の職権濫用行為(Misconduct in Public Office)に関する諮問文書1」

 役所の職権濫用行為にかかる現行刑法の問題に関する検討の背景理由書面、すなわち代替犯罪(alternative offences)  としてのギャップと重複問題と同様に、不確実性の領域で発生する問題を強調的に表示した。

 本委員会は、著名なスピーカーと論議を行うシンポジュームとともに、2016120「諮問文書1(Misconduct in Public Office: Issues Paper 1)」を発刊し、この問題の諮問フェーズを立ち上げた(我々は、その日からツィッターで内容を公開している)。この段階では、現在の法律とその問題点に焦点を当てた。同諮問文書とシンポジウムの目的は、特定の問題に基づいた議論を刺激するための機会を我々に提供し、同犯罪を実際扱う実務家や専門家と交流の場とするものである。 

 (2)本委員会のプロジェクト目的

 本委員会の法改革の目標は、役所の職権濫用行為にかかる既存の犯罪を廃止、維持、修正再規定または改正する必要があるか否かの決定と、さらに改革のために何らかの手法を追求する点にある。 

 役所の職権濫用犯罪に関連する法的概念は、複雑かつ高度な技術を必要とし、非法律家にとって容易にアクセスできない問題である。さらに多くの場合、法がどのように規定し、どのように適用するかなどにつき多くの混乱を生じる。刑事責任の適切な境界線の問題といえる公務員職権濫用の問題は、明らかに広範な公共の利益の問題である。 

(3)犯罪の定義とその問題点(The offence and its problems)

 「役所の職権濫用」は、コモンロー(note8)上の犯罪であり、いかなる制定法にも定められていない。一方、その最高刑は終身拘禁刑(life imprisonment)である。その犯罪行為とは、公務員が公務員(office holder)に対する国民の信頼の濫用した程度において,合理的な釈明や正当化事由なし(without reasonable excuse or justification.)に、故意に自身の義務を怠りかつ/または故意に職権を濫用したことをいう。 

 歴史的に見て、公務員の違法行為を犯罪として考慮する他の適切な方法がなかった。今日、このような不正行為は一般に別の狭義でかつ明確に定義された刑事犯罪(criminal offence)に該当しよう。 

 この犯罪は、定義が曖昧で広く考えられており、また政府、控訴裁判所、メデイアや法学者によって最近批判の対象とされている。

 社会統計では、有罪につながるそれらの告発が極めて少ない一方で、多くの人々は役所の職権濫用は起訴されるべきという点を示唆している。その1 つの可能な理由は、犯罪の明確な定義のない判決のつ言い渡しは困難であることである。 

 本委員会は、いくつかのこの問題にかかる「犯罪の定義」問題を、以下のとおり明確化した。 

①「役所(Public office)」は、明確な定義を欠いているが、なお犯罪の重要な要素である。この曖昧さは、その犯罪の解釈・適用に重大な困難をもたらす。

②公職権者であるための義務の類型が十分に定義されていない。これらの特定の義務の違反を証明するために不可欠であるかどうかも、判例法上不明確である。 

③「国民の信頼の濫用(abuse of the public trust)」が、この犯罪の成立判断の「しきい値要素」として重要な点である一方で、内容が曖昧で、捜査官(investigators)、検察官(prosecutors)、陪審員(juries)に適用するのが困難である。 

④犯罪を証明する必要な「違反の要素(fault element)は、状況によって異なる。これらは、一般的でなく、無節操(unprincipled)な立場にある。 

⑤「合理的な釈明や正当化事由がなく(without reasonable excuse or justification)」が犯罪の要素として明らかであったとしても、それは自立した防御または定義された要素として機能するかどうかは不明である。 

(4)今回の諮問にかかる関連文書の一覧を添付する。なお、筆者の責任でリンクを貼った。 

【添付文書】

① Reforming Misconduct in Public Office consultation PDF, 1MB (224

② Reforming Misconduct in Public Office consultation summary PDF, 164kB (19

③ Diwygio Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus Crynodeb PDF, 188kB (20) 

④ Reforming Misconduct in Public Office Appendix PDF, 110kB (10)

⑤ Misconduct in Public Office - Issues Paper 1 PDF, 748kB  

⑥ Misconduct in Public Office - Issues Paper 1: Summary (English) PDF, 182kB 

⑦ Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Materion Papur 1 – Y Gyfraithbresennol PDF, 168kB (18)

⑧ Misconduct in Public Office - Issues Paper 1: Overview (English) PDF, 69kB (2)

 Camymddwyn Mewn Swydd Gyhoeddus: Papur Materion 1 - Y Gyfraith Ar Hyn O Bryd Trosolwg PDF, 72kB (3)

Appendix A - History of the Offence of Misconduct in Public Office PDF, 260kB 

Appendix B - Misfeasance in Public Office (A Paper by Mark Aronson) PDF, 225kB 

Appendix C - Misconduct in Public Office and the ECHR PDF, 170kB 

Appendix D - Spreadsheets relating to Misconduct in Public Office PDF, 164kB 

Appendix E - Previous Reform Proposals PDF, 146kB 

Appendix F - International Comparisons PDF, 260kB  

(5)代替犯罪(alternative offense)にかかる起訴以外による陪審評決( Alternative verdicts )の意義

 英国内の資料を調べてみたが、これといった資料は見当たらなかった。以下の内容につき、自信はないが、参考までにまとめてみた。

 1967年刑法(Criminal Law Act 1977)の第6(3)(note9)に従い、陪審は以下の場合、起訴に関して被告を代替犯罪(alternative offense)として有罪であるとする判決を下しうる。

①被告は、反逆罪(treason)または殺人罪(Murder)以外のいかなる犯罪に関する起訴に関して裁判にかけられうる。;

②陪審は、被告に対し起訴に基づく有罪であるとする評決は下さない。

③明白または暗に刑事法院(Crown Court) (note10)の管轄権に入るかまたは別の犯罪の起訴の申し立てによる。 

略式起訴犯罪(刑法第40条の略式起訴犯罪(summary offense)が当てはまる)は、この定義に入るし、刑事裁判所によって判決を下されるかもしれない。同裁判所は、治安判事裁判所(magistrates court)の宣告権限に制約される。 

 実際に身体の傷害を引き起こす損傷(wounding)、暴行(assault)や身体の傷害を引き起こす人種的加重暴行(racially aggravated assault)や一般の加重暴行が、代替評決の考慮に至るかもしれない最も明らかなものであるが、他方で性犯罪や暴力を伴う暴行についても考慮することも重要である。 

2.わが国の刑法193条等や特別刑法等で見る公務員職権濫用罪に関する厳格な運用上の課題

 わが国では、刑法193条で「公務員職権濫用罪」、同194条で「特別公務員職権濫用罪」が明記されているし、また特別刑法である「破壊活動防止法」45条、サリン事件などに対応した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」42条・43条、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」30条があげられる。 

 他方、その運用の厳格性はどのように担保されていると考えるべきか。京都産業大学准教授の深尾正樹氏の論文や昭57128日公務員職権濫用に関する最高裁判決昭和54年12月26日の公務員職権濫用被告事件の東京高裁判決等材料は多い。

 しかし、より運用面の取り組むべき課題は多いと考える。法務省・人権養護推進審議会資料「主な人権侵害類型と被害者の救済にかかわる制度等」を見ておく。

「公権力による侵害の項目で「*拘禁施設内における人権侵害等は,その密室性により発覚しにくい場合があり,立証・資料収集が困難であるとの指摘がある。                            

*内部監査・監察においては,必ずしも正確な調査と情報開示が期待できない場合があるとの指摘がある。」というコメントがある。

 この議論は入り口論のみと思うのは筆者だけであろうか。 

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(note1) Law Commission」を「法改革委員会」と訳すのはおそらく筆者のみであろう。その理由は筆者のブログ「英国法務省の「検死官規則(Coroners Rules 1984)」の一部改正の背景と司法改革の観点からみた意義」を参照してほしい。

 なお、Law Commissionサイトで基本的な役割を見ておく。「法改革委員会は1965年「法改革委員会法」に基づき創設された独立制定法機関であり、公正、近代化、単純化および費用面の効率化等の観点から、必要に応じ法改革に関する見直しや勧告等を行う。 」

(note2) 刑法193条:公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する。 

(note3) 刑法194条:裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処する。 

(note4) 「破壊活動防止法(昭和27721日法律第240号)」(公安調査官の職権濫用の罪)

第45条   公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こに処する。

 (note5) 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年12月7日法律第147号)」

(公安調査官の職権濫用の罪)

第42条  公安調査官がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。 

(警察職員の職権濫用の罪)

第43条  警察職員がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁錮に処する。  

(note6) 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年8月18日法律第137号)」

第30条 捜査又は調査の権限を有する公務員が、その捜査又は調査の職務に関し、電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第百七十九条第一項 又は有線電気通信法 (昭和二十八年法律第九十六号)第十四条第一項 の罪を犯したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。  

(note7) 小坂正則「基本的人権無視の警察国家体制が着実に先行実施されている」

「この国は「盗撮・盗聴」の暗黒社会が完成しつつある」が比較的詳しく論じている。ただし、より専門的な視点からの問題の指摘論文を期待したい。

 (note8) 1967年英国刑法第6条3の内容をあげておく。  

(3) Where, on a person’s trial on indictment for any offence except treason or murder, the jury find him not guilty of the offence specifically charged in the indictment, but the allegations in the indictment amount to or include (expressly or by implication) an allegation of another offence falling within the jurisdiction of the court of trial, the jury may find him guilty of that other offence or of an offence of which he could be found guilty on an indictment specifically charging that other offence.

  (note9) 「コモンロー」の詳しい説明は省略するが、次の解説がわかりやすい。

衡平法とは、イギリスで大法官(Lord Chancellor)が与えた個別的救済が集積したことにより確立された法原則を意味する。エクイティ(equity)とも呼称される。英米判例法のうち、イギリスにおいて1875年まで存続した大法官裁判所(Court of Chancery)が定立した法であり、それ以降発達していったとされる。 

 沿革を下記に紹介する。

イギリスでは古来からコモン・ロー裁判所による判決の集積である判例法をコモン・ローと呼称し、コモン・ローは民事、商事、刑事の分野で発展してきた。

ところが、イギリスと欧州各国との交易が盛んになると、その厳格性からコモン・ローでは対応しきれない事案が登場し、新法分野である信託法に関する事案については、大法官が個別に救済を与えるという取扱いをすることとなった。

コモン・ローが金銭賠償を民事上の救済方法とするのに対し、衡平法は、信託(trust)、特定履行(specific performance)、差止命令(injunction)など柔軟な救済方法を発達させていった。 

 沿革からわかる通り、衡平法はコモン・ローを補完し、法の具体的妥当性を実現する機能を有するものであるといえる。 

 なお、現在では、コモン・ローと衡平法の訴訟上の手続きはほぼ統一されているが、両者はいまだ別の法体系として存在している。(弁護士ドットコム「衡平法」から抜粋) 

(note10) Crown Courtの解説(「イギリス連合王国(イングランド及びウェールズ)の司法制度」から一部抜粋)

正式起訴手続に係る刑事事件の第一審(ただし、必ず治安判事裁判所の予備審問を経る、科刑のために治安判事裁判所から付託された事件の科刑手続及び治安判事裁判所の刑事事件に関する上訴審を管轄する。第一審としては、中間的犯罪のうち被告人が陪審裁判を選択したときなど、及び全ての正式起訴状による刑事事件(正式起訴事件)を取り扱い、被告人が争った場合は、陪審制により裁判を行う。被告人が有罪の答弁をした場合には、陪審によることなく、直ちに量刑手続に移行することとなる。

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電子出版におけるプライバシー保護および電子図書館での保護の具体的取組みの日米比較(その2完)

2016-08-26 07:05:08 | 信頼性の高い情報とは

4.米国図書館協会(ALA)が公表した「デジタル環境下での利用者のプライバシー保護を目的としたプライバシー・ガイドライン」の概要(仮訳)  

 前述したとおり、ALAのガイドラインは4つで構成される。それぞれを読むと例えば、「プライバシーはなぜ重要か」、「明確な内容を持ったプライバシーポリシー」などは重複しているので略す。なお、時間の関係でガイドライン①のみ訳し、順次(2)以下を訳す。 

(1)コンピュータとネットワークへの公的アクセスに関する図書館のプライバシー・ガイドライン 

 本ガイドラインは、2016年6月24日に米国図書館協会の知的自由委員会の承認を得た。 

「はじめに 

 図書館は、図書館利用者にオンライン資源(例えば図書目録(library catalogs)、研究データベース、電子書籍、デジタルデータで作成された情報(画像、写真、映像、アニメ、音楽、音声、文章等のデジタルコンテンツやインターネット)にアクセスするためにコンピュータと他の情報端末(例えばラップトップPC、タブレット、電子書籍閲覧用端末(ebook readers)等)を使う機会を提供する。利用者は、ソーシャルメディアや他のウェブサイトにワープロ文書、マルチメディアのプロジェクト、電子メール・メッセージへの投稿を含む内容を作成するために、図書館のコンピュータを使う。さらに、図書館は、しばしば利用者が自身の個人端末を使う目的で接続できる「有線(wired)」または「公衆無線ネットワーク(public Wi-Fi networks)」を提供する。 

 あらゆるコンピュータまたはネットワークの使用は、利用者のプライバシーを危険にさらすユーザーの諸活動の記録をつくるかもしれない。さらに図書館は、コンピュータ利用を予約したりラップトップ端末のチェックアウト(note2)するなど各種の理由のために、ユーザーから個人情報を集めるかもしれない。図書館は、自身が管理する公衆がアクセスするコンピュータや端末を管理すべく、ユーザーのプライバシーと守秘性を含む「図書館員の倫理綱領(library ethics)」 (note3) 、プライバシー・ポリシーと法律上の義務を反映した手続きや実践内容を確実とするために機能しなければならない。 

 これらのガイドラインは、公衆のアクセス・コンピュータとネットワークの彼らの使用について図書館利用者の個人情報とデータに関して図書館に適切なデータ管理とセキュリティ実行に関する情報を提供するために発行した。 

1)プライバシーは、なぜ重要か? 

 ユーザーのプライバシーと守秘性を保護することは、長い間、図書館の「知的自由(intellectual freedom)」にかかる任務の不可欠な部分であった。合衆国憲法修正第1(note4) (note5)における自由に質問を行う権利は、政府または他の第三者によって詳細な調査を受けずに情報を読み、またアクセスする能力に依存する。図書館のユーザーに対するサービスの提供ににかかる規定において、司書は倫理上の責任を持っており、また、ユーザーのプライバシーの権利を保証する。司書と図書館には、図書館ユーザーの個人情報とデータを無許可の開示およびその利用から保護する法律義務がある。 

2)明確な内容をもったプライバシー・ポリシー 

 ユーザーは、図書館内でコンピュータまたは公共ネットワークにアクセスするとき、図書館のプライバシー・ポリシーについて通知されなければならない。プライバシー・ポリシーは、簡単にユーザーに利用できかつ理解できるような内容でなければならない。ユーザー・プライバシー保護は、どのような個人情報が集められるか、それがどれくらいの期間保存されるか、誰がどのような状況でアクセスするか、そして、それがどのように使われるかわかりやすく明記することを義務づける。。先進的なプロセスは、進行中のユーザーに図書館のプライバシーポリシーのいかなる変更をも通知するために作成されなければならない。 

3)アクセス制御と端末のチェックアウト 

 図書館は、コンピュータとネットワークへのアクセスを管理するために、一連の方法を使用することができる。これらの方法は、「利用申込書(sign-up sheet)によるクリップボード」から「ユーザー認証、予約、利用制限時間やインターネット・コンテンツ・フィルターを含む高度なアクセス制御ソフトウェア」にいたる。

 統合化された図書館システム(integrated library system)では、「チェックアウト・ラップトップ」や他の装置が使われるかもしれない。さらに図書館は、ユーザーの自身の個人端末を使うときネットワークにアクセスするために認証手続きを求めることを必要とするかもしれない。

 たとえどんな方法が使用されても、図書館は利用者および彼らのコンピュータのプライバシーを保護し、図書館での活動をネットワーク化するために適切なポリシーと手続きを開発しなければならない。すなわち、もはや必要でないときと判断された時には、アクセス制御ソフトウェアとネットワーク認証によって発生した処理のログ・データは非特定化(anonymized)されるか、または破棄されなければならない。利用申込書は編集されるか、裁断処理されなけれればならない。そして、端末が返却されたり支払期限切れにもとづく罰金が支払われたときは、チェックアウト記録は消去(purged)または非特定化されなければならない。 

4)ディスプレイ画面の個人情報保護 

 コンピュータのディスプレイ画面は、しばしば簡単に近くの人々が見ることができる。図書館は、スクリーンの内容がを認めないことが完全にユーザーの表示を他の人に見えなくする間、彼らを利用することを望む後援者が利用できるプライバシー・スクリーン(note6)または埋め込み式のディスプレイを作らなければならない。そのうえ、多くの人々はプライバシー・スクリーンまたははめ込まれたディスプレイを嫌って、したがって彼らを利用することを強制されてはならない。 

5)ブラウザーの活動記録についてのログアウト時の完全削除 

 多くのウェブサイトはユーザーの行動を追跡し、クッキーやその他の技術を用いて個人情報を第三者と共有する。図書館は、利用者がウェブをサーフィンするとき、プライバシー保護を提供するブラウザーやプラグイン(note7)を提供しなければならない。さらに、ブラウザーは出口にすべてのデータ(キャッシュ、履歴、クッキー、パスワード)をクリアにするように構成されなければならない。 

6)定期保守点検 

 公的コンピュータは、彼らが適格に動いていること、また、ユーザーのプライバシーを保護するように設計されたコンピュータのソフトウェアが起動し、効果的に機能していることを確実とするために、日頃維持・保守がなされなければならない。コンピュータの「セキュリティ監査」は、コンピュータの安全性の不足を検出する試みとして、通常実行される。物理的な点検としては、「キー・ロガー」 (note8)のような個人情報を盗むように設計されたコンピュータに付けられる未確認の装置の識別も含まれる。  

7)コンピュータまたはデバイス内の個人情報 

 いかなるコンピュータや端末の使用は、利用者のプライバシーを危険にさらすユーザーの活動記録をつくりうる。個人情報を含む文書、電子メールや他のファイルは、端末装置内に残される。このため、図書館は、図書館により提供される公衆からのアクセス・コンピュータや他の端末装置での個人の使用履歴を取り除く「復元ソフトウェア(restoration software)」 (note9)またはその他の技術的手段を使用しなければならない。 

8)破壊工作ソフト(いわゆるマルウェア) (note10)

 コンピュータを使うとき、マルウェアは個人のプライバシーと安全に対する深刻な脅威を与える。もし、マルウェアがログイン情報とパスワードを補足す るならば、ユーザーのオンライン・アカウントは多分不正なアクセスを受けるであろう。図書館は、マルウェアまたは他の未許可のソフトウェアがコンピュータまたは装置にないことを確実とするために、適切な措置をとらなければならない。これらのステップは、認可なくインストールされたるすべてのソフトウェアを削除するために、セキュリティ保護(反マルウェアソフト、スパム対策、アンチ・ウィルス・プログラム)ならびに回復ソフトウェアを含む。 

9)コンピュータ・モニタリングと使用記録の追跡のルールの明確化 

 モニタリング・ソフトウェアは、ユーザーの活動を記録するか、リモートでユーザーが端末装置で何をしていることを見るためにインストールすることができる。それは、テクニカル・サポートまたは団体・組織のコンピュータ使用方針の遵守のためにしばしば使われる。しかし、ユーザーのプライバシーを保護するため、図書館は図書館により提供される公的アクセス・コンピュータまたは他の装置でモニタリング・ソフトウェアを使用することを避けなければならない。モニタリング・ソフトを使用せざるを得ないときは、ユーザーは図書館のプライバシーポリシーでその目的と範囲を知らされなければならない。 

 多くのアプリケーションやオペレーティングシステムは、自動的にエラーを確認するために活動データをソフトウェア開発者と共有するか、ユーザビリティを強化するか、個人化を提供するように初期値で構成されている。可能な場合、図書館は図書館により提供される公的アクセス・コンピュータまたは他の装置でそのような使用の追跡を無効化しなければならない。  

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(note2) Laptop Checkout:図書館のラップトップ端末の貸し出しの返却手続きである。

サンフランシスコ州立大学の図書館(J.Paul Reonard )の例で見ておく。貸し出し期間は4時間から最長で28日間である。また期限間までに返却しないときは罰金が課されるのが一般のようである。

The Library provides a number of different types of laptops for checkout by current SF State students, faculty and staff. Loan periods vary from 4 hours to 28 days.

 (note3) わが国の日本図書館協会の1980.6.4総会決議「図書館員の倫理綱領」参照。なお、米国図書館協会の「図書館員の倫理綱領(Code of Ethics of the American Library Association)」もあわせ参照されたい。 

(note4)合衆国憲法修正第一(1791年成立)の訳文を引用しておく。

 「政教分離原則,信教・表現の自由」:合衆国議会は、国教を制定する法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律、または言論・出版の自由もしくは人民が平穏に集会して不満の解消を求めて政府に請願する権利を奪う法律を制定してはならない。

「図書館の自由」とは、言論の自由にあたると解されている。(筆者の補足) 

(note5) 米国の人権擁護団体や大学図書館協会などの多くが、2001年パトリオット法に基づくNSLが大学図書館活動等にも大きな影を落としてると指摘する。

 この「国家の安全保障にかかる提供強制通知(National security letters:NSL) 」は、ISPや通信会社等の通知の受取人が保有・管理する情報を、連邦捜査官に提供することを強要するために通知される行政処分をいう。

 米国パトリオット法(U.S.Patriot Act)によって認可されるもので、受取人につき通知の内容や指示を議論することを禁ずる報道禁止令を含む。この通知は裁判官の認可を必要としないが、限られた範囲での司法審査を受ける。これらの通知は、連邦捜査局やその他の連邦機関によって使用される。(米国法律用語辞典(U.S.Legal)の解説 )

米国の人権擁護団体であるEFFの次の説明も参考になろう。

「USA PATRIOT法によって拡大されたすべての危険な政府監視力強化のうち、PATRIOT第505条によって拡大されたU.S.C第18編.§2709 (Counterintelligence access to telephone toll and transactional records)の下で国家安全保障にかかる強制的情報提供通知(NSL)の権限は、国民をもっともこわがらせまた人権を侵す1つである。

 これらの通知は、電話会社やISP等の通信サービスプロバイダーに向けて発せられ、そしてFBIに対し、いかなる監視や事前の司法審査なしで普通のアメリカ市民の個人的な通信やインターネット活動についてひそかにデータを要求するのを許すものである。NSLの受取人は、彼らの友人や彼らの同僚に、または彼らの家族にさえ手紙の存在を示すことを禁ずる「口外禁止命令(gag order)」に従うことが義務付けられる。 

 この権限に関するFBIの全体的な濫用実態は、連邦司法省の調査およびEFFの情報公開法に基づく開示要求から得られた文書内で文書化された」EFFのNSLの解説文から引用した。 

  参考までに、U.S.Patriot Act 第505条全文を以下あげる。

SEC. 505. MISCELLANEOUS NATIONAL SECURITY AUTHORITIES. 

(a) TELEPHONE TOLL AND TRANSACTIONAL RECORDS- Section 2709(b) of title 18, United States Code, is amended--

(1) in the matter preceding paragraph (1), by inserting `at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge in a Bureau field office designated by the Director' after `Assistant Director';

(2) in paragraph (1)--

(A) by striking `in a position not lower than Deputy Assistant Director'; and

(B) by striking `made that' and all that follows and inserting the following: `made that the name, address, length of service, and toll billing records sought are relevant to an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely on the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States; and'; and

(3) in paragraph (2)--

(A) by striking `in a position not lower than Deputy Assistant Director'; and

(B) by striking `made that' and all that follows and inserting the following: `made that the information sought is relevant to an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'.

(b) FINANCIAL RECORDS- Section 1114(a)(5)(A) of the Right to Financial Privacy Act of 1978 (12 U.S.C. 3414(a)(5)(A)) is amended--

(1) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge in a Bureau field office designated by the Director' after `designee'; and

(2) by striking `sought' and all that follows and inserting `sought for foreign counter intelligence purposes to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'.

(c) CONSUMER REPORTS- Section 624 of the Fair Credit Reporting Act (15 U.S.C. 1681u) is amended--

(1) in subsection (a)--

(A) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge of a Bureau field office designated by the Director' after `designee' the first place it appears; and

(B) by striking `in writing that' and all that follows through the end and inserting the following: `in writing, that such information is sought for the conduct of an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.';

(2) in subsection (b)--

(3) (A) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge of a Bureau field office designated by the Director' after `designee' the first place it appears; and

(B) by striking `in writing that' and all that follows through the end and inserting the following: `in writing that such information is sought for the conduct of an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'; and

(3) in subsection (c)--

(A) by inserting `in a position not lower than Deputy Assistant Director at Bureau headquarters or a Special Agent in Charge in a Bureau field office designated by the Director' after `designee of the Director'; and

(B) by striking `in camera that' and all that follows through `States.' and inserting the following: `in camera that the consumer report is sought for the conduct of an authorized investigation to protect against international terrorism or clandestine intelligence activities, provided that such an investigation of a United States person is not conducted solely upon the basis of activities protected by the first amendment to the Constitution of the United States.'.

 (note6) わが国の「プライバシー・スクリーン」の商品例:コクヨ

「パソコンディスプレイが他人にのぞき見られるのを防ぐ「のぞき見防止セキュリティフィルター」は、内部に組み込んだ微細なルーバーによって、ディスプレイ画面の発光方向を正面から左右30度の範囲に制限したフィルターです。横から見ると画面が真っ暗に見えるため、外出先や移動中、または機密情報を扱う際など、画面からの機密情報の漏洩を防ぎ、他人の視線を気にせず作業に集中できる環境をつくります。」 

(note7) プラグインとは、一言でいうと「ソフトに機能を追加するための小さなプログラム」をいう。一般的に利用されているものとしては、次のようなものがある。

Java、Quicktime、Silverlight、Adobe Reader、Windows Media Player等が挙げられる。 

(note8)一般的にキーロガーは、パソコンに接続ないしインストールされ、ユーザーがどんなキーやコマンドを入力したかを逐一記録して内部メモリに記録したりログファイルを出力するプログラムで、監視目的のほか、データのバックアップなどにも利用できる。(Wikipediaから一部抜粋) 

(note9) 「復元ソフトウェア(restoration software)」は、ここで言う使用履歴の完全削除とは機能が基本的に異なる。ガイドラインの作成者であるALAに直接確認する必要があると考えるが、とりあえずは原文のまま訳しておく。 

(note10)マルウェア(malware)の「mal-」には、「悪、不良」などの意味があり、「マルウェア」という言葉には「不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェア」あるいは「悪質なコード」などの意味がある。[コンピュータウイルス」、「ワーム」、「トロイの木馬」、「ランサムウェア」、「ボット」、「バックドア」、「スパイウェア」等が含まれる。

 なお、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準(告示)の「コンピュータウイルス」の定義は次のとおりである。

コンピュータウイルス(以下「ウイルス」とする。)

  第三者のプログラムやデータべースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、 次の機能を一つ以上有するもの。 

(1)自己伝染機能 

  自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、 他のシステムに伝染する機能 

(2)潜伏機能

  発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能 

(3) 発病機能

プログラム、データ等のファイルの破壊を行ったり、設計者の意図しない動作をする等の機能  

 なお、筆者はたまたまあるブログで「経済産業省の「コンピューター・ウィルス対策基準」という告示で、マルウェアは規定されています。この告示によれば、第三者のデータベースやプログラムへ意図的に被害を与えるプログラム=マルウェアとされます」を読んだ。しかし、同告示にはマルウェアの定義はない。誤った情報が独り歩きしている。

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