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Foreign Media Analyst in Japan

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総務省等の自治会・町内会の加入率の算定根拠は果たして適正・公平か?

2017-03-15 18:06:23 | 信頼性の高い情報とは

 筆者は町田市から市内の自治会役員として最近時、標記の極めて重要な問題提起を受けた。その本質は「自治会介入率の計算根拠とは具体的に何か?」という問題である。総務省が基本的に決めるべき問題であると考えるが、実態は以下述べるとおり、実際に町田市が行っている統計手法は、市区町村が把握する「世帯数、人口」、「地縁型住民自治組織(自治会、町内会等)の団体数・加入世帯数」、「1団体あたりの世帯数・人口」に基づく統計のみであろうし、実施に国や地方自治体が行いうる調査の限界であろう。 

 しかし、筆者としては自治会は行政機関ではない、いうまでもなく自治会・町内会の役割とは何であろうか。 

(1) 自治会・町内会や学区自治組織の活動について平易に説明したものとして 京都市の以下の解説「自治会の基礎知識」が比較的一般的な内容であろうと考え、あえて引用する。 

 

(2) 自治会・町内会の独自の加入率の考え方

 自治会・町内会が法的な根拠を持たない住民の自主的任意団体である以上、その運用のあり方も含め次のような制約があり、したがってそこでいう「加入率」の定義は行政が行うものと別途考えざるをえない。

 しかしながら、これまで公表されている自治会・町内会等加入率調査(note1)はおそらくすべて筆者が本文で述べるような基準の基づかず、かつ加入率計算の公式、定義がないままにいかにも正確な統計としてその加入率向上運動を行っている。極めて、非客観的かつ非科学的な作業といえる。

  前述のとおり、行政機関が住民登録、市民税等に基づく統計調査の結果は、各自治会等が理解、把握している加入率より一律に低い数字となっており、その意味では実態と異なる意義のうすい調査となっているといえる。 

 筆者は今回のブログで自治会・町内会の加入率調査における定義や算出案を提案するものである。社会政策、社会保障問題や統計専門家等による更なる客観的でかつ精度の高い調査への見直しを期待する次第である。 

 さらにこの問題に関連し、筆者は平成27年国勢調査において調査員を担当した。そこで見えてきた世帯数の正確な国民統計調査のむずかしさの問題もこの機会にあわせ述べておく。

 1.自治会・町内会の加入率計算上、分母となる世帯数から控徐すべきもの

 実際の自治会等の運営から見て控除すべき項目を例示する。個別自治会の実情の応じて差があろうが、ほぼ共通的な内容と考える。 

①アパート、借家、社宅の世帯は除く。これらの世帯は異動が激しく、また世帯主などの正確な把握は困難であり、もともと自治会として世帯数の分母とはなりえない。 

②二世帯住宅は自治会としては1世帯とせざるをえない。自治会費、回覧物などは原則1世帯分のみで納付、配布している。 

③いわゆる空家は、世帯主の住民登録、市民税の納付の有無などはプライバシーの問題もあり、自治会では把握できないため世帯数の分母に計上できない。 

2.国勢調査で見えた正確な世帯数調査の困難性

 総務省の有識者会議のメンバーでもない筆者としてはこれまでの調査員経験を踏え、以下の点を提言するにとどめる。(note2) 

(1)筆者の担当エリアは極く普通の住宅地であり、「一戸建て」、「アパート」「賃貸マンション」「小規模社宅」などで混在する地域であった。 

 詳しい国勢調査員の作業手順はここでは略すが、今回の調査で追加されたインターネット調査以外は基本的な流れはこの数十年変わっていない。皮肉にも、筆者は数回に亘り訪問したが結局会えなかった世帯の多くは「インターネット回答済」であった。 

 このようなデジタル・デバイド問題の解決なくして、過去及び未来(平成32)に向けて頻繁開催される有識者会議 (note3)を行っても解決には結びつかないと考える。

 なお、自治体により対応が異なる場合があろうが本部から郵送提出者のリストに届かないまま、最終報告を行わざるをえなかった。本部・調査員間の連絡体制の不備は事実である。 

(2) かなり以前から指摘されている改善内容は以下の一覧のとおりである。

① 国勢調査全体にわたる手続きの評価

②調査員の行動面から見た具体的検討課題(平成17年の調査結果で見えたもの)

(2) 特に賃貸マンション、アパートの世帯などの調査用紙の確実な配布方法は管理人、大家を介する情報収集方法である。これは筆者がたまたま担当したエリアでアパートの大家さんがたまたま近くに住んでおり、各入居者の入居状態を直接確認できたためむだな行動が省略できた。しかし、これはあくまで例外である。 

(3) 住民票では、息子夫婦と同居していることになっているが、実際は高齢者本人はすでに有料施設等に入居済である場合、また住民票はそのままにして施設に入居済である場合等が今後増えることは不可避であろう。行政としてこれら施設との連携調査が必須であるといえよう。 

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(note1) 当面、筆者が調べた自治体や関係団体の加入率調査で公表されているものを例示的にあげる。

① 町田市・市民部 市民協働推進課「町田市データで見る町内会・自治会」(2017224)

② 川崎市町内会・自治会の現状について(平成25年5月15日 市民委員会資料)

③公益財団法人特別区協議会 特別区制度研究会報告書―第2期―(平成242月)第4分科会報告 

④公益財団法人神奈川国際交流財団「自治体における協議会型住民自治組織の現状」調査 10頁以下

 (note2) 今回は時間の関係であえて言及しないが、英国の国家統計局(Office for National Statistics: ONS))の統計レポートは調査対象が経済統計だけでなく国勢調査(Census)や人口統計、移民問題、貧困と人口問題など社会政策的な問題、EU加盟国などとの比較等極めて多角的かつ専門的な内容である。 

(note3)平成32年の国勢調査に向けた有識者会議はすでに2016年7月、11月の2回に亘り開かれている。オンライン調査の拡大など今後の課題については総務省統計局「平成32年国勢調査有識者会議」サイトで確認されたい。ただし、その内容はいまのところ具体的な提言らしき内容は見当たらない。

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米国防総省のリリース「CV-22 Osprey Squadron to be Stationed in Japan」の真の戦略的意図とは?

2017-03-14 14:03:55 | メディアを越える最新情報

 本日、筆者の手元に国防総省からのリリースCV-22 Osprey Squadron to be Stationed in Japanが届いた。その内容は、本日付けの時事ドットコムニュース「オスプレイ、横田基地配備延期=19~20年に最長3年-米国防総省」でも報じられているとおりであるが、標題にあげたとおり横田基地配備予定の3年の遅れはいかなる意図があるといえるのか。 

 最大の理由は、2016年12月13日午後9時半沖縄県名護市東海岸から約1キロの沖合で起きた米軍MV-22オスプレイ1機の墜落事故であろう。その原因は、いまだにわが国民に明らかになっていないなかで、やはり一番にあげるべきは、米軍の事故発生率の高さや被害額の大きさであろう。(note1) 

 さらにいうまでもないが、人口密度が極めて高い関東圏で訓練飛行するとなると今回のような「不時着」(正確は墜落)は絶対に回避不可能という問題である。ここで取り上げる情報としては、日本共産党神奈川県委員会オスプレイ 首都圏に9訓練ルート・「気象支援」訓令で判明」等があげられよう。

 さらに、大きな基地問題となる厚木基地の飛行・訓練ルート問題、騒音や重大事故によるリスク問題は何ら解決されていない。 (note2) 

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(note1) 2014.11.3 沖縄タイムズ「空軍オスプレイ、嘉手納配備計画に遅れ」等参照。 

(note2) 町田市が公表している「町田市:厚木基地に起因する騒音等の状況:訓練内容・飛行コース」参照。

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