2月の下旬、大阪城ホールへ Eric Clapton のライブコンサートに行った。比較的暖かだった昼間と違い、気温はぐんぐん下がって寒い。暗くなりかけた夕暮れ、京橋から大阪城ホールへ一人歩いた。願いはただひとつ、"Running On Faith" が聴きたい。
予想どおり、この夜のセットリストにはなかった。Jerry Lynn Williams がEric Clapton の アルバム "Jurneyman" のために楽曲を提供した "Running On Faith" だが、ここでも彼は酩酊しかけている。酒に酔うと、気持が大きくなり気分がよくなる。ある程度のところでやめればいいが、さらに飲むと未来志向が沈滞し、過去への回帰が始まる。気持が今までの人生の終わってしまった昔の方へ向いて、ぐだぐだとしてくるのだ。
"Running On Faith" は「信じ続ける」というほどの意味だが、何度となく聴いたこの歌を、迂闊にもつい最近まで "faith" を "face" と聴きとっていた。自分の耳はこの両者をまったく区別しなかったので、 "Running On Faith" は "Running On Face" と思い込んでいた。だから、"Running On Face" は「(涙と鼻水で)顔がずるずる」と信じ続けていたのだ。
そう誤解して、この曲を聴いていても、生傷をやさしくなめられているような軽いとまどいと快い痛みが、嵐のあとの寄せては引く波のように、身体に満ちてくる。現在から未来を見ている女と、過去からしか未来を見つめることができない男のちがい。その決してぴったりと重なることのない永遠のズレが哀しい。もはや鼻水をすすっている場合ではない。ともに歩いていた一本の道が、左右にわずかに分れ始めたことに気づいてしまった。そんな男の胸のうちを、せつなくやるせなく歌っているのが "Running On Faith" なのだ。
"Running On Faith" - Eric Clapton -
Lately I've been running on faith
What else can a poor boy do?
But my world will be right
When love comes over you
あれから ずっと 信じていることがある
ほかに 何ひとつできそうにないから
でも これでいいんだ
あなたに 幸せがくるなら
Lately I've been talking in my sleep
I can imagine what I'd have to say
Except my world will be right
When love comes back your way
あれから ずっと 夢の中で話しかけていた
どう 言えばいいのだろう
もう これでいいんだ
あなたに 幸せが戻ってくるなら
I've always been
One to take each and every day
Seems like by now
I'd find a love who cared, cared just for me
いつも そうだった
ずっと 毎日 耐えてきた
今だって そうだ
愛されたい ただ それだけなのに
Then we'd go running on faith
All of our dreams would come true
And our world will be right
Love comes over me and you
信じあってさえいれば
どんな 夢だって叶う
そうしていたら すべてうまくいって
ぼくらは 幸せに なれただろう
I've always been
One to take each and every day
Seems like by now
I'd find a love who cared, cared just for me
いつも そうだった
ずっと 毎日 耐えてきた
今だって そうだ
愛されたい ただ それだけなのに
Then we'd go running on faith
All of our dreams would come true
And our world will be right
When love comes over me and you
信じあってさえいれば
どんな 夢だって 叶う
そうしていたら すべてうまくいって
ぼくらは 幸せに なれただろう
yes it would
あぁ、きっとそうさ
Love comes over, over you
Love comes over, over you
Love comes over you
Love comes over you
Love comes over you...
translated by t. A