ひさらのきまぐれ。

多趣味だけどどこかぼんやりな私(ひさら)の気まぐれブログ。
趣味の話、日々の話。

RENT The Broadway Tour(赤坂ACTシアター)

2009年08月30日 | 舞台
レント」来日公演を見てきました。→TBS公式HP

今回の目玉はなんといっても、オリジナル・キャストであるアダム・パスカルアンソニー・ラップが、約15年前と同じその役で出演というところ。
ロジャーの声も、マークの動きも、「元祖」が見られる贅沢なツアーです。

私の記憶の中で”ミレニアム”という言葉は、この作品と強く結びついています。
1996年アメリカでの初演は残念ながら知らないのですが。
1998年9月、劇場こそ違え同じ赤坂の地で、日本版初演初日の公演を見ました。
以来、日本再演版だの、来日公演だの、日本全国あちこちの劇場へ、さらには勿論本場ブロードウェイにまで見に行ったりと、そりゃもう追いかけました。
いつの間にか20世紀は21世紀になっていました。

出会いは他愛もないものでした。
好きな俳優さんが出演する、というだけ。
作品そのものについての事前情報はほとんど無し。

プッチーニの「ラ・ボエーム」がベースになってるミュージカルで、舞台を現代のニューヨークに置き換えたから、貧しい人たちのかかる病気は肺炎じゃなくてAIDSらしい。ロミオとジュリエットがウエストサイド物語になったのと同じようなもんかな~、程度の感心しかありませんでした。

ブロードウェイ版のCDを聞いてはいたものの、歌詞カードの英語を逐一全部読んであったわけでもないし。ロックのリズムでガンガン歌われてる言葉が全部意味を取れるわけもなく(それがたとえ日本語であっても)。

初日を終えたばかりの俳優さんに、楽屋口で「どうだった?」と聞かれ。「(あなた以外の人は)何言ってるのか全然わからなかった」と正直に答えた私((^^;;
御当人は苦笑気味。(まぁそうだろう)

でも。
彼は分かってくれました。
私は手にハンカチを握りしめていたし、ほっぺたは涙の跡でぐしゃぐしゃだったから。
「なんだかわからないけど、すんごい泣けた」
力説する私に、「うんうん。そうなんだよ」といつもの笑顔で、優しく笑いかけてくれたのでした。
その場を通りかかった女性キャストとも「初日おめでとうございます!」「ありがとう。これからもがんばるネ!」と、自然と言い合えるような雰囲気がそこにはありました。
…ああ、青春の思い出(笑

言葉は分からないのに、作品がもってるメッセージが直接胸に迫ってきて。
号泣したんです。
頭が痛くなるくらい。
「通じる」って、こういうことを言うんだなと。
初めて感じた瞬間だったかもしれません。

それから私の「RENT HEADS」(この作品の中毒者みたいなファンをこう呼ぶのです)生活が始まったのでした。

今ではその勢いも収まり、もう過去の話となってしまいましたが。
今回のこの来日公演を見て、その時の熱とか、涙などを思い出してまた少し、泣いてしまいました。

今まで来日公演の「RENT」は数パターン見てきましたが。(中には正直、おいおい・・・と思ってしまった出来もありました)
はっきり言って「もういいよ…」という気持ちも半分ありました。なんだか気持ちが萎えちゃって見に行かなかった時もあります。
でも、何の虫の知らせか、これだけは見ておこうと。

実際見て。
今回のツアーは違う。
そう思えました。

映画で感じた「ああ、もう昔の話になっちゃったんだねぇ…」という感慨ともまた違う。
「そうそう!こういうのが私は好きだったんだよ」という、前向きな感覚。
それを思い出させてくれる公演でした。

この作品は強いメッセージ性を持ってはいるけれど、それを押し付けないところが好きなんだと思います。
いくらありがたい説教だってやっぱりね。何度も聞かされたらうんざりしちゃうもの。
さりげないのがいい。

それと、この作品において一番私が好きなところは、人の個性について「否定をしない」ところ。

「人はみんなそれぞれなんだ、いろんな人がいて当たり前。」
最近特によく聞くようになりましたが。
それらを頭で理解してはいてもなんとなく態度で拒否してしまうことって、割とあると思うんですね。
言葉にすると余計にうすら寒いものを感じてしまう。

この作品を見るとキャラクターたち全てが、拒絶されることなく、「それでいいんだよ」と許されているように思えます。それもとっても自然に。
そこが大きな救いです。


またこんな風に強く「好き!」と突っ走れる作品に出会えたらいいなぁ。
なんて、思ったりもしている今です。

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2 コメント

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Unknown (八倉治療院)
2009-08-30 20:18:21
 なぜか今日のひさらさんのブログ、熱がこもっていましたね。相当昔から、「RENT」には、思い入れがあるのでしょう。熱くて、熱くて、こちらまで焼けどうしそうです。実は、僕も去年ぐらいに「RENT」の映画をレンタルビデオで見ました。はっきり言って、何がなんだかさっぱりわかりませんでした。
しいて言うならば、ひさらさんと同じような感想になりますが、「それと、この作品において一番私が好きなところは、人の個性について「否定をしない」ところ。」そういうテーマが、僕にも理解できました。
 ひさらさんのように感性で味わったわけではないので、印象は薄いのですが、改めてあなたの感想を読ませてもらい、改めて、作品をすこし鑑賞することができたような気がします。
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RENT HEADS (ひさら)
2009-09-09 01:35:13
八倉治療院さまコメントありがとうございます。
映画は(時間の関係か)ミュージカルのさらにダイジェスト版みたいな感じなので、余計分かりづらかったようにも思えます((^^;;
知ってる目で見ると「うわぁ!そのまんまだ!」とプチ感動だったんですけどね。
まぁ全部は分からなくても、何か一つでも「伝わるモノ」があればそれでいいのかなとも思います。
この作品語りだすと止まらないひさらでした(苦笑
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