ひさらのきまぐれ。

多趣味だけどどこかぼんやりな私(ひさら)の気まぐれブログ。
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英国ロイヤル・オペラ「マノン」(東京文化会館)

2010年09月20日 | 舞台


指揮 アントニオ・パッパーノ
演出 ロラン・ペリー
出演 マノン:アンナ・ネトレプコ
   騎士デ・グリュー:マシュー・ポレンザーニ
   レスコー:ラッセル・ブラウン
   伯爵デ・グリュー:ニコラ・クルジャル
   ギヨー・ド・モンフォルテーヌ:クリストフ・モルターニュ
   ブレティニー:ウイリアム・シメル



アンナ・ネトレプコ最高!
もう、ドキドキしながらワクワクしながら、うっとりしながら、聞き惚れていました。
素敵~~~~。ほぅ。

目下世界一の“マノン歌い”というだけあって、その魅力的なことったら!!

「マノン」のあらすじはこちらをチェック
→NBS 英国ロイヤル・オペラ 2010年日本公演公式HP 


何がってとにかくその小悪魔というか悪女っぷりが、パーフェクト。
あれだけの魅力ある人に迫られたら、コロリとやられますよ。魅入られちゃったんだから、デ・グリューには逃げ場はないですね。

中でも圧巻は、第3幕、サン・シュルピス修道院で全てを捨てて神の道を歩こうと決意したデ・グリューに会いに来たマノン。一番の聞きどころ、二重唱<♪あなたが握る手は、私の手ではないの?>です。
色々な演出があるとは思いますが、今回のマノンはひときわ悪女っぷりを発揮。

元々デ・グリューというのはお坊ちゃんで、マノンと出会って道を踏み外しただけなので。お父さんに言われてまた、マノンに裏切られたこともあって泣く泣く諦めたわけです。修道院にこもって神に仕える生活をしようと心に決めて、俗世のすべてを忘れ、切り離してしまおうと決死の覚悟のおぼっちゃま。
そこへ、現れました、悪女マノン。
その出現に最初は驚いて、内心は揺れながらも一応きっぱりと拒絶するデ・グリュー。マノンに背を向ける。
と。いきなりマノンはデ・グリューの足元に身を投げる。ぱたりっ。
そして歌い始める。♪この手は、あなたのものではないの?
足元に倒れ伏して、そこから腕をスススッと伸ばし、ちらっちらっとデ・グリューの手に触れるのです。

このね、下からの寄せ(?)が心憎いですね。デ・グリューにとっては予想外の方向。
背中越しにツンツンなんてやられたって、「ふん、今更もう遅いぞ!」と突っぱねられたと思うんです。

大好きな女性が床に泣き崩れてるわけですよ。それだけでも心揺れるのに、そこからすすすっと肉感的な手が触れてくる。
その手を握り返したい。でもそれは出来ない。
でも触れていたい。
いやでも…でも…。

どうしたらいいのか分からなくなって、ワキワキした手の持っていき場がなくなって大理石の柱にスリスリするデ・グリューが、可哀想で可笑しくて。

最後には勢いづいたマノンに背中から(おんぶみたいに)ガバッ!と抱きつかれて。アウト。

この完璧なまでの「小悪魔とそれに魅入られちゃった可哀想なおぼっちゃま」な図が、美しい歌声とともに展開されて、最高に楽しかったです。

この二重唱のモチーフは、最後にもあらわされるんですが。(今度はデ・グリューがマノンに対して歌う)報われないんですよねー。
最期の最期までそういう二人です。

いやぁ、心底楽しかった。
良い作品を見ました。

出来れば。。。。もう少しお安く見られたらいいのになぁ。
1枚5万4千円…高い(T-T)
それでも満席でしたがね。

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