オヤジの学習な日々

53歳で試験に合格、行政書士として自立をめざすオヤジの日記

「資本論」蒐集 長谷部文雄⑧

2006-12-31 | 「資本論」蒐集
11時就寝7時半起床 

「サンデーモーニング」年末拡大版 

平和を目指す立場から世界の軍事技術を見る特集 

寺島実郎の発言 
今年はイラク戦争が誤ったものだったことが明らかになった年 
来年は日本がこのままアメリカに追随していくことでいいのかが問われる年 

掃除と買い物の一日 
照明と風呂の掃除を担当 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄⑧

長谷部訳「資本論初版鈔」岩波文庫
1929(昭和4)年6月

マルクスは1867年に『資本論』第1巻初版を出版したが、1872年の第2版では「価値形態」論の叙述を大きく変更した
このことから現行資本論とは別に「初版」は独自の意義を持っているとされる

この「初版」は世界で最初の復刻として1928(昭和3)年に大原社会問題研究所編『原文対訳 資本論初版首章及附録』として出版されたが、河上肇が委嘱をうけたものの、実質は長谷部が翻訳にあたったものだった
左頁はドイツ語、右頁に日本語の訳文となっているもので
大原社会問題研究所の貴重本、『資本論』の初版本を写真にとって複写したものを「原稿がわりにして、なるべく汚さないようにして、京都で印刷し、翻訳本をつけた」

本書はこれを「多少の修正を加えた」もので、初版と現行版(エンゲルス編の第4版、カウツキー版)との相違が示され、価値形態に関する手紙も収録されている

2003年12月、F文庫で入手

「資本論」蒐集 長谷部文雄⑦

2006-12-30 | 「資本論」蒐集
11時就寝7時半起床 

恵は餅つきの手伝い 

「京都もうひとつの歴史-信長の野望」をみる 
今年は信長にかかわる小説・ドラマを見ることが多かった 

夕方買い物  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄⑦

長谷部文雄訳「資本論 経済学批判」戦前日本評論社版
第1部資本の生産過程 第1巻上冊、下冊
1937(昭和12)年5月・11月
菊番・函 堅牢な装丁

長谷部は刊行の意図を「訳者の言葉」で
高畠素之訳業を高く評価しながら、その「欠陥を補修せんとする」としている

その欠陥とは「マルクスの弁証法的叙述をできるだけ忠実に再生産する為の充分な配慮が為されていないこと、および、具体的事実に関する箇所の概して正確・流暢な訳文にも拘はらず、抽象的理論の部分については遺憾の点が少くないこと」

長谷部は満州事変勃発の翌年、昭和8年7月から1年ほど治安維持法によって検挙投獄された
出獄したら「資本論の勉強を本式にやろう」と決意して、その刑務所生活のあいだにドイツ語の学習に打ち込んだ
「毎日朝六時くらいから、…一日十何時間か」ドイツ語の文法辞典を六回も繰返し読み通したという

出版された昭和12年は日中戦争勃発の年、上冊は4月、盧溝橋事件は7月、下冊は11月に出されている
昭和13年にはマルクス主義関連の文献はすべて発禁となった
「もう昭和13年には、第二巻の原稿はできていたが本屋が出版できないというので原稿は本屋に渡さなかった。渡さなくてよかった」と後に長谷部はもらしている

2003年10月大阪天満宮の古書市で、古書店Rで入手
函傷み、天地にシミ、ヤケなど経年疲労 本文には線引きなどはない
下冊には古書店の書票がある「AZABU OGAWABOOKS」と読める

「資本論」蒐集 長谷部文雄⑥

2006-12-29 | 「資本論」蒐集
11時就寝7時起床 

早起きしてヤフオクのオークションに参加 
敵も然る者 
当初の額の4倍を入れるも届かず 

今年最後の民生委員訪問活動  

「鬼平犯科帳」を見る

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄⑥

長谷部訳「資本論第一部~第三部」河出書房
上製版『世界の大思想』シリーズ№18~21
1964年10月~1965年1月
ビニールカバー・函付きの堅牢な装丁、全3巻を全4冊に詰め込んでいて活字は二段組、第1巻1冊・第2巻1冊・第3巻のみが2分冊

1967年現在で、合計で43万3000部出されていたとのこと(鈴木鴻一郎『資本論徧暦』)

長谷部は第1分冊に「解題」、第3分冊に「解説―『資本論』の原典と翻訳」「『資本論』年表」を自ら執筆している
後に長谷部はこの「年表」について、
「中国語版の『資本論』のことを私は河出版『資本論』第3巻の附録の『資本論年表』にくわしく書いておきました。ひょっとすると、中国語版『資本論』のことは私がいちばんよく知っているかもしれません」
と書いて、直接自身が中国の研究者に問い合わせたものであることを紹介している(「『資本論』初版以後とその各国における普及状況」『回想の長谷部文雄』所収)

冒頭の文章の訳文は次の通り
「資本制的生産様式が支配的に行なわれる諸社会の富は、一つの「厖大な商品集成」として現象し、個々の商品は、こうした富の原基形態として現象する。だから、われわれの研究は商品の分析をもって始まる」
⑤の角川書店版に比べても、細かい点で変更されている

第1分冊のみは入手時期・入手先不明
2003年11月に第2分冊以下3冊を大阪のN書籍で入手

「資本論」蒐集 長谷部文雄⑤

2006-12-28 | 「資本論」蒐集
11時半就寝7時起床 

年末の買い物 
「おせち」はすでに生協に予約済みだが、
それ以外の年末年始の食材を買う 

田舎に送るものも 

午後、恵は東京から帰省の娘の迎え 

こちらは夕食の「おでん」作り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄⑤

長谷部訳「資本論第一部~第三部」(角川文庫)
全8分冊 (第1巻3冊、第2巻2冊、第3巻3冊)
1961年12月~1962年11月

奥付には「全九冊」とあるが、「索引」にあてられた第9分冊は未刊

1967年現在で、合計18万3000部が出たという(鈴木鴻一郎『資本論徧暦』)

第1分冊に掲載の「訳者あとがき」によると
「この角川文庫版『資本論』は、青木書店の了解をえて、青木書店版に多少の改変を加えたものである。旧字体を新字体にあらため、仮名を多くし、ところどころ文章を変えるなど、いくらか読みやすくなっているかと思う」

冒頭の文章の訳文は次の通り
「資本制的生産様式が支配的に行なわれる諸社会の富は一つの『厖大な商品集成』として現象し、個々の商品はかかる富の原基形態として現象する。だから、吾々の研究は商品の分析をもって始まる」

新字体になったことによる変更を別にすれば、これまでと変わっているのは『厖大な商品集成』となったこと

2005年2月にT書店より第1分冊を入手したのみ
経年疲労はあるが、帯・パラフィン紙付きの比較的きれいな本
スリップもそのままで、読まれた形跡はない

残念ながら未だ残りの7冊は未見

■2007.5.4 追記
京都市勧業館の春の古書即売会で
全8冊を一括セットで入手
パラフィン紙こそ無いものの痛みもなく帯付きのきれいな状態

三鈴書林(大阪南森町)から4000円で

第一分冊以外のほかの分冊には訳者のコメントは無い


 

「資本論」蒐集 長谷部文雄④ 

2006-12-27 | 「資本論」蒐集
11時就寝8時起床 

今年最後の図書館 
そして買い物 

午後はゆっくり 
夕方ブックオフへ散歩 

・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄④ 

長谷部訳「資本論―経済学批判」B6版上製版
1954年4月~7月・青木書店
資本論全3巻が全5冊と、索引1冊からなっている

③の文庫本の刊行途中から並行して出版されたが、上製版のほうが元の版で、文庫本はこの版を写真製版で縮小して先に出版されたもの

文庫本と並んで上製本を出版する理由について、長谷部は「訳者はしがき」で次のように述べている
「『資本論』は価格の低廉と携帯の便利の点から文庫本を要求すると同時に、長期にわたる保存および反復繙読にたえる上製本をも必要とする。しかし、両者の組方が相違することは、参照を不便にするので許されない。そこで、出版社と協議して採用したのがこの形式である」

上製本はのちに出版された特製革背本をふくめて約8万部だされた(『資本論辞典』)

2003年12月、「剰余価値学説史」第1冊を加えた計7冊の揃いで青森の古書店Rで入手
同一人の持ち物、押印あり カバー・帯ありの美本

「資本論」蒐集 長谷部文雄③

2006-12-26 | 「資本論」蒐集
11時半就寝7時起床 

午前中年賀状の仕上げ 
あとはコメントを書いて今日中には投函したいが 

午後、買い物 
風邪薬・お酒・生協など 

雨が本降りに 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄③ 

長谷部訳「資本論―経済学批判」文庫本
1951(昭和26)10月~1954(昭和29)8月
第1冊~第14冊・青木文庫(青木書店)

訳者はしがき
「ここに公にするものは…日本評論社から刊行された資本論全3巻を、同社の諒解をえて改訳したものである。この改訳にあたっては、①訳語および文体(前の版は何分長期にわたる仕事であったので若干の不統一を免れなかった)の統一をはかり、②学問的に一層の厳密さを期し、③日本語として一層平易なものにすることに微力をつくした。これをもって拙訳の決定版にしたい」

資本論第1部が4分冊、第2部が3分冊、第3部が6分冊、そのほかに長谷部文雄と娘婿の鬼塚安雄による索引1冊がある
長谷部「はしがき」によるとこの索引は、この時点では全3巻の統一索引としては「世界最初のもの」であるという 

ここには他の訳本にはない「年代順事項索引」がある
これは上杉正一郎の手によるもの 
資本論で触れられた事項を歴史年代順に並べたユニークなもの
ちなみに最初の事項は「768年:カール大帝の農奴創設」、最後は「1870年:ヨーロッパ農業の地主的苦難」 

有名な冒頭の文章の訳文は次の通り
「資本制的生産様式が支配的に行われる諸社会の富は一の『厖大な商品集聚』として現象し、個々の商品はかかる富の原基形態として現象する。だから、吾々の研究は商品の分析をもって始まる」
①および②の日本評論社版では「資本制生産様式」となっていた箇所が「資本制的生産様式」と変更されている

2006年4月、索引を含む全14冊を楽天フリマにて入手 
帯・パラフィン紙はついているものの、経年疲労に加え赤鉛筆による傍線が全巻にある

どうやら前の持ち主はこの資本論を全巻通読したと考えられる 
資本論を求める人は多いが、たいてい第1巻を買って少し読んだだけで後は「ツン読」をいう人がめずらしくないと思われる

この青木文庫は全部で36万部発行されたという事だが、当然各巻の部数には差があって最後の第13分冊は第1分冊に比べ1/4だとの事 
発行部数からいっても全巻を通しで買った人は少なく、ましてや全巻読了した人はというと極めて少ないだろうと思われる
 
旧持主がどんな人だったのか興味を引かれる
古書の蒐集にはこうした楽しみがある

この青木文庫はさらにおなじ内容がB6版5分冊としても出版された 

「資本論」蒐集 長谷部文雄②

2006-12-25 | 「資本論」蒐集
11時就寝8時半起床 

寝覚めが悪く、寝床でウトウトが続く 

恵も頭痛が続き体調あまり良くない

昼前に買い物 

午後は年賀状の仕上げ 
恵は柚子で「ゆべし」づくり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄② 

長谷部文雄訳「資本論 経済学批判」研究者用上製版 
 第1冊~第5冊
(日本評論社・1950年7月~1951年4月)

①の普及版「資本論 経済学批判」の完結と前後して、研究者用の上製版が出版された
長谷部は「序」でその趣旨について次のように述べている
「『資本論』は普及版を是非必要とするが、他面、数多くの研究者から、書入のできる紙質と余白をもつ、長期の使用にたえる装幀の、上製本が久して要求されてきた。ここに、従来の普及版と並行して研究者版をおくることにより、この要求に応じることができる。誤訳や誤植は気づいたかぎり訂正してあるが、分冊の仕方、および紙型は、従来の普及版のままである。B6版がA5版に改められたのは、ひとえに、書入用の余白を設けるために他ならない」

画像を見るとわかるように、なるほど充分な余白がとりわけ上部に設けられている

ただ残念なことに、この上製版は第2巻第1分冊までの5冊が出されただけで、あとは刊行されなかった
中断の理由はよく判らないが、長谷部がそのあとの訳本を編集するにあたって、日本評論社版の欠陥として「高価すぎること、分冊数が多すぎて不便なこと」(「資本論随筆」)などを挙げていることからすると、長谷部自身も満足できず、出版社も充分な採算が見込めなかったのかもしれない

なお、この評論社版の装幀デザイン(表紙のまんなかに赤い横帯)は当時独語版としてなじみのあったインスティテュート版を模したものであったようだ

2004年の2月、大阪天満宮での古本市の100円均一コーナーで4冊を入手
惜しいことに、5冊のうちの第4分冊(第1巻の最終冊)のみが抜けている
もっとも揃っていれば均一コーナーには出さないだろうが

「資本論」蒐集 長谷部文雄①

2006-12-24 | 「資本論」蒐集
12時就寝 
昨夜は民生委員の会議から帰ってきてからクリスマス、
ワイン・ケーキで食べすぎ 
7時半起床 

「サンデーモーニング」 

年賀状のデザインがなかなか決まらず 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「資本論」蒐集 長谷部文雄①

今年11月入手、
長谷部文雄訳「資本論 経済学批判」
第1冊~第11冊 

日本での「資本論」3巻の最初の全訳本は1920(大正9)~1924(大正13)に出版された高畠素之のもの 
「マルクス全集」全10冊のうちの第1巻~第9巻として大鐙閣(途中から而立社)によって出された 

この長谷部訳は全訳本としてはそれに続くもの 
1945(昭和21)10月~1950(昭和25)8月にわたって日本評論社より出版された 

訳者序言にもあるとおり「購め易い分冊による大衆版の形式」をとっているが、終戦間もなくの状況を反映して紙質も悪くいかにも廉価版という感じ 
ただ戦時中発禁処分になっていた資本論が公然と出版されたわけで、「初版部数は3万で、10日ばかりのうちに売切れた」(長谷部『資本論随筆』)という 
とにかく熱狂的に迎えられたようだ 

「いま訳者に課せられた任務は、できるだけ良い翻訳をできるだけ早く公にして、本書に対する日本人民の要求に応ずることであらう。忠実と平明との統一は理想であるが、その両立し難い場合には忠実を主とした」(訳者序文)とある
その訳文は「…として現象する」「自己を貫徹する」などの独特の「硬い」調子だった

有名な冒頭の文章の訳文は次の通り
「資本制生産様式が支配的に行はれる諸社会の富は一の『厖大な商品集聚』として現象し、個個の商品はかかる富の原基形態として現象する。だから、吾々の研究は商品の分析をもつて始まる」