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JRの新車両はここが違う!
私が感じたデザイン、乗り心地の違い
企業同士、あるいは製品同士を何かにつけて「ライバル対決」の構図に持っていくのが
マスコミの悪い癖。読者の興味を引きやすいし、ストーリーも組み立てやすい。
ネタに困ると、つい安易な「ライバル対決」に走ってしまいます。
勝手にライバル関係にされてしまう当の企業にとってはいい迷惑でしょうが。
JRのライバル関係?
最近でいえば、JR東日本とJR東海が相次いで投入した新型新幹線が「ライバル関係」になりました。
3月16日に営業運転を開始したJR東日本の新幹線E6系は、
著名デザイナーの奥山清行氏の手による真紅のデザイン。
外観からして、いかにも「速い」という印象を与えます。
![](http://tk.ismedia-deliver.jp/mwimgs/0/8/570/img_08a25fc99c9d82902425358ad6c496fd364554.jpg)
一方のJR東海は2月8日に営業運転を始めたN700A。
現在の主力であるN700系を進化させ、地震時のブレーキ距離を大幅に短縮したり、
ダイヤが乱れた場合に速やかに回復させる定速走行装置を導入したり、
カーブ区間の乗り心地を快適にする車体傾斜装置の適用区間を拡大するなど
レベルの高い技術を採用しているとのこと。
営業運転に先立つ2月1日、N700Aの試乗会が開催され、私も名古屋から参加しました。
新車両の乗り心地は?
午前中に東京から名古屋へ向かう列車は在京メディアで満員だったそうですが、
午後の名古屋から東京に向かう列車は結構すいており、広報担当者だけでなく、
同乗した技術開発の担当者からN700Aの技術を詳しく説明してもらうことができました。
ただ、その技術を体感できたかというと、これが難しい。
運行中にカーブの有無によって車体傾斜システムが作動するのですが、
担当者、「いま車体傾斜システムが作動しましたのがわかりましたか」、
私「すいません。わかりませんでした」。
逆に私が「いま車体傾斜システムが作動していますね」。
担当者「まだです」といった具合。
しばらくすると、
「これから速度を自動制御する定速走行装置を使って運行します」というアナウンスがありました。
それからまもなく、モーター音が変わって少し減速したような気がしたので、
「これが定速運行ですね」と言ったら、
「運転士が手動で減速したのでしょう。定速運行で乗り心地が変わるということはありません」。
その後は担当者の方が開発時の苦労談を一生懸命お話ししてくださったのですが、
それを実感することができませんでした。ごめんなさい。
ただ、考えてみれば、車体傾斜システムの適用区間の拡大については、
同じ区間を乗り比べてみないと違いはわかりませんし、
定速運行装置は通常運行時は威力を発揮しない。
「体感できませんでした」でちょうどいいのかもしれません。
外観についてもN700Aはマスコミ泣かせ。
真っ赤なE6系に比べて、N700Aのデザインは既存のN700とほとんど変わらない。
私がわかる違いといえば、車体に描かれた大きなAのロゴくらい。
「N700Aの車体横の青いラインはN700より長いんだよ」と、
鉄道に詳しいカメラマンさんが教えてくれましたが、これを判別するのは素人にはちょっと難しい。
ラインを青から赤に代えるだけも大きなインパクトがあると思うのですが。
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では、内装はどうかというと、「普通車シート頭部のヘッドレストの拡大により、
パーソナル感を向上させ、さらに快適性がアップ」(同社発表資料より)したそうです。
また、車内照明電力を削減した分、シートの色を明るめに変えたことで車内の照度を維持しています。
ヘッドレストが拡大したりシート色が変化したのであれば、違いを認識できそう。
だが、これが甘かった。
営業運転開始から程ない2月12日朝、私は品川から名古屋に向かう新幹線に乗車しました。
車内はビジネス客でほぼ満員。パソコンで仕事をする客、新聞や雑誌を読む客。
いつもの新幹線とまったく変わらない光景でした。
私も席に着くやいなや、名古屋に着くまでずっと仕事をしていました。
時折、ぼんやりと車内を見渡しながら、
「これがN700Aだったら車内は明るいのかなあ、逆に暗いのかなあ」と思ったりしていました。
![](http://tk.ismedia-deliver.jp/mwimgs/6/7/570/img_6713d0ca22c4157e40d791c7314e9333103279.jpg)
名古屋駅に到着すると、ホームで何人かの人が私が乗っていた車両を写真に撮っていました。
何事かと振り向くと、そこに大きなAのロゴが。
私は自分が乗っていた新幹線がN700Aだということに下車するまで気づかなかったのです。
最初は自分のうかつさを反省したのですが、
ふと、車内にいた乗客たちもN700Aだということに関心を持っていなかったことに気づきました。
東海道新幹線の乗客の多くはビジネス客。
仕事、読書、あるいは睡眠。乗客が思い思いに過ごしてもらうために、
ストイックなまでに車両の個性を消しているのかもしれません。
個人的にはJR九州の新幹線のように個性的な車両が大好きなのですが、
あえて個性を出さないN700Aのストイックさも好きになってしまいました。
でも、ラインを赤く塗ったN700Aが1編成だけでも走れば、大ニュースになると思うんです。
JR東海さん、検討してみませんか。
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