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住友商事の売上高が3分の1に減少!?

2010年04月30日 03時04分42秒 | ニュースの感想
売り上げ金額に理解が出来るのは年商10億以下ですから~(笑)
それ以上は天文学的金額になります~ようは訳分らん天文学的売り上げとなるのです(笑)

IFRSで陥りがちな経営分析と管理会計の罠
http://diamond.jp/articles/-/8028
最近、仕事の関係で、東京の新橋や虎ノ門界隈を歩くようになった。書店を見かけるたびに立ち寄って時間を浪費し、慌てて外へ飛び出して目的地へ走らざるを得なくなってしまうのは、一種の職業病といえるだろう。

 その書店で昨年来、多く見かけるのが「IFRS」の文字である。現在の会計関連書籍の半分ほどに、この冠文字が付いている。書棚に「IFRS対応/詰碁問題集」や「柴犬のしつけ方/IFRS編」というものがあれば、筆者などは思わず手を伸ばしてしまいそうだ。

 IFRSの正式名称は“International Financial Reporting Standards”である。うるさい人は「IFRSは、会計処理を定めたものではなく、財務報告を定めたものである」「したがって、国際会計基準ではなく、国際財務報告基準と呼ぶべきだ」と騒ぐらしい。

 筆者は別に「国際カイケー基準」でも差し支えないと考えている。金融庁/企業会計審議会でも「国際会計基準」を用いている。語呂のよさもある。訳語に厳密性を求めるのなら、そもそもの話として“Profit and Loss Statement”を、損益計算書ではなく、「益損」計算書と呼ぶところから改めないといけなくなるだろう。

 ピラミッドの形に「金」の字を連想して「金字塔」と訳した先人の知恵を見習えば、「IFRS」の形を眺めているうちに何かしらの妙訳も浮かぶであろうが、いまは脇に置いておこう。問題なのは、IFRSを扱った書籍のほとんどが制度紹介であり、決算書の様式がどう変わるかといった「ハウツー解説」にとどまっていることだ。

 IFRSの提灯持ちをするのではなく、もう少しユニークな切り口はないものだろうか。書店をあとにして、霞ヶ関方面に向かって歩いているときに思いついたのが、今回のコラムである。

8兆円の売上が消滅する?
IFRSが商社に与える多大な影響
 本連載でも国際会計基準(IFRS)については、何度か登場した。今回は、前回コラム(総合商社編)で扱わなかった住友商事に、IFRSを絡めてみよう。

 とはいえ、住友商事の業績や、同社によるCATV最大手ジュピターテレコムのTOB(株式公開買い付け)をどうこう吟味しようというのではない。総合商社の決算データを利用して、IFRSが経営指標やコスト構造にどのような影響を及ぼすのかを解析する内容である。この点について総合商社は、格好の題材を提供してくれるのだ。それでは「マジカルIFRSツアー」をスタートする。

 最初に、〔図表 1〕で道しるべを示すことにしよう。

 まずは〔図表 1〕(1)に関する検証である。代理人ビジネスについては、第20回コラム(JT編)と前回コラム(総合商社編)で説明した。簡単に復習をしておこう。

IFRSでは原則として、売り手から買い手に「リスク」と「経済価値」が移転したかどうかによって、売上高を認識することを求めている。その際、不良債権や不良在庫などのリスクを負わなかったり、価格設定に関する裁量権を持っていなかったりする企業は「代理人」とみなされる。

 こうした「代理人ビジネス」に係る売上高を、本コラムでは「泡沫売上高」と称することにしよう。それ以外のものを「真水売上高」とする。IFRSでは泡沫売上高を消去し、真水売上高だけを損益計算書に計上することを求めている(注)。
(注)日本公認会計士協会会計制度委員会研究報告第13号「我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)IAS第18号「収益」に照らした考察【ケース1:商社の収益の表示方法】」参照。

 総合商社は「ミサイルから爪楊枝まで」を扱うといわれる。コトの真偽はともかく、ミサイルや爪楊枝の取り扱い高が、泡沫売上高と真水売上高のどちらに計上するかは、ここでは問わないでおこう。

 第20回コラムで紹介したJT(日本たばこ産業)の場合は、タバコ税に相当する部分が泡沫売上高に該当し、同社では4兆円近くの泡沫売上高が文字通り「泡と消える」ことを紹介した。

 総合商社の場合は、これがもっと深刻だ。〔図表 2〕は、住友商事と伊藤忠商事についてその深刻度を知るために、過年度売上高の推移を調べたものである。


〔図表 2〕では、上段と下段に合わせて4本の曲線が描かれている。上段に描かれている2本の曲線は、住友商事と伊藤忠商事について、泡沫売上高の計上をも認めている「日本基準」に基づいて描いた売上高の推移である。下段にある2本の曲線は、同じ2社について、真水売上高しか認めない「米国基準」に基づいて描いた売上高の推移である。

 米国基準は、IFRSと同じく泡沫売上高を認めていない。したがって、〔図表 2〕の下段にある2本の曲線は、IFRSと同じ視点に立っているとみなせる。

 以上の関係を〔図表 3〕で整理しておく。


〔図表 2〕にある下段の曲線を上段の曲線と比べると、3分の1から4分の1程度に圧縮されることがわかる。金額にして8兆円前後の泡沫売上高が消滅するようだ。思わず、う~ん、と唸ってしまう衝撃の事実である。

なお、08年後半以降の泡沫売上高のみに注目すると、両社はともに戦線縮小の状況にあるようだ。ピーク時に比べると、住友商事は▲38.8%、伊藤忠商事は▲34.4%の減収(売上高の減少)となっている。

本当に固定費への影響はゼロ?
泡沫売上高消滅のインパクト
〔図表 2〕の上部にある泡沫売上高が消滅した場合、コスト構造に影響はあるのだろうか。それが〔図表 1〕(1)の問いである。

 まず、泡沫売上高の特徴を整理しておこう。

 通常の商品売買では、商品を仕入れてから → その商品を販売する。商品を先に売り渡す約束をしてから → 慌てて商品を仕入れる、といった先物取引は想定しにくい。泡沫売上高はこうした取引の隙間で咲くアダ花であり、会計処理に多少の時差はあっても、伝票上の操作だけで売上高と仕入高が同時計上される。

 また、泡沫売上高というのは、売上高1億円に対して、コストも1億円を両建て計上する。したがって、利益はゼロ、という特徴を持つ。コスト構造に関していえば、変動費100%であり、固定費はゼロになる仕組みだ。

 このコスト構造を、伝統的なCVP分析(損益分岐点分析)に当てはめてみよう。

 答えは簡単だ。変動費率100%なのだから、泡沫売上高の消去は変動費率の低下をもたらすだけであって、固定費は1円も減らない。すなわち、固定費の削減効果は、ゼロである。これがCVP分析に基づいた場合の「理論的帰結」だ。

 その理論的帰結が、実際に観察されるかどうかを調べたものが〔図表 4〕である。


〔図表 4〕は、住友商事について、CVP分析に基づいた固定費の推移を描いたものだ。本連載で再三指摘しているように、固定費がマイナスになってしまう現象には相変わらずウンザリするのだが、とりあえずそこには目をつぶる。

 黒い線は泡沫売上高の計上を認めている日本基準に基づいて描いた固定費であり、茶色の線は真水売上高しか認めない米国基準に基づいて描いた固定費である。その乖離幅は、期によって1兆5千億円にも達する。おまけに、09/3(09年3月期)以降は逆転現象が生じている。

〔図表 4〕で描かれた事実に対し、CVP分析の立場では「固定費の削減効果は、理論上はゼロになるはずであり、むしろ企業の会計処理のほうが間違っているのだ」と主張してしまいそうである。それはあたかも、天動説を墨守した中世ヨーロッパ世界を彷彿とさせる。

〔図表 2〕をもう一度、見ていただきたい。住友商事の場合、そこで描かれた売上高の推移は「なだらか」であった。それにもかかわらず〔図表 4〕で描いた固定費は大きく変動している。このデフレ状況下で業績が「なだらかでない」企業は多いだろう。そうした企業で代理人ビジネスに係る売上高を消去した場合、固定費はどのような推移を見せるのだろうかと思うと肌寒いものがある。

 もし、経営分析や管理会計などに関連した文章で「代理人ビジネスに係る売上高を消去しても、固定費には影響がない」などという記述があった場合、それは現場での実証を怠り、「理論のための理論」に陥った虚言であることを警告しておく。

SCP分析でわかった
泡沫売上高と共に消える「固定費」
 批判するなら、対案を示すのがマナーである。次の〔図表 5〕で、筆者オリジナルのSCP分析(sale-cost-profit)に基づいて計算した基準固定費の推移を示す。


 黒い線は、泡沫売上高の計上を認めている日本基準に基づいて描いた基準固定費である。茶色の線は、真水売上高しか認めない米国基準に基づいて描いた基準固定費である。

 住友商事の場合、真水売上高に係る基準固定費は、1兆円前後で安定して推移しているのがわかる。それに対して、泡沫売上高込みの基準固定費は数兆円規模に達している。すなわち、泡沫売上高は、SCP分析に基づく基準固定費にも「泡沫」をもたらす。

 基準固定費にも泡沫部分が生まれる理由は、SCP分析が(単利計算のCVP分析とは異なり)複利計算機能を内蔵しているからだ。同じく複利計算を利用したDCF法(Discounted Cash Flow)の「割引現在価値」が、SCP分析の基準固定費に相当するといえるだろう。売上高に泡沫部分があるならば、基準固定費(割引現在価値)にも泡沫が生じざるを得ない仕組みである。

〔図表 2〕を示したとき指摘したように、住友商事は09年以降、泡沫売上高を減少させているようであるが、それでも09/12(09年12月期)にいまだ1兆円強の基準固定費があるようだ。

SCP分析では、なぜ、泡沫売上高の減少とともに、黒い線と茶色の線で囲まれた基準固定費(泡沫部分)が減少するのか。これは、泡沫売上高とそれに対応するコスト(=基準固定費+変動費)が一蓮托生なので、売上高の伝票が消えれば、コストに係る伝票もまた泡と消えざるを得ない運命にあるからだ。

 なお、前回コラム(総合商社編)では「商社はヒトが財産なのであるから、発生するコストの大半は人件費から構成される」と述べた。この人件費は、〔図表 5〕の茶色の線より下の部分にある。これは真水なのであるから、泡沫売上高が消えても、ともに消えることはない。

泡沫売上高が減少しても
コスト構造は変わらない
 ただし、泡沫売上高が固定費に及ぼす影響は、金額ベースであって、コスト構造には変化をもたらさないようである。SCP分析を用いて調べたのが〔図表 6〕である。


〔図表 6〕上段は、泡沫売上高を含めた日本基準に基づくコスト構造を調べたものだ。変動費比率は「総コストに占める変動費の割合」であり、固定費比率は「総コストに占める固定費の割合」である。〔図表 6〕上段にある固定費比率の数値を見ると、40%前後で推移している。

〔図表 6〕下段は、真水売上高しか認めない米国基準に基づくコスト構造を調べたものである。その固定費比率を見ると、これもまた40%前後で推移していることがわかる。

 SCP分析でみると、国際会計基準(IFRS)が導入されようとされまいと変動費比率と固定費比率はほとんど影響を受けない、というのがもう一つの理論的帰結になるだろう。

 次は〔図表 1〕(2)の問いに関しての検証である。

「少数株主持分」は、かつては負債と純資産の中間に置かれていて、その後、純資産に組み込まれた。今度はさらに「非支配持分」と名称を改めて、株主資本へ組み込まれる予定である(注)。これも国際会計基準の影響だ。
(注)企業会計基準委員会「IFRS第3号『企業結合』」

 非支配持分(旧少数株主持分)が自己資本に組み入れられれば、ROE(自己資本利益率)にも当然、影響が及ぶ。住友商事と伊藤忠商事について調べたものが〔図表 7〕である。

両社を見比べた場合、伊藤忠商事の変動幅が、住友商事の変動幅よりも相対的に大きいことがわかる。連結子会社の多寡によって、ROEがどの程度変化するのか、各社ごとに注意して見る必要があるだろう。

コンバージェンスは
本当に「統合」なのだろうか
 国際会計基準(IFRS)関連の書籍や記事を読み、今回のようなコラムを書くと、筆者はときどき挫折感を味わう。それは、ニッポンの会計制度が国際化の波に洗われることを嘆いているのではない。むしろ、国際化の波に乗り遅れてしまったことのほうに挫折感を味わうのだ。

 日本の会計制度は2006年まで、実質的に鎖国状態にあったといっていいだろう。当時は「ニッポンの会計基準のほうが優れている」という考えかたがあったからのようだ。泡沫売上高の計上を認める会計基準のほうが優れているかどうかは、評価の分かれるところだろう。

 それはともかく、ニッポンの会計制度は2007年に方針転換を行ない、国際会計基準(IFRS)を追いかけだした。しかし、周回遅れは如何ともしがたいようだ。

 IFRSに関連する書籍や記事では必ず「コンバージェンス(統合)」という用語が登場する。統合といえば聞こえはいいが、筆者には、出遅れた者の負け惜しみに聞こえる。いまはまだ「翻訳作業」に追われているというべきだろう。コンバージェンスを「統合」と訳す文章を見るたびに、「敗退」を「転進」だと言い張った大本営時代や、「敗戦」を「終戦」と言い換えた歴史に思いが至る。

 そういえば東京の新橋から少し南へ行くと、「マッカーサー道路」というのがある。あと数年もすれば、汐留までの弾丸道路が完成するそうだ。その頃までには、翻訳作業から抜け出しているだろうか。ニッポンの会計制度の意地を見届けたい気分である。

 次回は、国際会計基準の時代を見据えた、新しい経営指標を紹介する。〔図表 7〕縦軸の「非表示」の裏に隠された「戦略利益」という概念がそれだ。当該概念については、拙著『実践会計講座/原価計算』345ページ〔式13-21〕にその計算構造を示した。いままで、なぜ、誰も気づかなかったのだろう、と思えるほど単純明快な「コロンブスの卵」だ。

 国際会計基準を語るのであればそこに一ひねり加えよう、というのが、栃木の野に下った者の意地なのである。




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