「悪魔が来りて笛を吹く」横溝正史
昭和22年、元子爵椿英輔氏が自殺した。
その当時における、貴族階級の没落を象徴する1事件として世間の興味を引いたが、それとは別に違う側面ももっていた。
元子爵は、世を震撼させた「天銀堂事件」の容疑者として名前が上がっていたのだ。
しかし、厳しい取り調べを受けはしたが、 アリバイは実証され、元子爵は容疑者から外れていた。では自殺の原因とは何であったのだろうか。
それ以後、椿家には、フルートの演奏者であった椿氏の「悪魔が来りて笛を吹く」のメロディーとともに、死んだはずの椿氏が現れるという怪現象が起きる。
椿氏の娘である美禰子より依頼を受け、金田一耕助は調査に乗り出すが・・・。
面白かった。これも人気作品で、何度も映画やドラマとして映像化されているようです。
作中にまだ「斜陽」は書かれていないけれど、とあります。貴族の没落していく 退廃的な雰囲気と、戦後の闇を引きずっている時代背景が、独特の世界観へ誘ってくれます。
実際にその当時起きた「帝銀事件」をモデルにしている箇所があります。
全体ではなく、冒頭箇所に事件の概略(モデルなのでこの小説の中での)がありますが、ぞっとするし、興味深い。
他に題材にした著名作家は松本清張や、エラリー・クイーンも「エラリー・クイーンの国際事件簿」の中で、取り扱っているらしい。読んでみよう。
っていうか、京極の「邪魅の雫」の中で記述があるの? ・・・・・買ってあるのに読んでないから・・・(汗)。