添い遂げるほどの相手ではない恋愛
沖縄の大学院で学ぶ、まだ20代半ばのこの女性が鑑定にいらしたとき、最初に私がお伝えしたのは、
「運転に気をつけてください。
あなた、最近、軽いけど何度か事故起こってるでしょう?
あなた、乗り物注意だからね」
ということでした。
「そ、そうなんです」
と大変、ビックリされていましたが、ご本人の胸を占めている恋愛のお悩み以上に、
彼女に注意が必要なのは、乗り物による事故、だったのです。
恋愛や仕事、進路など、人生の大きなテーマに悩んでいるようなとき、
人は小さなアクシデントを見逃してしまいがちです。
とくに、たびたび、続くようなときは、
「たいしたことないから」
と受け流すのではなく、
「この程度で済んでよかった」
と受け止めて、きちんと注意を払うように生活を見直してください。
小さなアクシデントは、警告や注意喚起として起きている場合もあるのです。
さて、話を本題に戻しましょう。
鑑定をすると彼女の交際相手が、とても気立てのいい青年であることはよくわかりました。
しかし、どうもバイタリティーに欠けていて、「自分がこんなふうに生きたい」という夢や目標もなく、
ただ、彼女に「くっついて」いるだけなのです。
この青年もまだ20代と若いのですから、自分の将来についても、いろいろと考えることが必要な年頃です。
でも、
「とりあえず仕事をしているし。彼女もいるし」
というような、フワフワとした生き方をしているのです。
「彼には人生の修行が必要ですね。
そして、残酷なことを言うようだけど、彼が夢や目標を持って、それを叶えない限り、
あなたたちにはゴールインはない。
あなたは、お付き合いをしながらお互いを高めあえる関係を求めているからね」
と伝えると、「その通りです」と言いいつつも、しょんぼりしていました。
「あなた、勉強したいことがあるんでしょう?」
と尋ねると、彼女は自分の夢を語ってくれました。
「あなたが学びたいことを学んでいこうとすればするほど、
彼の存在が重くなってしまって、あなたは鎖に繋がれたような気分になってしまうんですね。
彼は優しくていいコ。
でもね、いまのままの彼じゃ、添い遂げるご縁になれない。
すぐに別れて、ということじゃないけど、
彼が変わらないとご縁を結べない。
いま、そういう関係になってしまっているんですよ」
すると、彼女は、
「わかります。彼は私が沖縄の大学院に行くと言ったら、『自分も行く』と沖縄に引っ越したんです。
一緒に来てくれたのは嬉しいし、彼はいま、沖縄で仕事もしてるんですけど、
本当にそれでいいの?
って思っていたんです。
私の人生に付き合っているだけじゃないのかって」
と打ち明けてくれました。
若いカップルの場合、このようにお互いの夢や目標の温度差や、すれ違いが恋愛に影を落とすことがままあります。
出会ったときはつり合いが取れていても、精神的に大きく成長する年代ですので、
彼と彼女の成長の度合いが年々、開いてしまうのです。
とくに真面目で勤勉な女性ほど、男性よりも「しっかり」していきます。
若い男性で、性格的に優しく、自分にこれといった目標がないと、
彼女の人生に寄り添うことがいつの間にか「自分の夢」のようになってしまうのです。
「彼がね、目標持って、それに向かって頑張っているようになれば、
ふたりのご縁も変われる可能性はある。
けれど、変わるのは彼自身の問題だし、努力が必要なことだからね」
と伝えると、
「彼に、照屋先生がそうおっしゃっていたことを伝えます」
と言って帰られていきました。
ご縁があって出会ってお付き合いを始めたふたりが、その後、このような悩みに直面することも、じつはさほど珍しいことではありません。
恋愛関係になると、とくに女性はその先の「将来」を具体的に考えるようになりますが、
そのときも、「考える」頻度や内容、具体性に関しても、
男女の間で温度差が出てしまいがちなのです。
すると、次第に歩いている道がずれてきて、
気がつくと別々の道を歩いて行くようになってしまうのです。
このご相談者のように、男性の方に「変わる必要」がある場合もあります。
女性はどんなに努力をしても、たとえ恋人であっても、人の生き方を「変えさせる」ことはできません。
本人が、
「このままではいけない。変わろう。変わりたい」
と決心しなければ、人は変われないのです。
ですから相手に「変わってほしい」という時pときは、
「こういうふうにして」
と頼んだり、お願いしたりするのではなく、
自分の意思で「変わろう」と思えるように
「仕向けてあげる」ことが必要となります。
変わる、という決意も、どのように「変わろう」とするのかも、
すべて自分の意思で決めてもらうのです。
もちろん、簡単なことではありませんから、
失敗することもあります。
冷たい言い方かもしれませんが、
たとえ恋人であれ、配偶者であれ、
一心同体ではありません。
変われないのは、一人ひとりの「個人」の問題なのです。
(「ウスリの心でいまを生きよう」(光文社)沖縄のユタ 照屋全明さんより)
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