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ヴァイオリンレッスン日記帳

May the violin be with me.

練習しても上達しないような「サチった状態」はなぜ生じるのか?---その1

2020年01月31日 | Weblog

 同じ曲を長期間練習していると、もうこれ以上に上手になれないという飽和状態に達してしまうことは、誰しもが経験することとではないでしょうか? 練習しても練習しても上達しないような悪夢のような状態です。

 練習しても上達しないことが分かると、私のような怠け者は練習しなくなり、最も上達した状態、ピークの状態を脱して、ピークの状態よりも下手になってしまいます。

 このような飽和状態になることを、私のような理系の人間は「サチる(saturation:サチュレーションが由来)」とも言います。

 

・練習しても上達しないような「サチった状態」はなぜ生じるのか?

・「サチった状態」は解消できるのか?

・「サチった状態」を解消して、さらに上手になるにはどのような措置を講ずるべきか?

 

 このような疑問について、単純化した電気回路の過渡現象に基づいて考えてみよう。

 現実世界を反映するべくあれもこれも考慮して、いきなり複雑化した事象を考えることは、出発点として適切ではないので、より単純化した仮想的なものを出発点として考えてみます。

 

【一般論】

 先ず、一般的な話からすると、学習関係で言われることは、到達度は以下の3つのパラメータにより表されると言われています。

 到達度=モチベーション✖️集中力✖️時間

 確かに、例えば、コンピティションで優勝したいという高い「モチベーション(目標)」があれば、高い「集中力」を持って、長期間の「時間」、練習に励むであろうから、これら相乗効果(かけ算)として到達度に現れると考えられます。

 しかし、上記関係式の問題点は、到達度において飽和状態が生じず、すなわち、努力が必ず報われることを示しており、現実的ではありません。

 努力が必ずしも報われないのは、誰しもが承知していることであると存じます。

 

【RC電気回路の過渡現象】

 過渡現象が現れるRC直列回路が、上記のような「サチった状態」を考えるヒントになるかもしれません。 

 RC直列回路とは、電源(E)に対して抵抗(R)とコンデンサ(C)とが直列に接続された回路をいいます。過渡状態から定常状態に移行するモデルとして、基本的な教科書に現れます。

 時間tにおいてコンデンサ(C)に蓄えられる電荷量Q(t)は、t=0における電荷量を0を条件として、簡単な微分方程式を解くことにより、以下の数式によって表されます。

 C、E、Rに対して適当な数値を代入して計算すれば、縦軸を電荷量(Q)とし、横軸を時間tとしてプロットしたのが以下の図になります。

 初期において、コンデンサに蓄電される電荷量は急激に増大し(過渡状態)、ある程度時間が経過すると蓄電される電荷量が一定になります(定常状態)。

 RC直列回路のような過渡状態から定常状態への移行は、ヴァイオリン練習時の「サチった状態」に類似しています。

 例えば、新しい曲の練習を開始すると、初期の頃は上達が早く、3ヶ月も練習していると、以前と比べて上手くなっている感が感じられないという「サチった状態」に移行するという経験はないでしょうか。

 過渡状態から定常状態へと向かう電荷量を、練習により得られた達成量と関連付けて、ヴァイオリンの世界における「サチった状態」について考えみます。

 

【RC直列回路に対応づけた仮想的ヴァイオリン練習回路】

 RC直列回路に対応づけたヴァイオリン練習回路というものを仮想してみましょう。

 各パラメータは、以下のように対応づけられます。

 ここで、コンデンサの容量を人間の能力に対応づける理由としては、コンデンサが電荷を蓄えられる容量を意味する「キャパシタンス」は、能力をも意味するからである。

 仮想的ヴァイオリン練習回路を定性的に述べると、練習をすれば、最初のうちは努力が報われて練習した分、達成量も上昇するものの、ある程度長期間練習してくると、努力が練習した分だけ報われずに、達成量が一定になる(定常状態へ移行)。

 RC直列回路に対応づけた仮想的ヴァイオリン練習回路は、「サチった状態」、すなわち、伸び悩みの時期の到来という事象を上手く表現できるのではないでしょうか?

 

【仮想的ヴァイオリン学習回路において到達量を上げるには?】

 仮想的なヴァイオリン学習回路の数式から達成量を上げるパラメータが何であるのか考えてみよう。

【第1のパラメータ:練習量E】

 以下のグラフのように、練習量Eを増やせば、達成量Qは上昇します。
 しかしながら、不眠不休で練習したとしても1日24時間が限度であるので、この練習量は限界があります。

 

 以下のグラフでは、途中で練習量を倍にしたケースに該当します。例えば、1日1時間しか練習しないような学習者が2時間に変更するだけでも効果が現れることを意味しています。

 第1の「サチった状態」を脱して、第2の「サチった状態」に移行します。

 

【第2のパラメータ:抵抗R】および【第3のパラメータ:能力C】については、後日に・・・・・・

 最も重要なパラメータは、【第3のパラメータ:能力C】であると思っています。

 

 



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