
昨日、書いたように上田市に科学ライターである松永和紀氏の学習会「なるほど、食卓の安全学 私たちの食と放射性物質」を聴きにいった。その感想などを簡単に書いてみよう

放射能関連の講演会は、原発反対派の市民団体の企画を皮切りに、いくつも聞いてきたけれども、松永さんは、生協関係では3回目の企画になる。過去2回が研究者なのに対して、松永さんは、食の安全をテーマに何冊もの著作のあるライター

話も今までの中で一番具体的で分かりやすかった


さて、放射能の問題というのは、語り手によって、真逆と言えるほど主張が違う。強硬派に言わせれば、現在の暫定規制値はトンデモナイ危険な代物で、3年くらいに次々とはっきりとした健康被害が出るだろうと説く

つまり、国の基準に従ってたら“殺される”。子どもを守れ!福島から避難しろ!瓦礫は原発周辺で処分すべきだ。放射能は、福島に封じ込めろ!“汚染した食材”は、流通させるな!
そんなところだ

松永さんはそういう立場には立たない。確定的影響と確率的影響の問題は語り尽くされているので、改めては書かない。ただ、現在の汚染度はかなり下がっていて、(福島県の高汚染地帯を除いて)外部被曝も内部被爆も心配するような状況ではない・・・。

もう、この時点で、危険論との落差は決定的。受け入れない人は、この時点でアウト

現在の暫定規制値は、緊急時で高くなっているとは言え、十分に子どもに対しても配慮しているし、確かに高齢者が被曝するのに比べ、長く生きる子どもが被曝することには十分に配慮する必要があるけれども、新陳代謝が早いということは、排出するスピードが早いとも言えるとする

以下、チェルノブイリでの反省は、強制的に避難させることで、放射線リスクをかなり減らすことが出来たが、移住による精神的な影響から、アルコールやタバコに走り健康を崩したことには反省が出ている。
過去の核実験による放射能汚染が、汚染が減った現在と比べても、かなり大きかったこと・・・などを話し、どのような根拠で暫定規制値が設定されたかを詳しく解説


さて、今回の講演のポイントは、
★「放射性物質の検査は、一つのすり抜けも許さない「防波堤」ではない」
★「放射性物質の検査は、現状を大まかに把握し、対策を講じるためのもの」
・・・この2つだと思うわけね。
これを国がきちんと説明することをしなかった。一つ一つの食品を測定してベクレル表示をすることなど出来るわけがないことを分かっていたのに、伝えなかった。だから、違反が出るたびにパニックが起こり、風評被害が生まれてしまった

ううむ、なるほど。

国民の検査に対する誤解もあって、金属探知機のように即座に、白黒判定付けるものだと思われている。そんな風に測定するのは無理で、漏れがあるのは、覚悟して、 “高度で繊細な「ほどほど感」”を身に付けることが大事だっていうのが学習会のエッセンス。
これって難しいと思うわけね。危険だ、大変だ、って不安を煽る方が、分かりやすい。ほどほどっていうのは、どうしても歯切れが悪くなるんだからね。
言葉を選んでいたし、組合員向けに、上から目線じゃない丁寧な話をしていたと思う。本当は時間をかけて、松永さんと膝を交えて話をしたかったくらい。
帰りは、上田駅前のマックでお昼食べてきましたよ。いや、マックの印象変わったね。珈琲旨いし、ハンバーグもイケる。安かろう・・・って感じはもうないね。すっかり。やるじゃないの。

今日の話は難しいな…。
まぁね、金属探知機みたいなもので測定しているとは思ってないけどさ~。
それに人によって、色々な考え方とか報告とかあるじゃない?
もう、どれが本当なんだか訳分かんない。
今日の話で付いてけるのって、マック位かなぁ(爆)
子供の感受性は、放射性物質によって全然違うので、代謝がいいのは現在の放射性セシウムについてで、放射性ヨウ素については明らかに子供には高リスクで代謝がいいという説明は当たらない。呼吸から取り込まれるさ初期に放出された短命な様々な放射性物質の影響はなかなか評価が難しく、肺の中では代謝が難しい(天然ではラドンなど)ことから、初期の避難の対応は間違っているのかどうかは難しいところ。被ばく量が事前に分かっているなら、避難させない方がよいと判断できても、少ない情報で高被ばくのリスクがないと言い切れるのかな?原発の状況は後で検証したら、事故当時すごく無茶苦茶な対応だった(職員が全員逃げ出すこともあり得た)ので、避難という選択は間違いでもないのではないでしょうか?
国の検査体制は、初期は合格点(これが一番リスク低減にはつながった)、その後検査の方向性の各県における統一性がばらばらになって不信を買ってしまったというのが正確かな?松永さんの検査に関するコメントは一般論であって、実際国が効率的に方向性を持って検査をコントロールできていないのは今でも弊害として残っている。県や自治体に放り投げて、大まかに把握するような意図がないのは明らか。茶の時の混乱の最中、自治体によって検査したりしなかったり、そういうのは伝わるよ。
だから、ずいぶん不親切な書き方にはなってると思うんだ。もちろん、松永さんの内容が全て正しいとは思ってないし不十分な点はある。ただ、それを書き始めるときりがないから、大まかな内容にしてるわけ。
マックの部分は、そこだけは分かるようにと(苦笑)。モスはともかく、ロッテリアよりは、美味しいんじゃないかな。
外部被曝の問題はまだ解決してるとは言えないし、原発事故直後のヨウ素による外部被曝の問題はこれ肩出てくる(文春の記事は、先走り過ぎ)から、軽視して良い問題じゃないと思う。そういう点では、原発事故直後の避難に関して、やむを得ない部分はあると思うんですよ、確かに。
確かに松永さんの言っているのは、一般論で、検査体制がバラバラであるとか問題は確かにあります。そういう指摘を他生協(生活クラブなど)はしていますし、打倒だと思います。
あと時間が質疑応答を含めて、2時間(実際には20分ほど延長)というのは、焦点を絞ったとしても時間が足りないですね。新基準値の問題など、松永さんが喋りたかったことはまだあったわけで。
基準値の変更は、現在の検査体制の歪をより大きくするように感じますね。福島の全袋検査の問題など、体制が整わないまま、無理に“安心”を担保しようとすると、余計に大きな問題が起きるような気がします。