スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2015年のノーベル医学生理学賞を、大村智(さとし)北里大特別栄誉教授(80)ら3人に授与すると発表した。大村氏は土壌中の微生物が作り出す化学物質から有用なものを見つける研究を続け、1979年に寄生虫に効果のある「エバーメクチン」の発見を発表。この物質から、熱帯地方で流行する感染症の特効薬や、家畜やペットの寄生虫治療薬が作られた。これまで発見した480種類以上の化学物質から26種の医薬品や農薬が生まれており、天然物有機化学分野の多大な業績が評価された。

 日本人の受賞は昨年の赤崎勇・名城大終身教授、天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の3氏に続く快挙で、医学生理学賞は利根川進・米マサチューセッツ工科大教授(87年)、山中伸弥・京都大教授(12年)に続き3人目。日本の受賞者数は、米国籍の南部陽一郎氏=08年物理学賞、中村氏を含め23人(医学生理学賞3、物理学賞10、化学賞7、文学賞2、平和賞1)となる。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、3人には賞金800万スウェーデン・クローナ(約1億1500万円)が贈られる。

 土壌1グラムの中には、約1億匹の微生物がいるとされる。大村氏は70年代から各地で土を採取して微生物を分離・培養し、その微生物が出す化学物質に有用なものがないか調べていた。

 エバーメクチンは、そのうちの一種。静岡県伊東市のゴルフ場周辺の土中にいた新種の放線菌が、寄生虫駆除に効果がある成分を出していることを突き止め「エバーメクチン」と命名した。さらに米製薬大手のメルク社との共同研究で、構造を一部変えた駆除薬「イベルメクチン」を開発。この薬はわずかな量で家畜のさまざまな感染症や犬のフィラリアに劇的に効き、世界で最も使われる動物薬の一つになった。

 さらにエバーメクチンはヒトにも効果があることが分かり、蚊やブヨが媒介する熱帯地方特有の病気「オンコセルカ症(河川盲目症)」や「リンパ系フィラリア症(象皮病)」、ダニが原因の皮膚病「疥癬(かいせん)」などの特効薬として普及した。

 リンパ系フィラリア症も含め、イベルメクチンの服用で感染の危機から救われた人は約3億人に上るという。


 突然のニュースに報道関係者・マスコミが大慌てで資料集め//同部門で3人目とか嬉しい騒がれなかった受賞だったようだが、おめでとう御座います