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【取材記事】高市総務大臣 サイバーセキュリティ「温故知新で臨む」―第20回白浜シンポジウム

2016-06-20 14:04:39 | 独自取材


2016年5月に行われた「サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム」。20回目の節目を迎えたとあって、高市早苗総務大臣も会場に足を運んだ。講演の趣旨は以下の通り。【山下雄太郎】

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20年前から白浜シンポジウムを続けてきた主催者や参加者など、皆様に心から敬意を表する。昨今のサイバー攻撃の現状を見ると、まさに時代が追いついてきた、という印象だ。


白浜シンポジウムは、1997年にコンピュータやネットワークを使った犯罪に迅速に対処することを目的に行われた。セキュリティの専門家に交流を図ることを目的に、全国から英知を集めて、情報交換を行うために開催された歴史あるシンポジウムだ。

大規模クラウド試験 全国11か所で開催予定
総務省は2002年の第6回からサイバーセキュリティに関する取り組みについて報告をする機会をいただいている。今回も総務省の取り組みについて話したい。総務省では現在、IOT、AIなど、新たなICTを見据えて、サイバーセキュリティに対する取り組みを行うところだ。


第1に官公庁や重要インフラ事業者を狙った標的型攻撃など、新たなサイバー攻撃による対処ということで、実践的なサイバー攻撃対策を現在行っている。


「質を向上させたい」「継続的で安全的な運用をしたい」ということで、今年度(平成28年度)からは大規模クラウド環境による技術的試験を行っている。NICT(情報通信研究機構)を実施主体に選定。参加対象を地方自治体に拡大し、全国11か所で開催する予定。ぜひ注目してほしい。



第2に、IoTへの対応として、総務省と共同で「IoT推進コンソーシアム」を昨年10月に立ち上げた。産官学連携でIoTに関する技術開発や新規ビジネス創出を推進する組織だ。
さらにIoTセキュリティガイドラインの策定を現在検討している。


第3にマルウェアが悪質・巧妙化し、利用者の方がそのマルウェアの鑑定のため、PC、インターネットの利用が困難になっている。そのため関係事業者と連携しながら、感染防止、駆除を行う官民連係プロジェクト「ACTIVE」を立ち上げている。


第4は自治体の情報セキュリティ対策だ。すでに運用が開始しているマイナンバーの利便性を確保しながら国民の皆様に信頼してもらえるように、抜本的な情報システムの強化が必要だ。まずは端末からのマイナンバーに関わる情報の持ち出し不可の設定をすることが急務だ。

「すごい先見性」を持つ白浜シンポジウム
さらにLGWAN(自治体をつなぐ広域ネットワーク)の接続とインターネットの接続を完全に同化する。また都道府県単位で、インターネット接続を集約するクラウドを構築し、高度なセキュリティ対策を講じる。


継続的な取り組みから白浜シンポジウムも世界の人から「すごい先見性だ」と言われて頑張っている。我々も2016年4月29日・30日に、香川県高松市でG7・情報通信大臣会合を開催した。


G7各国、欧州委員会、ITU・OECDのICT部門のリーダーが集まり、最新のICT分野の情報やサイバー空間に関する課題について、ハードな議論を行ってきた。この情報通信大臣会合だが、信じられないことに21年ぶりの開催だった。


21年間開かれていなかったものの、今のタイミングで日本がICTに光をあてて、大臣会合を行った。結果、G7各国から大変高い評価をもらった。来年はイタリアで開催する。21年間中断したものが、今後継続的に開催されるようになったのはとても意義深いことだ。



この会合の成果として「共同宣言」など3つをまとめた。他にもG7として2020年までに新たに15億人のインターネット接続を目指すこと、さらに自由でオープンなインターネット、情報の自由な流通の確保などサイバー空間に関する課題を、G7が共同して取り組むことを確認した。


さらにG7共通の戦略として、デジタルデバイドの解消などICTアクセスを向上させること、サイバーセキュリティやプライバシー保護を踏まえた「情報の自由な流通」を目指すことを確認した。


そしてIoT、AIなど新たなICTの登場を踏まえたイノベーションの推進を行うこと、ICTの活用による健康・医療・高齢化社会・女性活躍、防災など、地球規模の課題を進めていくことなどを合意した。

新たなサイバーセキュリティの潮流 日本から世界へ
特にサイバーセキュリティについては、ICTのテロや犯罪への悪用に対して、G7として反対していく。そして安全・安心なサイバー空間の確保のために、サイバー攻撃傾向の分析技術の研究を推進していくことに合意。そしてAIについては、日本からAIの研究開発に関する8原則を提唱した。


各国も、日本が提唱したこの8原則をたたき台にして、これからの検討を続けていくことに賛成。さらにサイバー空間に関する、課題の取り組みの方向性も確認できた。この意義は非常に大きい。


2016年5月26日に開催されるG7伊勢志摩サミットにも反映させていただくべく、安倍総理にICTへの施策を積極的に取り上げてほしいとお願いした(実際にサミットでもICTについて言及された ※山下注)。


2020年の東京オリンピックパラリンピックを見据えて、総務省では我が国全体のサイバーセキュリティに取り組みたい。また新たな攻撃の対処の教訓を生かし、今回の白浜のテーマである「温故知新」で臨んでいきたい。日本から世界に向け、新たなサイバーセキュリティの潮流を共につくっていきたい。(終)


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