サイバー戦でも火花 「アノニマス」、
ウクライナに加勢
【シリコンバレー時事】ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、両陣営のハッカーによるサイバー攻撃が激化している。双方が政府のウェブサイトを攻撃し、一時閲覧不能になったほか、ウクライナを支援する国際ハッカー集団「アノニマス」はロシア国営メディアの放送を乗っ取った。情報の遮断や操作で敵陣をかく乱する現代型の戦争の側面が鮮明になっている。
「すぐに世界中のハッカーの怒りを感じることだろう」。アノニマスは2月下旬にユーチューブに投稿した動画で、ロシアとその同盟国へのサイバー戦争を宣言。政府や銀行のウェブサイトを「破壊した」といった戦果を、インターネット交流サイト(SNS)で報告している。
今月には、情報の偽造や隠蔽(いんぺい)が指摘されるロシアの国営メディアをハッキングし、ウクライナの戦場の映像にすげ替えた。ロシア国内での反プーチン大統領の機運醸成が狙いだ。
このほか、ベラルーシの技術者グループもウクライナに加勢中。ウクライナ政府自らもロシアとのサイバー攻撃能力の差を埋めるため、有志を募りハッカー部隊を組織した。
一方、米情報セキュリティー企業のマンディアントなどによると、ロシア側は1月半ばからウクライナ政府や企業へのサイバー攻撃を本格化。ウェブサイトの障害を引き起こしたほか、市民のSNSを乗っ取り偽情報の拡散を試みている。
関与したのは、ロシア情報機関の関連組織やベラルーシ政府が支援する集団とされる。マンディアントの担当者は「ロシア側は統制が取れた高度な技術を持つ集団」と指摘する。
米情報セキュリティー会社「クラウドストライク」でサイバー攻撃の分析を指揮するアダム・マイヤーズ氏は、ロシアが経済制裁への報復のため日米欧に対する攻撃に軸足を移す可能性が高いと指摘。政府や企業は「(システムの)脆弱(ぜいじゃく)性を特定するなど、十分に備える必要がある」と警鐘を鳴らす。
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