ココナッツオイルなどに含まれる「MCTオイル」が
糖質制限より減量にオススメな3つの理由
虎ノ門中村クリニック・中村康宏院長に聞く
【食と健康 ホントの話】
ごはんやパン、麺類などの炭水化物を少なめにし、
その分おかずを多めに食べるといった
マイルドな糖質制限を実施している人は多いだろう。
しかしそれだけでは減量できないことも多く、現状維持すら怪しいことも。
そもそも糖質制限をする理由は、ケトン体を産生するためだと、
虎ノ門中村クリニック(東京都港区)の中村康宏院長は説明する。
「人間のエネルギーを作り出すメカニズムには、
糖質をエネルギー源とする『糖燃焼回路』と、
脂質をエネルギー源とする『脂肪燃焼回路』の2つがあります。
通常は運動をしたりご飯を食べた後に糖質が使われます
(身体活動量や食事誘発性熱産生)が、それが糖燃焼回路になります」
食べた糖質から、あるいは筋肉や肝臓に溜め込んだグリコーゲンから
ブドウ糖を生み出しエネルギーとして使う糖燃焼回路がまず働く。
そのブドウ糖が枯渇してくると、
肝臓で脂質が分解されて「ケトン体」が産生され、
ミトコンドリアを刺激して脂肪燃焼回路が働くようになる。
「よく有酸素運動を20分以上するといいと言われますが、
その根拠は20分運動すると糖質が枯渇し糖燃焼回路が働かなくなり、
脂肪燃焼回路が働き始めるからです」
糖質制限は、この20分以上の有酸素運動で
糖質を消費する方法を元からカットする方法だ。
摂取する糖質をゼロに近づけることで脂肪燃焼回路が働きやすくなり、
脂質からケトン体が産生されやすくなると言われている。
ただし、糖質制限は体への負担が大きく、
長期間行うことは危険をともなうとされている。
そこで、キツい糖質制限の代わりに注目されているのが「MCTオイル」。
ココナッツオイルなどに含まれる中鎖脂肪酸100%の油のことだ。
ちなみに他の食用油(オリーブ油や魚油、アマニ油、エゴマ油、サラダ油など)は
長鎖脂肪酸に分類される。中村院長はMCTオイルの特徴として次の3点を挙げる。
(1)ケトン体を産生しやすい
(2)素早くエネルギーになり体に蓄積されにくい
(3)体脂肪を燃やしやすくする 順番に説明しよう。
(1)について、MCTは肝臓で直接ケトン体になるため。
(2)について、MCTは長鎖脂肪酸とは体内に吸収される経路が異なるためだ。
「MCTは糖質(ブドウ糖)やタンパク質(アミノ酸)と同じように、
小腸から門脈を経由して直接肝臓に行きます。
肝臓ですぐ代謝されることでケトン体が生み出されます。
それに対して一般的な食用油は、小腸からリンパ管や静脈を通って
全身の脂肪組織や筋肉、肝臓に運ばれ、分解されたり貯蔵されたりするため、
エネルギーになるのに時間がかかるのです」
(3)については、ケトン体が血中に増加したケトーシスの状態になると、
脂肪燃焼回路がより働きやすくなり、体脂肪を燃焼しやすくするためだ。
ところで、糖尿病の合併症としても聞くことのある
ケトーシスの状態になるのは危険では?
と心配する人も。「ケトン体が多くなりすぎて、
ミネラルなどの血液のバランスを崩してしまう
ケトアシドーシスの状態にまでならなければ、体に問題はありません。
そこまでの病的な状態になることはかなり稀です」
次週は、脂肪燃焼体質になる方法について。
(医療ジャーナリスト・石井悦子)
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