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中年期の複数の慢性疾患が認知症リスクを高める?

2022-02-24 22:39:47 | 健康と栄養

  中年期の複数の慢性疾患

認知症リスクを高める?


2022.2.24 , EurekAlert

 
中年に2つ以上の慢性疾患(多疾患罹患)があると、後年の認知症のリスクが高まる、という英国成人に対する大規模な研究結果が『英国医学雑誌(BMJ)』に発表された。仏・疫学統計学研究センターなどによる研究。

一般的な慢性疾患には、高血圧、糖尿病、冠状動脈性心臓病、うつ病、慢性肺疾患(COPD)などがある。本研究結果は、これらの種類の疾患がより若い年齢(50代半ば)で発症する場合、リスクがより大きくなることを示しているという。

特に高齢者や認知症の人に多疾患罹患が一般的であることを示すエビデンスはあるが、より若い年齢での多疾患罹患がその後の認知症のリスクに影響を与えるかどうかを調べる研究は不足している。

この知識ギャップを埋めるために、研究チームは55歳、60歳、65歳、70歳の多疾患罹患とその後の認知症との長期的な関連性の調査に着手したという。

本調査結果は、長期的な健康に対する社会的、行動的、生物学的要因の関連を調べているホワイトホールII研究に参加している10,000人以上の英国人男性と女性から収集されたデータに基づいている。参加者が1985-88年に研究に参加したとき、彼らは35歳から55歳で、認知症はなかった。

この研究では、多疾患罹患は、認知症を除く13の慢性疾患の事前定義されたリストから少なくとも2つの慢性状態の存在として定義された。その後の認知症の症例は、2019年3月31日までの病院と死亡の記録を使用して同定された。

10,095人の参加者のうち、6.6%が55歳で多疾患罹患であり、32%が70歳で多疾患罹患だった。追跡期間中央値32年で、639例の認知症が同定された。

年齢、性別、民族性、教育、食事、生活習慣などのさまざまな要因を考慮した後、55歳での多疾患罹患は、13の慢性疾患のいずれにも罹患していない人々と比較して、認知症のリスクが2.4倍高い(1,000人年あたり1.56)ことに関連していた。

この関連性は、多疾患罹患の発症年齢が高齢になるにつれて次第に弱まったという。

たとえば65歳で、55歳より前の多疾患罹患の発症の場合は、認知症リスクが2.5倍高い(1,000人年あたり3.86)ことに関連していたのに対し、60-65歳までの多疾患罹患の発症の場合は、認知症リスクが1.5倍高い(1,000人年あたり1.85)ことに関連していた。

言い換えれば、70歳まで多疾患罹患の発症年齢が5歳下がるごとに、認知症のリスクが18%高まった。

研究チームがより重篤な多疾患罹患(3つ以上の慢性疾患と定義)を調べたとき、認知症のリスクに対する多疾患罹患のより若い年齢での発症の重要性がさらに強調されたという。

たとえば、慢性疾患がないか1つある人と比較して、55歳で慢性疾患が3つ以上ある人は、認知症のリスクがほぼ5倍高かったのに対し、多疾患罹患の発症が70歳であった場合のリスクは1.7倍高かった。

これは観察研究であるため、原因を特定することはできない。研究チームは、認知症の症例の誤分類の可能性や、研究参加者が一般集団よりも健康である可能性が高いという事実など、いくつかの制限を指摘している。

けれども、30年以上の追跡調査を伴う大規模な研究であること、死亡を指標にしてさらに分析した後の結果が類似していたこと、研究チームはそれらが認知症に関する発見の信頼性を高めていると述べている。

「認知症の効果的な治療法の欠如とその個人的および社会的影響を考えると、認知症の予防の目標を見つけることが不可欠です」と研究チームは述べている。「これらの調査結果は、高齢期の有害な結果を軽減するための成人期の慢性疾患の予防と管理の役割を強調しています。」

出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)      

 

 


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