オミクロン派生型BA.5
従来型より感染力や病原性高い可能性
国内でも感染が広がっている新型コロナウイルスの
オミクロン株の派生型「BA・5」について、東京大などの研究チームは
「ヒトの細胞や動物を使った実験では、現在主流になっている『BA・2』
より肺で増えやすく、感染力だけでなく病原性も高い可能性がある」
という見方を示している。
研究チームが5月に発表した審査(査読)前の論文などによると、
ヒトの肺の内部にある「肺胞」の上皮細胞を使った実験では
「BA・5」は「BA・2」の18・3倍に増えていたことを確認したという。
ハムスターに感染させた実験では、感染から3日後に肺の奥にある
「肺末梢(まっしょう)」で「BA・5」由来のRNA
(リボ核酸)の量が「BA・2」の5・7倍に上昇していた。
「BA・5」に感染させたハムスターは、「BA・2」に感染させたものと比べて、
体重が著しく減少。肺胞のダメージや気管支炎が「BA・2」より多く確認された。
「BA・2」はヒトでは気道で増殖し、肺には達しにくいことから、
重症化することは少ないとみられている。しかし、今回の実験から
「BA・5」は肺でも増えやすい可能性が示された。
一方、世界保健機関(WHO)は6月22日付の週報で
「『BA・5』の重症化のしやすさが変化している、という情報はない」と発表している。
研究チームの佐藤佳(けい)・東大医科学研究所教授(システムウイルス学)は
「免疫がないハムスターで実験をしているので、ワクチンを打つなどして
免疫を得ているヒトで、今回の実験と同じことが起きるかは分からない」という。
ただ、「BA・5」は「BA・2」から性質が変わっていることもあり
「免疫がない人は重症化する可能性がある。
オミクロンは重症化しないからと気が緩んでいるところがあるが、
改めて感染対策を見直す必要がある」と話した。
【信田真由美】
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