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回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

チューリッヒ保険/CFOの自死

2013年09月02日 16時38分49秒 | 日記

TV CMでは電話オペレーターが笑顔で自動車保険料の安さを強調し、かつ顧客満足度の高さを売り物にしているチューリッヒ保険だが、はるかスイスのグループ統括本社では、会長のあまりの酷い仕打ちと低評価に抗議してCFO(最高財務責任者)が8月26日自殺する事件が起きている。名指しされた会長はその2日後、すべての役職を辞任した。この会長、Josef Ackermannは元ドイツ銀行(Deutsche Bank)のCEOで、ドイツ最大の民間銀行であり、いわばドイツ金融帝国主義の総本山であるドイツ銀行で初めて非ドイツ人として頭取に就任した、金融界では知らぬ者のいない有名人である。今回自殺したCFO、Pierre Wauthierの遺族は葬儀の席で自殺の遺書を公表するとしているとともに会長に自殺の原因があると会社側に調査を要求している。

Ackermannについては、その強引な経営姿勢から夙に批判が多かった。にもかかわらず有力企業のトップに就任できたのは、ドイツ銀行やチューリッヒ保険のような伝統のある企業では社内に官僚制がはびこり、これに危機感を持つ株主が、Ackermann のような強引な人物を起用するという事(いわば毒を以て毒を制すの図)だが、それも程度問題であり、ドイツ銀行もさすがにAckermann のやり方には不安を覚え、当初の任期満了を待たずにCEO職から実質解任したが、それを引き受けたのが出身国スイスのチューリヒ保険と言うわけだ。

会長のパワーハラスメントに耐えかねてCFOが自殺するという、このような人物をトップの据えていたというチューリッヒ保険は究極のブラック企業ではないか?そしてこのような人物にドイツ銀行は毎年900万ユーロ(12億円)程度の報酬を支払ってきた。いずれにせよ会社側はうやむやのうちにこのCFO自殺事件を風化させるのだろうが、日本においても多くの保険不払い事故を起こしたことのあるチューリッヒ保険、TV CMにあるように能天気な「いいかも!」などといずれは言っていられなくなるだろう。

http://www.zurich.com/media/newsreleases/2013/2013-0826-01.htm

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Sir David Frost逝去

2013年09月02日 07時43分34秒 | 日記

ウオーターゲート事件で辞任した直後のニクソン大統領に単独インタビューし、ニクソンから謝罪の言葉を引き出したとしてテレビインタビュアーとして世界的な名声を得た英国のジャーナリスト、デービッド・フロスト卿が講演を予定していた客船クイーンエリザベス2世号の船上で心臓発作のために一昨日急死した。74歳。今週、キャメロン英首相とのインタビューも予定されていたというから、もし存命なら、シリア軍事介入が下院で否決された後のキャメロンの考えを引き出すことが出来たかもしれないと思うとますます残念である。更に、カタールのTV局アルジャジーラがまだ何者かもわからないときから支援し、現在の地歩を固めたという事では、フロスト卿の中東政治へのメデイアを通じた関与は計り知れないほど大きいと言える。

頭の回転の速さ、滑舌の良さそしていわゆるテレビ映りの良さということでは、間違いなく1970年代からの報道TVのスターと言えるだろう。日本にもフロスト卿まがいの司会者は何人かいるが、スポンサーに阿てCMを優先するというような見苦しさに比べると、報道人としての矜持を明確に感じさせる稀代の人物だった。彼の死は、報道TVあるいはインタビュアーの時代の一つの終わりを象徴するのかもしれない。

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