どこかで見覚えのある今日が終わる
何日前に重なるのかさえ
もう思い出せないが
それでも良かった
と思えることを
喜んで良いのか
悪いのか
確かなことはひとつ、今日が終わる
「有意義な一日でしたか」
そう言われて泳ぐ視線の
定まるところは
上 下 右 左……
肯定と否定の
透き間
わたしの横を通りすぎた風に
舞うコスモスの
花にとどまり空を見つめる
トンボの視線にさえ気づかぬ日もあった
時の砂粒が詰まったのではないか
そんな心配を抱くほどに
なにも無く
ただ生きているだけの日もあった
その 繰り返し
その 連なりを
同じと思うのか
違いを見出すか
一日を濃いと感じるか
薄いと嘆くのか
見覚えのある一日
何も無く終わる今日を
価値ある日だった
と言えるのは
この世でただひとり
そう 自分だけ