泡立ち 2020-09-14 23:41:04 | 言葉 夜が泡立っている不規則な雨が窓を殴りつけては夜を泡立たせているそうしてわたしは眠れないブランケットの膜の奥巣ごもりをするがわたしもまたすでに泡立っておりブランケットにしがみついてみるが泡をぬぐうことはついに 叶わず窓の外では夜がバチバチと弾けて大地へと流れ落ちている言葉にならない泡がまなうらにこびりついたまま今夜わたしは眠れない
あるいのち 〜ウメモドキ〜 2020-09-14 21:46:36 | 言葉 幹や枝をうねらせながら力づよく地に根を張るウメモドキ冬の終わり骨組みだけの傘に青いいのちがふつふつと芽吹き小さく息をするのを見たそれは夜明けよりも美しいいのちの目覚めだった春の途中寒々しい姿をした傘は青々と茂りはじめてひらひらと風に吹かれる新緑のにおいを胸いっぱいにためた夏の始まりウメモドキは緑色の傘のようどこからともなく訪れては枝に留まり羽根を休める鳥たちのための小さな森であった秋へ向かう庭の中の小さな森に赤い実がなったつめたく鋭い陽射しを浴びて一粒ひと粒が燃えている今も色鮮やかな ひとふりの傘やがては木枯らしや雪の重みにからだをしならせるであろうウメモドキそれは雪の白に木の実の赤黒々とした枝を魅せる螺旋の姿をした いのちだ