はんたろうのがらくた工房

えーと、えーと…。

続・ひさびさリアル絵筆

2004-11-04 13:15:58 | 人形劇のこと
さて、さきに看板屋さんという例えを出したが、実は芝居の大道具というのは、絵画や看板よりももう一段、卑怯な手抜きが許される。
間近で見ることのある絵画や看板と違って、内輪の人間以外は近くで見ることがない。最前列の客席からだって2mはある。しかも、舞台の上はだいたい強い照明が当たっているので、発色もよくなるし、アラも見えにくいわけだ。
演劇のポスターなどで、舞台上の役者さんのアップを見ることがあれば、ものすごいメークをしているのがわかると思う。写真に大きく写る役者さんでさえあれなのだから、大道具がかなり大味でもいいのはなんとなくおわかりだろう。

さあ、先にこれだけ言い訳をしておいてから取り掛かるわけである。もう雑だなんて誰にも言わせない。
だいたい、自分が座長である人形劇の大道具なんだから、どのように仕上がろうと、私がOKを出せばOKなんである。はなから誰にも文句を言わせる気はない。ある意味ものすごく楽である。

鉛筆でざざっと下書きをして、いきなり絵の具をがんがん乗っけてゆく。どうせ客席からは見えないから、鉛筆のラインをいちいち消したりもしない。

筆に水を含ませ、混ぜ合わせた絵の具をつけて塗る。これを繰り返す。
んなこたぁ説明するまでもない、幼稚園の子どもにだって絵筆を持てば同じ事をするわけなのだが、これがまぁ実に面白いのである。

アクリル絵の具のにおい、穂先の毛の硬さ柔らかさ、筆を介した紙の感触、押し当てた穂先の広がる様、紙の表面を走り、染み込み、やがてかすれてゆく絵の具の軌跡、わずかに盛り上がった絵の具が乾く直前の艶。そういう感覚が文字通り五感に…えーと、「味覚」はないか、さすがに…伝わってくる。
平素から絵を描いていらっしゃる方々にはお叱りを受けるかもしれないが、タブレットばかり使っていて、ホンモノの画材の、このダイレクトに感覚が跳ね返ってくる面白さを、私は忘れてしまっていたのだ。

面白い面白いと、楽しみながら完成。

デジカメで撮影して、補正をかけてからアップすると、こんな感じだ。



けっこういい感じでしょ?
最初に書いたとおり、これだけ小さな画像にしてしまえば、たいがいのアラはみえなくなってしまうのです。


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