見えそで見えない露天風呂

…向こうに立山が、ってハナシですが何か？



出張のついでに従弟が訪ねて来た。

初冬の北陸は天気が悪いので、博物館とか美術館とか、屋内型の観光に連れて行こうかと計画していたら、あれよあれよと予報がずれて、当日は快晴である。
従弟が正しい人間なのか、私の普段のおこないが良いのか。

それで、能登半島へドライブすることにした。



千里浜、気多大社、巌門。
観光案内もぬかりはない。
が、今回の目玉は、温泉が好きという従弟のために特別に考えた、温泉のハシゴである。

温泉好きを能登へ連れてゆくなら、1,200年の歴史を持つ和倉温泉はぜひ押さえておきたい。
いっぽう、能登島にある「ひょっこり温泉」は露天風呂が自慢だそうなので、これだけ天気がよければ行かねばなるまい。



和倉温泉総湯のしょっぱくて熱い湯を堪能し、いい気分で能登島大橋を渡る。
からだはぽかぽか。
11月の下旬に、Tシャツで窓を開けてドライブだ。


橋を渡って、海沿いの道を5分ほど走ると、目指す「ひょっこり温泉」に到着。
かかり湯をして、まっすぐ露天風呂へ。

これが、大当たり。
頭上はすかっと青空。陽射しが降り注ぐ。
そして、おお、南向きに開けた露天風呂からは、海の向こうに北アルプスが！

えーと、立山はどれだ、立山は…。

えーと…。

…どうやら、見えているのは長野から新潟へ連なる峰々のようで、むかって右端にあるはずの立山は、ちょうど正面の小島の蔭に入ってしまっているらしい…。

立山が見えそで見えない露天風呂なのであった。