「ゴジラの逆襲」を見た

レンタルビデオ屋でみつけたので「ゴジラの逆襲」を借りてきた。
公開は1955年だから、1作目の「ゴジラ」の翌年だ。

面白かった。
前作の、東京大空襲を追体験させるような暗い恐怖とは違って、復興の手ごたえを感じさせる明るく希望に満ちたストーリーだ。

「ゴジラ」は、NHKの「プロジェクトX]でも紹介されたことがある。1954年、黒澤明の「七人の侍」と同じ年に封切られた第1作は、かなりキワモノの企画として、当初映画会社からはまともに扱ってもらえなかったらしい。

プロジェクトXはこのころ既に過剰演出気味だったから大して気にもとめていなかったが、この続編を見て、それが本当だったと実感した。

1作目「ゴジラ」は、特撮は見事であったが、生身の俳優の演技は拙かった（俳優さんの名誉のために付け加えておくが、演技が拙いことは俳優の質とは別問題だ。演出にじゅうぶんな手間をかけられなければ、どんな名優でもろくな演技はできない）。「200万年前のジュラ紀」など、科学考証もできていない状態だった（ジュラ紀は正しくは、およそ2億1000万年～1億4000万年前）。

ところが「…逆襲」では、俳優の演技にも演出が行き届き、ストーリーも起伏に富んだものになった。破壊されるミニチュアにしてもはるかに大掛かりになった。1作目が大ヒットしたものだから、びっくりした映画会社が前作と比較にならないほどのカネとヒトをつぎ込んだことが手に取るようにわかる。というより、前作に如何にカネもヒトも割かれなかったかが露呈した格好だ。

もちろん、だからといって第1作の魅力が減じるものではない。そこには、カネやヒトを増やしただけでは絶対に生み出せない何かがあった。

ゴジラ誕生から今年で50年。30本近い「ゴジラ」が制作されたが、やはり個人的には、第1作がベストだったと言いたい。