はな to つき

花鳥風月

桜の下にて、面影を(48)

2019-11-19 22:10:37 | 【桜の下にて、面影を】
☆☆☆

そんな夢をみていた。
一年前の月夜とは違う、長い長い夢を見ていた。
見覚えある桜の下、唯一つ響くことのなかった歌が、背中越しの声が、こだました。
そして、耳の奥、硬い蓋の割られた二葉は、世界を確かめるように、静々と目を開いた。

(つづく)