華灯り

◾️

 24日は熱が非常に高く魘されていた。会話は可能。時折は菩薩の如く微笑む。

 看護師に相も変わらず気を遣い過ぎる。医療関係者は勘が良い。漸く彼女が通常の感性の人間でないと気付いた様子。担当の看護師から『マリア様みたいな奥様』と言われる。

 食事は粥のみ食べていた。一口一口がスローモーションの様だ。

 

 不思議な事が続いている。華の周囲に人の霊が集まる。病院で旅立つ者だけでなく、この近辺で亡くなった人々だ。彼女に挨拶し話をしてから天に行く。悪人は一切来ない。皆が礼儀正しい。東京中から集まって来るのではないかと訝る。

 少人数であれば以前よりこの様な光景は見られたが何故、突然に大多数の人間が現れる様になったのだろうか。

 今回の手術が彼女のカミダーリの集大成だとすれば、より強い霊力を以て彼女は生きて行かねばならないのだろうか。それが不安である。

 註;カミダーリとは神懸かる聖なる狂気を指す。ここでは広義の苦難を表している。


 今朝は熱が下がった。順調に行けば明日、彼女の誕生日にはicuから病室に戻れそうだ。

最近の「日記」カテゴリーもっと見る