平和運動史 埋田昇二「冨士から母たちへ」
埋田昇二さんは詩人、高校教師や浜松市平和委員会事務局長を長く勤め、2020年亡くなられました。生前、平和運動関係の詩などを浜松市平和委員会で使わせていただく約束をいただきました。
昨年8月に「平和運動史 2 埋田昇二「君の瞳には視えないか」 2021-08-19 18:55:01 | 平和運動史」を掲載しましたが、これから埋田昇二さんの平和の詩などをすこしづつ掲載していきます。
冨士から母たちへ
埋田正二
みはるかす
雲のきれめから
さしこむ赤き光
冨士のひたいそめて
仰ぎみるわれらの胸にこだまする
民族のこころ
すがしき
きこえる
風にのって
銀色たなびくうすき野に
冨士のこころ引き裂く黒い砲声にいりまじり
荒磯にうちよせる怒涛のような幾千万の平和の歌声のとどろきが
ここ
冨士山麓に居座る
沖縄米第三海兵遠征軍東冨士演習場マックネア基地
友よ
ひとと生まれて五十年
その生涯にあたいする半世紀を
異国の軍隊に占領され
山も?も島も
風と鳥と花とひとのいのちの交響する冨士に
ふるさとの大地に砲弾撃ちこまれ
軍靴に蹂躙され
この痛みを
この屈辱を
一時たりとも忘れることができようか
きこえる
あかき人間のこころの駆動
スクラム組む腕の熱い鼓動が
国頭 恩納 宜野座 伊江島で
三宅 逗子
喜界島 えびの 大樹
矢臼別 三沢 横須賀 岩国 佐世保で
いま 激動の海鳴りがきこえる
1990年の暁
日本列島のどこにも
厳寒の原野に
北風をきって舞い立つ白い鶴のような母たちがいる
大地に根をおろし
根源≪安保≫の鎖に大鉈の一撃を打ち奮う父たちがいる
たちのぼるいのちの精を
てのひらに包んで
世紀の渚の朝を駆けていく若者たちがいる
日本のどこにも
おしとどめることのできない
非核・平和の大きな渦が