月夜に惨殺されたオオカミとそれを見ていた物静かなヒツジ

僕という人間が書きたいことを書いて自己満足する空間です。

鳥と目玉

2006年07月31日 21時20分30秒 | よくわからないもの。
愚かな旅人が今日もまたガケから身を投げる。
空を舞い、地面に吸い込まれる。
その瞬間に全てが終わる。

鳥になれたらいいなって言ってたサラリーマン。
鳥には鳥の苦労があるのさ、
なんて知ったようなことを言ってみる。

借金かかえて飛ぶ人々。
借金かかえたら空を自由に飛べる。
そんな噂でもあるのかな。

今日もまた新たな旅人がやってくる。
一体、君は何をかかえているんだい?
ここから飛び降りたら天国にいけるなんて、
そんなこと思ってないよね?

今日も明日もその次の日も、
旅人は後をたたずにやってくる。

身を投げた旅人達を気の毒に思い、
少しでも空からの眺めをみせてあげたいと思い、

今日もまた僕は、身を投げた人の目玉をくわえ、
空へと運ぶ。

ドロドロ

2006年07月11日 13時17分30秒 | よくわからないもの。
あいつはいつの間にかドロドロになってた。

残された弾丸。
消えた覚せい剤。

あいつは俺に何を伝えたかったのか。
今ではもうそれを知るすべは無い。

ドロドロになったあいつは
今もたまに俺の前に姿をあらわす。

窓から俺の部屋をのぞいては
何か物言いたげな顔でこっちを見続ける。

俺の手元には拳銃。
枕元には覚せい剤。

あいつは俺に何をしたいんだろうか。
今でもそれを知るすべは残ってる。

ドロドロになったあいつは
今日も俺の前に姿をあらわす。

窓から俺の部屋をのぞいては
何か物言いたげな顔でこっちを見続ける。

猫と④

2006年07月10日 22時22分43秒 | よくわからないもの。
私は巡査です。
ここの交番に勤めて早5年が経ちました。

今日も猫が静かにこちらを見ています。
猫が初めてここに来てから早1週間。

この交番が気に入ったのか、
いまだに交番から出て行こうとしません。

独り者同士仲良くしような。
そういって、僕は今日も仕事につきます。

そうだ、今度、おいしい魚をご馳走してやるよ。
楽しみにしていろよ。

猫と③

2006年07月10日 19時09分15秒 | よくわからないもの。
私はスズメです。
昨晩、現場を目撃しました。

信じられない光景でした。
あの真面目でおとなしい子がどうして。

でもあそこの奥さんは
私達の間でもあまり評判はよくなかったの。

悪気はないんだろうけど、
口が悪かったのは確かよ。

だって私、一度奥さんに
食べられそうになったことがあるもの。

猫と②

2006年07月10日 14時41分25秒 | よくわからないもの。
私は母猫です。
昨晩、息子に殺されました。

どうしてこんなことになったのかしら。
私は息子にいい大学に行ってほしかっただけなのに。

そうすれば、いいところに就職出来るし、
近所の薄汚い野良猫の奥さん達にも自慢できたのに。

息子はきっと後悔してるわ。かわいそうに。
主人が情けないからこうなったのよ。

お願い、神様。
息子に一言、ごめんね。と言わせて。

猫と①

2006年07月10日 14時00分02秒 | よくわからないもの。
僕は自分の両親を殺してしまったんだ。
一匹の猫が自白した。

今更許してくれとは言わないけれど、
どうか僕の話を聞いてくれないか。
なぁ、お巡りさん。

お巡りさんは誰かを殺めてしまったことがあるかい?
いや、野暮な質問だったね。

全身の毛が逆立ってたかって?
いや、あのときは妙に落ち着いていたよ。

あの日、僕は初めて両親に噛み付いたんだ。
正直に言うよ、後悔はしてないんだ。