goo blog サービス終了のお知らせ 

心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

約束の行方・・・vol.13

2013-02-06 10:05:07 | 約束の行方


「彼氏ですか・・・」
私は、啓太のことを思い浮かべたが 
はたして彼は彼氏と呼べるほどの相手だろうか?


“お友達として” 仲良くしていることは確かだ
実際は、お友達以上の
密な時間を何度も過ごしているのだから
もはやお友達では済まない関係といえる


それでも、
まだ高校生の彼のことを 彼氏と言っていいのだろうか?
などと考え黙っていると
「あ、ごめん そりゃ~いるよね? 
絵里子ちゃん可愛いし 彼氏の一人や二人?」
「一人や二人って・・・失礼な! 
彼氏は一人で十分です!」


「あ、やっぱりいるんだ彼氏・・」
「まぁ~とりあえず、そんなような人はいますけど」
「で、そのひとは学生さん? 社会人?」
「・・・・・・・・・・」
「んっ? まさか? 不・・・?」
「ちっ!違います!! 高校生です!!」
「えっ?? こーこうせい???」
「いやぁ~まいったな・・・
相手は高校生か、うううん 
こりゃぁ~頑張りがいがあるかもな」
「勝手に頑張らないでください」
「絵里子ちゃんは、僕みたいなヤツは嫌いかい?」
「いえ・・嫌いも好きもありません、
いきなり来てこの展開 なんでやねん?・・・あっ」


「あーーっ? あれっ? 絵里子ちゃん関西人??」
「そうです。京女ですけどぉ ばれちゃいましたね」
「うん、さっきの ナンデヤネンでね」


総一郎は、楽しそうに笑っている 
関西弁を聞いてもヘンな顔で見なかった
こちらでは、怪訝な顔をされる事が多かったので 
なるべく使わないようにしていたが
やはり慌ててしゃべったり、
興奮するとつい言葉が出てしまう


「とにかく、今日は食事つきあってよ 
彼氏には悪いけど高校生では
連れて行けないような店を紹介するからさ 」


そう言うと、
嬉しそうにラジオから聞こえてくる音楽に合わせ
肩を揺らしていた


車窓から見える景色は、夕焼けの空を綺麗に映し出していた









私には、ひとつ気になっていることがあった 
それを聞こうか?迷っていた
啓太のフルネームは、“森下 啓太” こ
の人は “森下 総一郎”
啓太の兄妹は、妹の真理子ちゃん


確かあの時叔父が“ご長男さんの方・・・”
と言っていた、ということは
総一郎には弟がいると言うことになる
でも、啓太にお兄さんがいると言う話は
聞いたことがない “まさか?知らないだけ??” 
いやそんなことはないよね・・・


いずれにしても、 
森下という性はそれほど沢山あるわけではないと思う
私は、もしかしたら? 二人は親戚か? 
まさかの兄弟??という疑問が湧いていた 


いや、もちろん
たまたま同じ名字なだけというのはあり得る話だし 
そうあって欲しいが・・・


でも、それをどうやって聞けばいい? 
聞く必要はない? 
あれこれ考えながらふと大きなため息をついていた
「あれ? どうしたの? 車は苦手?」 


私のため息を聞いて 総一郎が、心配そうにしている


「いいえ・・・そうじゃないです。 
ただ夕ご飯いらないって連絡しなきゃって思って・・・」


「あ、そうだね 
店についたらそこから電話すればいいよ、もうすぐそこだから」


賑やかな大通りから一本横に入った静かな通りにある 
オシャレな店の前で車は止まった