今朝は良いお天気。目を覚ましたのは10時頃ですが、普段に比べて温かいのか、
起きてからすぐに体が動きます。やっぱり春になったんだな、って感じです。
この時期になると、必ず想いを馳せる風景があります。
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな
この詩は、新井素子の小説「グリーンレクイエム」のラジオドラマの中で、
主人公の明日香(声:荻野目慶子)が読んでいた、山村暮鳥の「風景」という詩の一部です。
この詩のような、一面の菜の花畑を一度でいいから見てみたい・・・。
そんなふうに思って、昔、九州を1人で旅行したことがありました。
それがちょうど今頃の時期。
インターネットで検索して、見つけたのが長崎県の「白木峰高原」というところで、
写真には菜の花が咲く丘陵の向こうに、青い空と海が広がっている風景が載っていました。
「これだ」と思って、平日に3日ほど休暇を取り、新幹線に飛び乗りました。
諫早市には昼頃到着したものの、バスが1日数便しかないような所だと知り、
仕方なくタクシーに乗って現地に向かいました。
なのに、苦労して行ったにもかかわらず、時期が早すぎて菜の花はまだ3分咲き。
思い描いていた「いちめんのなのはな」とは程遠い、淋しい風景でした。
帰るバスの時間までは何時間もあり、売店もなく、何もすることがありません。
わずかに咲いた菜の花をカメラに収め、ぼんやりと丘に座って海を眺めていました。
この時撮った写真がいまひとつで、それがきっかけで一眼レフの世界に入っていくのですが、
それはまた別の機会にお話します。
そんな訳で、想いは未だに遂げられていないのです。
何がそんなに心を惹きつけるのでしょうか。
思えば、私の心象風景というやつは、いつもそんな広々した場所です。
曇った空の下に広がる草原や、海を臨む一面の菜の花畑など、
だだっ広い中に自分が1人ぽつんと立っている・・・そんな感じです。
そして、そこにいる私は果たして自由なのか、孤独なのか・・・。
人というのは、自分の外にではなく、自分の中に在るもの。
隣に温もりを感じないことや、言葉を交わすことができないことは確かに淋しいけど、
一番淋しいのは、自分の中に想い慕う人が1人もいないということだから。
だから、私は孤独ではないのです・・・たぶん。
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
その心に描いた風景と出会えた時、
私は本当に心からそう思えるようになるのでしょうか。
そんな想いを秘めたまま、また今年も菜の花の季節が訪れるのです。
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