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は~ふたいむ

仕事帰りにカフェに寄り道して、一緒にコーヒーなど飲みながら、
他愛のない話をして過ごしたい。そんな時間。

見送る

2010年12月31日 | 音楽・映画

今日で、2010年も終わりです。
その前に、どうしても書いておきたいことがあり、これを今年最後のブログにすることにしました。
今年に置いていくつもりで、この出来事を書き残しておきたいと思います。


今月の初めに、元彼が亡くなりました。
元彼と言っても、付き合ったのは3年くらいで、別れてからは15年以上経ちます。
でも、同じ会社の後輩だったので、別れてからも毎日顔を合わせていたし、挨拶程度に話をすることもありました。

最後に顔を見たのは、たぶん昨年の暮れだったでしょうか。
エレベータで一緒になり、忙しくて今日も残業だと言うと、大変ですね、と労ってくれた。
あれが、彼と交わした最後の言葉になりました。

今年の春に、病気が見つかって入院し、そのまま帰らぬ人に。
進行性の癌だった、と聞いています。

会社で訃報を聞き、葬儀に出たいと休暇を申し出ると、昔のことを知る上司や周りの人たちからは「自分たちの分もしっかり見送ってきてくれ」と言われました。
突然のことに驚いて、気が動転しかけていましたが、その「見送る」という言葉で、冷静さを取り戻すことができました。
そうか、もう「見送る」ことしかできないんだ、と。

近親者の死は何度か経験していましたし、最も身近な人では父親を見送っていますが、それ以外で深く関わりのあった人の死というのは初めてです。
もう、何の関係もない相手だと思っていたのに、こんなにも心が揺さぶられるとは。
人の関わりの深さというのは、単に関わった時間の長さだけではないのだな、ということを思い知らされました。


写真は、最近買った、Mr.Childrenの「SUPERMARKET FANTASY」
最後のお別れの時に流れていたのが、このアルバムの最後に入っている「花の匂い」という歌でした。

棺の中の彼は、ひどく痩せて、面影を探すのも難しいくらい変わり果てていました。
どれだけ苦しかったか、どれだけ辛かったか。
花を手向けた後、悲しみよりも悔しさがこみ上げてきて、ただ歯を食いしばって手を合わせるしかなかった。
人の死に際して、あんな気持ちになったのは初めてでした。

中古CD屋でアルバムを見つけた時、何となく彼が「いい歌なんですよ」と言っているような気がして、気づくと手に取っていました。
葬儀の後も、ふと棺の中の彼の顔を思い出しては心が乱れる、ということが続いていたので、CDなど買ってしまったら、もっと引きずってしまうのではないかという不安がありましたが、斎場で係りの人に歌の名前を尋ねた時点で、もう囚われてしまっていたのでしょうね。

でも、買って良かった。
聴いて良かった。
とてもいい歌だったよ。

 どんな悲劇に 埋もれた場所にでも
 幸せの種は 必ず植わってる
 零れた落ちた涙が 如雨露一杯になったら
 その種に水を撒こう
 (Mr.Children『花の匂い』)

 

あの時は、ただ早すぎる死を嘆くばかりだったけど、壮絶だったであろう闘病生活を終えて旅立った彼に、今なら「良く頑張ったね」と言ってあげることができそうです。

人間とはよくできたもので、今や彼が亡くなった時の悲しみは薄れ、棺の中の彼はその面影を取り戻し、すっかり安らかな顔になっています。
そのうち、日常生活に埋もれて、思い出すこともなくなってしまうのでしょう。

だからこそ、今少し名残惜しんでいたい。
貴方は確かに存在し、短い期間ではあったけど、私の人生に深く関わったのだと。

本当の別れが訪れた今、あらためて出会ったことに感謝しながら、この歌を聴いています。

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