goo blog サービス終了のお知らせ 

現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

木暮陶句郎・句集『薫陶』ふらんす堂

2021-06-06 | 俳句

体ごと振るフライパン春隣  木暮陶句郎

音の無き刻をつないで流れ星  同

湯たんぽの命と思ふ湯をそそぐ  同

宇宙みな回りて轆轤始かな  同

毛の国の起伏を滑る初日影  同

水音の透けてをりたる谷若葉  同

太陽のかけらも運び蟻光る  同

水と土ぶつけて轆轤始かな  同

 


谷原恵理子・句集『冬の舟』俳句アトラス

2021-05-09 | 俳句

星するり体を抜けるスキーの夜  谷原恵理子

再び会ふ夏蝶すでに傷つきて  同

鞍馬山降りひとの世にかき氷  同

眉にふれ淡海にふれ春の雪  同

椿落つ大地に伝ふ波の音  同

雪の鯉音なき水に生きてをり  同

 


塩見恵介・句集『隣の駅が見える駅』朔出版

2021-05-02 | 俳句

世を捨ても世に捨てられもせずさくら  塩見恵介

ゴールデンウィークをアンモナイトする  同

白バイの前輪薔薇を嗅いでいる  同

噴水の前で止まっている家族  同

楽しくはないがいそぎんちゃくゆれる  同

蒲公英を咲かせて天と地の和解  同

燕来る隣の駅が見える駅  同

 

 


加藤直克・句集『葆光』22世紀アート

2021-04-14 | 俳句

雫のみ光る桜となりにけり  加藤直克
臭蜉蝣ひたいに星を宿したり  同
地の果てにコスモス抱く曙光かな  同
舞ひながら舞を脱けゆく秋の蝶  同
竹伐りて星降る道の通ひたる  同
崩れゆく雲の放てる昼の月  同
囓られし柱に消へるうさぎかな  同
七草粥すする灯りの暗さかな  同
沈む陽の大きさのまま冬終はる  同
肩寄せる牛乳びんの夜明け前  同