海のみか空もまた菜の花の沖 林亮
あるはずの後ろをなくす帚草 同
コスモスへ風の都の遷る見ゆ 同
鉄橋の数だけ渡る天の川 同
枯菊に燃ゆる音燃え移る音 同
海のみか空もまた菜の花の沖 林亮
あるはずの後ろをなくす帚草 同
コスモスへ風の都の遷る見ゆ 同
鉄橋の数だけ渡る天の川 同
枯菊に燃ゆる音燃え移る音 同
ピアノ鳴る家や西日の鬼瓦 柿本多映
満水の池を覆へり春の空 同
何喰はぬ顔の出てくる氷室かな 同
陽炎を跨いで入る非常口 同
八月の鯨のやうな精神科 同
十二支の闇に逃げこむ走馬燈 黒田杏子
金柑を星のごと煮る霜夜かな 同
かもめ食堂空色の扉の冬籠 同
月の稲架古墳にありてなほ解かず 同
休診の父と来てをり崩れ簗 同
青桃に夕陽はとどく天主堂(カテドラル) 同 (五島列島 六句)
はまゆふは戸毎にひらく濤の上 同 (五島列島 六句)
日に透けて流人の墓のかたつむり 同
星合の運河の窓は灯りけり 同
青柚子や風の濡れたる濡佛 同 (宇都宮 多気山)
鮎落ちて那須野ヶ原の夕火種 同 (黒羽行)
帯文 : 瀬戸内寂聴
秋天や丹の橋渡る雲巌寺 干野風来子
爽籟の北岳いまし蒼き山 同
霧蒼き黒髪山を拝ろがむる 同
雲ながる那須野が原の稲穂波 同
遠花火いつもあなたは笑ふだけ 同
白百合の咲き継ぐ不確かな日々を 松尾紘子
山の端をあそび疲れて小望月 同
眠り浅き夜はアンタレスの誘惑 同
モンローの唇永久に夜の秋 同
ゆく秋や伊奈良の沼の舫ひ船 同
立春やキリンのこぼす草光る 川越歌澄
百合の花咲く幾夜を寝そびれて 同
竹の春いま来た道の消えてをり 同
錬金術師またきのこ殖やしてしまふ 同
シリウスが燃える限りは待つてゐる 同