2024(令和 6)年潜水事故集計
(報道、地元、第十一管区海上保安本部情報提供) 2025.04.22.
1.2024 年潜水事故情報集計
はじめに
2024年(令和6)年のお正月早々から沖縄県内での潜水漁労従事者の潜水事故情報
が流れた。正月元旦の1月1日、1月9日、13日と連続して発生しました。フーカー潜
水で2件、素潜りで1件だった。波乱の幕開けでした。
レジャーダイビング関連では、2022年(令和4)年に新型コロナ感染症関連の規制
が解除された。しかし、約2年半の規制による影響の後遺症が色濃く残ったままだ。それ
は中堅のインストラクターが離職した。同様にリゾートホテルのマリンスタッフも退職者
が続いた。その後、新規のインストラクター予備軍およびマリンスタッフの人材不足が深
刻になった状態が改善することはなかった。
沖縄ではマリンスポーツの需要は新型コロナ以前に戻りました。しかし、担当するスタ
ッフ不足は深刻さを増した。午前、午後と掛け持ちでスノーケリングや体験ダイビングを
時間差で熟していた。若いインストラクター予備軍の新規参入が激減したことで現場のダ
イビングインストラクターの高齢化が一段と進んだ。
2022(令和4)年4月に発生した知床遊覧船転覆事故以降、ダイビング船も含めて
遊覧関係の船舶運航について各種の規制強化が本格化した。ダイビング船を自社で運航し
ているダイビングサービスでは通信関係の費用捻出と人材確保の課題となりました。
新しい動きとして一社)マリンレジャー振興協会のご尽力でダイビングを含むマリンレ
ジャーでの安全対策の映像化と公開、それに医療用酸素関係の普及活動が動き始めました。
2024年1月1日から12月末までの筆者が覚知した日本国内と日本人が関係した海外
での潜水事故情報を集計したものである。覚知できなかった事故もあり、全てではない。
2.2024(令和6)年潜水事故集計:
略号:スノーケリング(SN)スクーバ(SC)素潜り漁労(SK)スクーバ漁労(SG)フーカー(FK)潜水作業(DW)
公務潜水(PR)科学調査潜水(SR)(ドクヘリ(DH)海保ヘリ(CH)エントリー(EN)エキジット(EX)
01.01/01 沖縄県 男 65 1 死亡 FK モズク漁、水面でマスク外したまま心肺停止で発見
02.01/04 島根県 2022/08 潜水作業潜水士死亡、工事関係者 4 名書類送検
03.01/09 沖縄県 男 71 1 死亡 SF 素潜り漁、捜索した結果海中沈んだ状態発見
04.01/13 沖縄県 男 82 1 死亡 FK 潜水漁労、海保捜索中に水面に浮いた状態で発見
05.01/15 和歌山 2021/02 潜水作業潜水士死亡、遺族が工事関係者に賠償請求
06.02/04 沖縄県 女 30 1 スノーケリングツアー中に船のラダー指挟み負傷
07.02/06 静岡県 男 -- 1 死亡 SC 潜水機材を装着した状態で漂着した
08.02/13 沖縄県 女 39 1 死亡 SC ドリフト潜水 EN5 分後体調不良で CH 搬送
2
09.02/20 沖縄県 女 50 1 搬送 SN ツアー中に体調不良で港に戻り救急搬送
10.02/24 沖縄県 男 47 1 死亡 SK 単独で素潜り中、水深 3m に沈んでいた
11.02/26 新潟県 2023/10 柏崎市消防本部隊員死亡、第三者委員会開催
12.02/27 沖縄県 女 51 1 死亡 SC 体験ダイビング、体調不良後心肺停止、CPR 実施
12.03/13 熊本県 2023/07 SC 陸上自衛隊員勤務時間中に無届で SC し懲戒処分
13.03/15 沖縄県 男 56 1 搬送 SN 体調不良を訴えて搬送後、虚偽の健康申告発覚
14.03/17 沖縄県 女 30 1 搬送 SC EN 直後に発作発症、搬送中に虚偽の健康申告発覚
15.03/19 沖縄県 ダイビング船転覆事故 全員海保が救助
16.03/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会が 4 月公表の報告書基本案作成
17.03/24 沖縄県 女 73 1 死亡 SN 救命具着用、体調不良、心肺停止で医療機関搬送
18.03/26 新潟県 柏崎市消防本部事故、議会に第三者委員会が中間報告
19.03/28 沖縄県 2023/09 公安委員会が事故当事者へ 20 日間事業停止の行政処分公表
20.03/29 島根県 2022/08 工事関係者に業務上過失致死などの罪で略式起訴
21.04/16 沖縄県 男 53 1 死亡 SF 漁労開始 30 分体調不良、過呼吸後、心肺停止搬送
22.04/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会事故報告書提出
23.04/23 新潟県 柏崎市消防本部事故、報告書公表、当事者二名の懲戒処分発表
24.04/26 沖縄県 男 40 2 搬送 FK モズク漁中機材故障で送気途絶、緊急浮上後搬送
25.04/27 沖縄県 男 40 1 搬送 SN リーフカレント帰還不能後救助、CH 吊上げ救助
26.04/28 長崎県 男 68 1 行方不明 SC 三名で潜水、一名が行方不明、海保捜索
27.04/30 沖縄県 男 50 1 搬送 SC 水深 5m にて意識朦朧、医療機関にて減圧症治療
28.05/04 沖縄県 男 40 1 搬送 SC 水中で体調不良、診療所に搬送後、DH 搬送
29.05/07 沖縄県 女 70 1 死亡 SN 開始 5 分仰向け状態で発見、医療機関にて翌日死亡
30.05/17 三重県 女 77 1 死亡 SF 水面に浮いた状態で発見、船上にて CPR 実施
31.05/23 三重県 女 77 1 死亡 SF 漁労中脳出血を発症、水面に浮いた状態で発見
32.05/26 沖縄県 女 50 1 死亡 SC 体験潜水中に体調不良、心肺停止、医療機関搬送
33.05/29 バリ島 男 73 1 死亡 SC 機材故障ガイドの機材と交換後、意識不明
32.06/01 沖縄県 男 70 1 搬送 SC 意識不明状態で浮上、診療所で意識回復
33.06/09 静岡県 男 56 1 搬送 SC 体調不良で浮上、意識不明 CPR 酸素供給、DH 搬送
34.06/12 沖縄県 第十一管区海上保安本部よりマリンレジャー事故防止の注意喚起発信
35.06/14 茨城県 男 70 1 死亡 SF 一時行方不明、捜索中水面に浮いた状態で発見
36.06/19 沖縄県 男 41 1 送検 2023/08 船転覆、業務上過失往来危険で書類送検
37.06/20 沖縄県 男 44 1 死亡 SK 魚突き中に行方不明、捜索対応、06/23 発見
38.06/20 青森県 男 76 1 死亡 SF 水深 60 cmに仰向けで沈んだ状態で発見、搬送
39.06/21 千葉県 男 75 1 死亡 SF 06/17 に行方不明、捜索して水深 6m で発見
40.06/22 沖縄県 男 78 1 死亡 SK 釣り船船長、アンカー確認で入水して溺れた
41.06/24 沖縄県 男 50 1 救助 SN リーフ上で帰還不能、消防が救助 救命具未装着
42.06/27 北海道 男 30 1 死亡 DW 鉄板引上げ作業中ワイヤーに絡まった状態で救助
3
43.07/03 秋田県 男 58 1 死亡 SF 海藻採り中、溺れ浮いた状態で発見
44.07/06 沖縄県 男 77 1 死亡 SN 単独行動 波打ち際で浮いた状態で発見
45.07/06 沖縄県 公安委員会行政処分 03/28 20 日間業務停止案件、処分取り消し
46.07/08 沖縄県 男 30 1 搬送 SN 単独行動 意識不明 他のダイバーが救助 肺水腫
47.07/08 静岡県 男 70 1 死亡 SC バディ潜水 体調不良、心肺停止 持病があった
48.07/10 沖縄県 男 70 1 死亡 SC 1:3 潜水 20 分後、水中で挙動不審、浮上後意識不明
49.07/13 新潟県 男 66 1 死亡 SN 単独行動 浮いた状態で発見
50.07/13 島根県 女 52 1 搬送 SC 水深3m浮上サイン浮上後意識不明 CPR DH 搬送
51.07/14 愛媛県 男 51 1 死亡 DW 沈船の油抜取り作業 医療機関にて緊張性気胸
52.07/14 愛媛県 男 45 1 搬送 DW 耳を負傷した
53.07/14 沖縄県 女 50 1 搬送 SN 地元の方で家族と一緒に SN 中、溺れた
54.07/14 沖縄県 女 30 1 救助 SN 外国籍 救命具未着用 溺れ サーファーが救助
55.07/14 鹿児島 女 58 1 死亡 SC 家族で講習中 浮上直後に体調不良、意識消失搬送
56.07/15 沖縄県 男 33 1 死亡 SN 単独 10 分後に体調不良意識不明 救命具未着用
57.07/17 徳島県 男 8568 2 死亡 SF 85 歳浮いた状態、68 歳水深 2.5m に沈んだ状態
58.07/17 福岡県 男 26 1 死亡 福岡市消防学校 新人教育 立泳ぎ中 水没した状態発見
59.07/24 東京都 -- ---- 1 搬送 SC 初心者講習 水底で機材脱着訓練中溺れた 詳細不明
60.07/27 福島県 男 66 1 死亡 DW 土砂採取ための事前調査を二名で実施中に溺れた
61.07/25 和歌山 女 59 1 死亡 SC 講習 水深 25m 浮上サイン 安全停止中に意識喪失
62.07/31 神奈川 男 52 1 死亡 SN 二名で SN 中に体調不良で意識不明、搬送
63.08/02 沖縄県 男 65 1 死亡 SN SC 体験前の身体慣らしで SN、意識不明で発見
64.08/04 沖縄県 男 10 1 救命 SF ロープ岩に絡まり 溺れ船上背中叩打して意識回復
65.08/04 新潟県 男 54 1 死亡 SC 潜水 10-15 分後水深 20m でパニック意識消失
66.08/04 和歌山 男 51 1 死亡 SC 体験二名 ロスト 15 歳意識朦朧、51 歳父心肺停止
67.08/06 大分県 男 77 1 死亡 SK 三名で SK 一名水深 3m に沈んだ状態で発見
68.08/07 福井県 男 24 1 搬送 SN イルカに咬まれた右手約 20 針縫う重傷
69.08/08 島根県 男 27 1 SF 単独 行方不明捜索開始 08/11 専従捜索打ち切り
70.08/09 沖縄県 女 20 1 救命 SC 体験 パニック浮上 溺れ呼吸あり意識消失
71.08/10 沖縄県 女 29 1 死亡 SN 単独 うつ伏せ状態 救命具未着用 DH 搬送
72.08/10 島根県 男 62 1 不明 SF 漁労許可旗流失 回収時に溺れた 行方不明
73.08/11 沖縄県 男 20 1 救命 SN 単独 海水誤嚥 SUP で救助 嘔吐し診療所搬送
74.08/19 新潟県 男 79 1 死亡 SF 単独 うつ伏せ状態で発見
75.08/19 ハワイ 男 66 1 死亡 SN 08/14 溺水、意識不明 医療機関で治療
76.08/20 新潟県 男 76 1 死亡 SN 単独 水深 5m で発見、消防隊が救助
77.08/21 沖縄県 女 40 1 不明 SC 中国人三名セルフ一名不明 08/24 専従捜索打切り
78.08/21 島根県 08/10 行方不明者ご遺体発見 身元確認作業開始
79.08/26 島根県 08/08 行方不明男性ご遺体発見 27 歳男性と身元確認された
4
90.08/24 沖縄県 08/21 行方不明の中国人ダイバー 海保専従捜索を打切り公表
91.08/24 福井県 男 59 1 SC イルカにフィンを咬まれた
92.08/25 沖縄県 男 62 1 死亡 SC 講習前の水泳検定中に体調不良、搬送先で死亡確認
93.08/25 沖縄県 男 74 1 死亡 SN 開始後 5 分で溺れた 救命具未着用
94.08/26 島根県 08/10 行方不明の 62 歳男性と身元確認判明
95.08/29 沖縄県 男 40 1 救命 SN 単独溺れ浜で CPR 意識回復搬送 救命具未着用
96.08/29 沖縄県 女 20 1 救助 SC インストラクターがフィン破損し、帰還困難
97.08/30 沖縄県 男 80 1 救命 SN うつ伏せで浮いていた 家族が CPR 意識呼吸回復
98.08/30 山形県 男 78 1 死亡 SF 水深 5m で発見、救助 心肺停止、搬送先で死亡確認
99.08/31 沖縄県 男 65 1 死亡 SN 体調異変 救助要請 他スタッフが救助 救命具着用
00.09/06 静岡県 男 05 1 搬送 SN 5 歳児マスクに水が入って溺れ 呼吸不全 DH 搬送
01.09/10 沖縄県 男 79 1 死亡 SC 準備運動で入水 3 分後、心肺停止状態となった
02.09/17 長崎県 男 70 1 漂流 SK 強い潮流に流されたが、自力で陸地に上陸した
03.09/18 静岡県 男 60 1 搬送 SC 講習中、浮上後意識不明 蘇生法実施、DH 搬送
04.09/19 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流 30 歳女 10 歳男 ビーチスタッフが救助
05.09/23 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流一名救命具着用 一名救命具未着用 消防が救助
06.09/25 沖縄県 女 30 1 搬送 SC10 分後浮上 意識朦朧 人工呼吸実施 DH 搬送
07. 09/26 沖縄県 女 50 1 搬送 SN うつ伏せ状態 心肺停止 CPR 回復 医療機関に搬送
08. 09/26 沖縄県 2023/08 船転覆事案 運輸安全委員会報告書公開
09. 09/28 東京都 男 49 1 死亡 SC 引率者が行方不明 捜索して水底で発見、病死
10. 10/04 沖縄県 2023/08 船転覆事案 運輸安全委員会報告書(図解、問題点指摘)公開
11.10/06 沖縄県 女 60 1 死亡 体調不良で浮上後、船上で意識不明、CPR 実施 DH 搬送
12.10/07 沖縄県 男 38 1 死亡 SK 韓国籍 海底に沈んだ状態で発見、心肺停止で搬送
13.10/10 沖縄県 女 38 1 死亡 SN 韓国籍 沖合で救助信号を発し溺れた 救命具未着用
14.10/10 鹿児島 男 74 1 死亡 SF 10/09 に無人船確認、海保捜索、仰向け状態で発見
15.10/12 沖縄県 女 30 1 搬送 2 本目に体調異変を伝え意識不明 船上で CPR DH 搬送
16.10/12 沖縄県 男 28 1 搬送 大深度水底で呼吸不全となり急浮上 DH 搬送 再圧治療
17.10/12 沖縄県 女 20 1 救助 SN はぐれて帰還不能 救命具着用 救助された
18.10/13 沖縄県 女 76 1 死亡 SN クルーズ客 マスク付きスノーケル 救命具未着用
19.10/15 沖縄県 男 20 1 救助 SN 深みでパニック海水を誤嚥 ビーチスタッフが救助
20.10/19 沖縄県 男 65 1 死亡 SC 潜降直後に潜水機材故障で誤嚥 心肺停止 搬送
21.10/20 沖縄県 男 40 1 不明 SN はぐれて行方不明 救命具未着用
22.10/20 沖縄県 女 20 1 救助 SC 講習潜降直後に誤嚥、意識朦朧状態で救助搬送
23.10/23 沖縄県 女 28 1 死亡 SN 韓国籍 手をバタつかせ溺れ心肺停止 救命具未着用
24.10/23 沖縄県 女 40 1 負傷 SN 水上バイクが接触 頭部打撲で搬送
25.11/04 沖縄県 男 51 1 死亡 SC 海面に急浮上し意識朦朧 CPR 実施 診療所に搬送
26.11/30 静岡県 男 70 1 死亡 SC 水中で意識朦朧から意識不明 心肺停止状態で救助
5
27.12/26 沖縄県 ダイビング船が座礁 乗員乗客 24 人全員救された 気象急変
28.12/27 モルディブ 男 70 1 死亡 SN 現職の参院議員だった
29.12/28 タイ 男 54 1 死亡 SC 現地のダイビングツアー参加中に死亡 原因不詳
2.潜水分野別事故事例集計と解説
(1)潜水事故以外(裁判、書類送検、業務停止等)
01.01/04 島根県 2022/08 潜水作業潜水士死亡、工事関係者 4 名書類送検
02.01/15 和歌山 2021/02 潜水作業潜水士死亡、遺族が工事関係者に賠償請求
03.03/13 熊本県 2023/07 SC 陸上自衛隊員勤務時間中に無届で SC し懲戒処分
04.03/28 沖縄県 2023/09 公安委員会が事故当事者へ 20 日間事業停止の行政処分公表
05.03/29 島根県 2022/08 工事関係者に業務上過失致死などの罪で略式起訴
06.06/12 沖縄県 第十一管区海上保安本部よりマリンレジャー事故防止の注意喚起発信
07.06/19 沖縄県 男 41 1 送検 2023/08 船転覆、業務上過失往来危険で書類送検
08.07/06 沖縄県 公安委員会行政処分 03/28 20 日間業務停止案件、処分取り消し
10.08/24 沖縄県 08/21 行方不明の中国人ダイバー 海保専従捜索を打切り公表
11.09/26 沖縄県 2023/08 船転覆事案 運輸安全委員会報告書公開
潜水作業の部分でも書き添えたが、潜水作業での事故後の労働災害の補償については、
不十分なのか、ご遺族が工事関係者に対して民事での賠償請求裁判を起こしている。また、
工事関係者への刑事責任を追及する刑事事件としての追及が報じられた。
沖縄関係では、2023 年 9 月に発生した西表島の仲の神島で発生した事故について、事
業者に対して沖縄県水上安全条例違反として 20 日間の業務停止処分を勧告したが、後に
業務停止案件の処分取り消しを公表した。
2023 年 8 月に発生した船舶転覆事案について業務上過失往来危険で書類送検された。国
の運輸安全委員会から事故の詳細な報告書が公開された。沖縄県内での潜水事故が多発し
たことで第十一管区海上保安本部よりダイビング事業者向けに注意喚起が発信された。
(2)潜水漁労
01.01/01 沖縄県 男 65 1 死亡 FK モズク漁、水面でマスク外したまま心肺停止で発見
02.01/09 沖縄県 男 71 1 死亡 SF 素潜り漁、捜索した結果海中沈んだ状態発見
03.01/13 沖縄県 男 82 1 死亡 FK 潜水漁労、海保捜索中に水面に浮いた状態で発見
04.04/16 沖縄県 男 53 1 死亡 SF 漁労開始 30 分体調不良、過呼吸後、心肺停止搬送
05.04/26 沖縄県 男 40 2 搬送 FK モズク漁中機材故障で送気途絶、緊急浮上後搬送
06.05/17 三重県 女 77 1 死亡 SF 水面に浮いた状態で発見、船上にて CPR 実施
07.05/23 三重県 女 77 1 死亡 SF 漁労中脳出血を発症、水面に浮いた状態で発見
08.06/14 茨城県 男 70 1 死亡 SF 一時行方不明、捜索中水面に浮いた状態で発見
09.06/20 青森県 男 76 1 死亡 SF 水深 60 cmに仰向けで沈んだ状態で発見、搬送
6
10.06/21 千葉県 男 75 1 死亡 SF 06/17 に行方不明、捜索して水深 6m で発見
11.07/03 秋田県 男 58 1 死亡 SF 海藻採り中、溺れ浮いた状態で発見
12.07/17 徳島県 男 68 2 死亡 SF 85 歳浮いた状態、68 歳水深 2.5m に沈んだ状態
13.08/04 沖縄県 男 10 1 救命 SF ロープ岩に絡まり 溺れ船上背中叩打して意識回復
14.08/08 島根県 男 27 1 SF 単独 行方不明捜索開始 08/11 専従捜索打ち切り
15.08/10 島根県 男 62 1 不明 SF 漁労許可旗流失 回収時に溺れた 行方不明
16.08/19 新潟県 男 79 1 死亡 SF 単独 うつ伏せ状態で発見
17.08/21 島根県 08/10 行方不明者ご遺体発見 身元確認作業開始
18.08/26 島根県 08/08 行方不明男性ご遺体発見 27 歳男性と身元確認された
19.08/26 島根県 08/10 行方不明の 62 歳男性と身元確認判明
20.08/30 山形県 男 78 1 死亡 SF 水深 5m で発見、救助 心肺停止、搬送先で死亡確認
21.10/10 鹿児島 男 74 1 死亡 SF 10/09 に無人船確認、海保捜索、仰向け状態で発見
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
漁労 件数 死亡 救助・入院 行方不明
素潜り漁 15件(13件) 15人(12人) 1人 (1人) 0人(0人)
器械潜水 3件 (1件) 2人 (1人) 2人 (0人) 0人(0人)
18件(14件) 17人(13人) 3人 (1人) 0人(0人)
漁労関係での事故は、素潜り漁と高圧空気を使う器械潜水ではスクーバとフーカー潜水と
二種類の分類となる。漁労関係の事故は、18 件(13 件)が確認された。素潜り漁は 15 件
(13 件)で死亡が 15 人(12 人)、負傷が 1 人(1 人)。器械潜水では 3 件(1 件)、死亡が
2 人(1 人)、送気途絶で緊急浮上して医療機関に搬送された 2 人(0 人)が確認された。
漁労関係の事故を地域別では、沖縄県が素潜り漁で 3 件、器械潜水漁労で 3 件の合計 6
件が確認された。三重県では素潜り漁労で 2 件、島根県で 2 件だった。その他は青森県、
秋田県、山形県、茨城県、千葉県、新潟県、徳島県、鹿児島県、其々1 件が確認された。
器械潜水漁労は、沖縄県で 3 件が報告された。うち 2 件はモズク漁で発生した。モズク
漁では、送気途絶で 2 人が急浮上した。これは船上に設置されたコンプレッサーが故障し
たか、燃料切れで送気途絶したことが海上保安庁の資料で確認された。素潜り漁労では、
60 代後半、70 代、80 代の高齢者 18 件中の 11 件と 60%と高い死亡率となっている。死因
については持病があったことが判った。定期的な健康診断の受診ついては、漁業組合は推
奨しているが、あくまでも任意となっている。長年に亘って素潜り漁労に従事しているた
めに、ついついいつものように素潜り漁に行き事故となってしまう傾向があるようだ。
事故内容を確認すると漁労については単独活動することが多いので、水面や水中でトラ
ブルが発生しても救助されることは皆無だったことが判断できる。トラブルが発生した際
に共同で活動している場合は、異変に気付き、救助対応することで生命を失うことなく医
療機関への搬送となった。
7
2025 年 1 月と 2 月にモズク漁労従事者対象の現状検証に参加した。その前後にモズク
漁労従事者や漁業協同組合の関係者にヒヤリングを実施した。沖縄県内でのモズク栽培が
始まった頃から現在までの話を聞くことができた。
恩納村でのモズク漁労者は、本土復帰以降に恩納村ではモズク栽培が始まった頃、初め
のうちは素潜りでモズク漁労を実施していたことが判った。現在のような器械潜水に移行
したのは、本土復帰から間もない頃、沖縄各地の海や山が削られ港湾作業でコンプレッサ
ーを使用したフーカー式潜水器で潜水工事が実施されていた。そんな経緯がありモズク漁
師は、コンプレッサーと潜水機器を使ってのモズク漁労が普及したことが判った。
潜水機器を用いての漁労では、漁業者全員がフルフェイスマスクを使用している訳では
なく、スクーバ形式やフルフェイスマスク形式と様々となっていることが判った。潜水機
器を使って潜る技術については、見様見真似で正式な潜水教育を受けてなく家族内での父
から息子への伝承、見て覚えるスタイルだった。
関係者のヒヤリングを通じて分かったことを箇条書きで列挙すると1正式な潜水教育を
受けてなく家族内での父から息子への伝承、見て覚えろ。潜水士免許の有無は不明。2水
深計、ダイブコンピュータ等の計器類なしでの潜水を実施。3組合では健康診断を推奨し
ているが実際の受診は個人任せ。4潜水障害が起きた際の相談相手がいない。5小さな潜
水トラブルが起きているが本人が自覚していない。6浅い水深での潜水なので減圧は問題
ないと考えている。7浮上時のスピードの問題。8水面休息時間の確保が短い。9地域に
よっては、単独操業している場合もある(船長、潜水士兼務)船上待機者なしもある。10
昼間にモズク漁労、夜間にフーカーでの魚突きを実施。本人は相当な疲労感を感じている。
以上のヒヤリング内容から明らかになった。
本土復帰 53 年目を迎える一方で沖縄の水産業を取巻く課題として、「漁業従事者の高齢
化と後継者不足が浮かび上がった。これは沖縄だけでなく全国的な傾向でもあるのでした。
(3)潜水作業
01.01/04 島根県 2022/08 潜水作業潜水士死亡、工事関係者 4 名書類送検
02.01/15 和歌山 2021/02 潜水作業潜水士死亡、遺族が工事関係者に賠償請求
03.03/29 島根県 2022/08 工事関係者に業務上過失致死などの罪で略式起訴
04.06/27 北海道 男 30 1 死亡 DW 鉄板引上げ作業中ワイヤーに絡まった状態で救助
05.07/14 愛媛県 男 51 1 死亡 DW 沈船の油抜取り作業 医療機関にて緊張性気胸
06.07/14 愛媛県 男 45 1 搬送 DW 耳を負傷した
07.07/27 福島県 男 66 1 死亡 DW 土砂採取ための事前調査を二名で実施中に溺れた
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助・入院 行方不明
潜水作業 4件 (3件) 3人 (2人) 1人 (1人) 0人(0人)
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潜水作業での事故後の労働災害の補償については、不十分なのか、ご遺族が工事関係者に
対して民事での賠償請求裁判を起こしている。また、工事関係者への刑事責任を追及する
刑事事件としての追及が報じられた。
潜水作業での事故も4件発生した。三人の作業者が死亡し、1 人が負傷して医療機関に
搬送される事故が発生した。7/14 の愛媛県で発生した事故は、同じ潜水作業の中で 2 件
発生し、水中で緊張性気胸を発症して死亡した。もう 1 人は耳を負傷した。
高圧則では高気圧障害に関連する項目について健診を受けること。定期的に特殊健康診
断を受診することが覚められているが、潜水士健康診断を受診していたのだろうか。
潜水作業は、水中視界が限られた中での作業となることが多いので、事前に工事関係者
同士での段取りとして、実際の作業手順等を含めた綿密な打ち合わせが必要となる。水中
作業は、単独作業となることが多いので実際の作業ダイバーと地上での作業担当者との音
声と画像のコンタクトが重要と考えるが、多くの潜水作業現場では水中作業が終了して浮
上するまでコンタクトは乏しい状態となっていると思料される。
改めて潜水作業での潜水士と安全管理者の工事計画の打合せと緊急時の対応について
再確認すべきだ。
(4)公務潜水
01.02/26 新潟県 2023/10 柏崎市消防本部隊員死亡、第三者委員会開催
02.03/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会が 4 月公表の報告書基本案作成
03.03/26 新潟県 柏崎市消防本部事故、議会に第三者委員会が中間報告
04.04/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会事故報告書提出
05.04/23 新潟県 柏崎市消防本部事故、報告書公表、当事者二名の懲戒処分発表
06.07/17 福岡県 男 26 1 死亡 福岡市消防学校 新人教育 立泳ぎ中 水没した状態発見
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助・入院 行方不明
公務潜水 1件 (3件) 1人 (2人) 0人 (2人) 0人(0人)
年明けから 2023(令和 5)年 10 月に発生した柏崎市消防本部での水難救助隊員死亡事故
の調査報告の作成過程が逐次報道され 2024(令和 6)年4月には事故報告書が全面的に公
開された。報告書には「海難救助訓練の一環で実施、二年のカリキュラムで、海洋での訓
練は 2023 年 7 月と 9 月の二回実施。今回の三回目の訓練中に発生した。26 歳の消防士が
水没状態で発見され、医療機関に搬送された翌日に死亡が確認された。当直明けでの訓練、
体調不良を訴えたが指導者に伝わっていなかった。」ことが判明。消防本部の責任者ら 2
人が懲戒処分された。
この事故が発生したことで「水難救助訓練等に係る安全管理の徹底について」(令和 5 年
10 月 17 日消防参第 277 号、消防第 365 号)及び「水難救助訓練等の安全管理に係る点検
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等の実態調査及び安全管理の再徹底について」(令和 6 年 5 月 27 日消防参第 110 号、消防
第 146 号)の通達が出された。
しかし、2024(令和 6)年 7 月 9 日に福岡市消防学校にて水難事故が発生した。事故は
7 月 9 日の初任科の水難救助訓練中に発生した。訓練中の学生(26 歳)立泳ぎの訓練中、
水没した状態で発見。医療機関に搬送されたが 17 日に死亡した。学生が死亡したことで
事故が公になった。4 月に入校した初任科の学生 52 名、指導者 18 名で立ち泳ぎを 52 名
が水着まま一斉に実施した。
訓練計画の中に「立泳ぎ」への安全対策ガイドラインや責任者を含め現場の指導者の安
全対策へのトレーニングや指導経験等の不備が明らかになりました。過去に訓練を受けた
消防士からは「溺れそうな時は助けてくれないが、溺れたら助ける的な感じ」だったの証
言が報じられた。また、立泳ぎを断念してプールサイドに掴まることは許されなく、立泳
ぎを続けるように強要された。等々の問題点が指摘されているが、改善されることなかっ
た。
2020(令和 2)年 7 月 10 日に発生した山口県消防学校での初任科教育学生 55 名全員が
一斉にプールに入り立泳ぎを実施。当初は学生 55 名に対して監視人 6 人だったが、途中
に学生 2 名に監視人 2 名が対処した。結果的に学生 53 名に監視人 4 名と監視困難な状態
に陥り事故が発生した。責任者二名が業務上過失致死の疑いで書類送検。今回の福岡市消
防学校での立泳ぎでの事故は、何らこれらの事故後に指摘された安全管理と教訓が生かさ
れていないのでした。
この事故に対しての事故調査委員会が 2025(令和 7)年 1 月 29 日に初めて事故調査の
外部委員会が初めて開催された。再発防止策の策定に向けて検討が始まった。これまでの
消防関係では初任者課程での事故が続いている。今回の福岡市消防学校の事故調査結果の
公表が待たれる。
(5)科学調査潜水
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助・入院 行方不明
科学調査 0件 (0件) 0人 (0人) 0人 (0人) 0人(0人)
2024(令和6)年は科学調査潜水では事故報告は確認することができなかった。こ
の資料とまとめている最中に2025(令和7)年4月2日(水)に山形県鶴岡市の山形
県水産研究所の職員(31歳)が死亡する潜水事故情報を確認した。山形県人事委員会が
労働安全衛生法違反の疑いで調査を開始した。
(6)スノーケリング
01.02/04 沖縄県 女 30 1 スノーケリングツアー中に船のラダー指挟み負傷
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02.02/20 沖縄県 女 50 1 搬送 SN ツアー中に体調不良で港に戻り救急搬送
03.02/24 沖縄県 男 47 1 死亡 SK 単独で素潜り中、水深 3m に沈んでいた
04.03/15 沖縄県 男 56 1 搬送 SN 体調不良を訴えて搬送後、虚偽の健康申告発覚
05.03/24 沖縄県 女 73 1 死亡 SN 救命具着用、体調不良、心肺停止で医療機関搬送
06.04/27 沖縄県 男 40 1 搬送 SN リーフカレント帰還不能後救助、CH 吊上げ救助
07.05/07 沖縄県 女 70 1 死亡 SN 開始 5 分仰向け状態で発見、医療機関にて翌日死亡
08.06/20 沖縄県 男 44 1 死亡 SK 魚突き中に行方不明、捜索対応、06/23 発見
09.06/22 沖縄県 男 78 1 死亡 SK 釣り船船長、アンカー確認で入水して溺れた
10.06/24 沖縄県 男 50 1 救助 SN リーフ上で帰還不能、消防が救助 救命具未装着
11.07/06 沖縄県 男 77 1 死亡 SN 単独行動 波打ち際で浮いた状態で発見
12.07/08 沖縄県 男 30 1 搬送 SN 単独行動 意識不明 他のダイバーが救助 肺水腫
13.07/13 新潟県 男 66 1 死亡 SN 単独行動 浮いた状態で発見
14.07/14 沖縄県 女 50 1 搬送 SN 地元の方で家族と一緒に SN 中、溺れた
15.07/14 沖縄県 女 30 1 救助 SN 外国籍 救命具未着用 溺れ サーファーが救助
16.07/15 沖縄県 男 33 1 死亡 SN 単独 10 分後に体調不良意識不明 救命具未着用
17.07/31 神奈川 男 52 1 死亡 SN 二名で SN 中に体調不良で意識不明、搬送
18.08/06 大分県 男 77 1 死亡 SK 三名で SK 一名水深 3m に沈んだ状態で発見
19.08/07 福井県 男 24 1 搬送 SN イルカに咬まれた右手約 20 針縫う重傷
20.08/10 沖縄県 女 29 1 死亡 SN 単独 うつ伏せ状態 救命具未着用 DH 搬送
21.08/11 沖縄県 男 20 1 救命 SN 単独 海水誤嚥 SUP で救助 嘔吐し診療所搬送
22.08/19 ハワイ 男 66 1 死亡 SN 08/14 溺水、意識不明 医療機関で治療
23.08/20 新潟県 男 76 1 死亡 SN 単独 水深 5m で発見、消防隊が救助
24.08/25 沖縄県 男 74 1 死亡 SN 開始後 5 分で溺れた 救命具未着用
25.08/29 沖縄県 男 40 1 救命 SN 単独溺れ浜で CPR 意識回復搬送 救命具未着用
26.08/30 沖縄県 男 80 1 救命 SN うつ伏せで浮いていた 家族が CPR 意識呼吸回復
27.08/31 沖縄県 男 65 1 死亡 SN 体調異変 救助要請 他スタッフが救助 救命具着用
28.09/06 静岡県 男 05 1 搬送 SN 5 歳児マスクに水が入って溺れ 呼吸不全 DH 搬送
29.09/17 長崎県 男 70 1 漂流 SK 強い潮流に流されたが、自力で陸地に上陸した
30.09/19 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流 30 歳女 10 歳男 ビーチスタッフが救助
31.09/23 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流一名救命具着用 一名救命具未着用 消防が救助
32. 09/26 沖縄県 女 50 1 搬送 SN うつ伏せ状態 心肺停止 CPR 回復 医療機関に搬送
33.10/07 沖縄県 男 38 1 死亡 SK 韓国籍 海底に沈んだ状態で発見、心肺停止で搬送
34.10/10 沖縄県 女 38 1 死亡 SN 韓国籍 沖合で救助信号を発し溺れた 救命具未着用
35.10/12 沖縄県 女 20 1 救助 SN はぐれて帰還不能 救命具着用 救助された
36.10/13 沖縄県 女 76 1 死亡 SN クルーズ客 マスク付きスノーケル 救命具未着用
37.10/15 沖縄県 男 20 1 救助 SN 深みでパニック海水を誤嚥 ビーチスタッフが救助
38.10/20 沖縄県 男 40 1 不明 SN はぐれて行方不明 救命具未着用
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39.10/23 沖縄県 女 28 1 死亡 SN 韓国籍 手をバタつかせ溺れ心肺停止 救命具未着用
40.10/23 沖縄県 女 40 1 負傷 SN 水上バイクが接触 頭部打撲で搬送
41.12/27 モルディブ 男 70 1 死亡 SN 現職の参院議員だった
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助 行方不明
スノーケリング 41件(45件) 20人(30人) 22人(17人) 1人(0人)
これまでスノーケリング及びスキンダイビング(素潜り)と区別していましたが、2023
年よりスノーケリングに統一した。
2023 年は 45 件だったが、2024 年は 41 件と少しだが減少したことが判った。
沖縄で多発しているスノーケリング事故では、飲酒絡みで事故に繋がっているのではと
の推測している。2023 年に一例だけ飲酒後のスノーケリングを実施したことが報道された
が、その他では詳細不明のままだ。外国籍の方がスノーケリングで 5 件確認され、うち死
亡事故が 4 件、1 件が救助された。
浮力帯(ライフジャケットやスーツ)を装着せずに実施して発生した事故は、もしも浮
力帯を装着していたら、助かっていたのかもしれない。改めて、浮力帯なしと単独、飲酒
でのスノーケリングは極めて危険であることを再認識したい。広報活動だけでは限界があ
るのも否めない。「たかがスノーケリング、されどスノーケリング」だが、実際には専門家
からスノーケリングの指導を受けることを併せて広報すべきと提案したい。
スノーケリングは手軽にできるために、ついつい単独行動になりがちだが、単独行動で
はなくバディ(二人組)で行動して頂きたい。手軽にできると錯覚してマスクやスノーケ
ルを購入して見様見真似で実行して事故に遭遇したと推測される。実際には事前に専門家
よりスノーケルやマスク、フィンの取扱いの実技講習を受ける重要性を、これまで以上に
積極的に告知すべきだ。
沖縄ではサンゴ礁のリーフで形成された海岸線が特徴である。リーフの内側は静かであ
ってもリーフ際だけでなくリーフ内では潮汐の影響で強烈な離岸流の一種の「リーフカレ
ント」に巻き込まれる可能性がある。「リーフカレント」で沖合に流されても浮力帯を装着
していれば流されながら横に移動すれば岸に戻る流れに乗り、リーフ内に戻ることができ
る。水辺でのリーフカレントの危険性を告知する看板が設置されるようになった。流され
た場合の対処法も告知することが重要だ。
ガイド管理のケースで、体調不良の事案が発生。スノーケリングではスクーバに比べる
とガイド 1 名で大人数を引率している。そのためにスノーケラーの体調異変に気付くこと
が遅れた事案も確認された。スノーケリングを引率するガイド教育にも格差があり、ダイ
ビング経験者であればガイドとして簡易的に講習してガイド資格を付与した結果、重大事
案が発生した場合の緊急対応能力の低下も指摘されている。
ガイド管理でのスノーケリングツアー参加者がメディカルチェックについては、体調お
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よび既往歴に問いに対して「健康です。持病および既往歴なし」と虚偽の報告を何件か確
認された。実際、救急搬送されて幸いにも救命され、事故当事者からスノーケリング事業
者に虚偽の申告をしていた旨の謝罪を確認した。近年、スクーバダイビングでの死亡事故
例で浸漬性肺水腫が原因とされたが、スノーケリングでも同様に発症し、死亡する事例が
救急医から報告された。
人間は片手の平に水をすくった位の水の量で鼻と口を覆われれば窒息する可能性がある。
また少量の海水を誤嚥すると喉にある喉頭蓋が閉じて肺に繋がる気道を一瞬にして塞ぐ喉
頭蓋痙攣が知られている。気道が塞がれた途端に呼吸は、できなくなる。喉頭蓋痙攣が収
まるまで気道は塞がったままだ。この状態では、呼吸ができないので心臓や脳への影響が
出る。いわゆる呼吸原性での心静止を来すことになる。誤嚥、喉頭蓋痙攣、窒息、心静止
と分単位の極めて短い時間で推移すると指摘された。心静止が起きるので脳への酸素供給
も途絶し、脳は低酸素脳症を呈して極めて蘇生率が一挙に低下することが判っている。
水中では、水平姿勢で水面に浮かぶので、胸郭に水圧が影響を与える。胸郭が水圧で圧
迫されて呼吸がし辛くなる。普段以上に強く排気して換気しなければならない。強く排気
して換気を忘れると体内の二酸化炭素の蓄積量が多くなる。一種の二酸化炭素過多状態と
なるので人体としては、危険な様態となる。場合によっては意識不明になる可能性もある。
喉頭蓋痙攣、低酸素脳症、二酸化炭素過多等の諸条件が揃ってしまうので「助けて!」と
叫ぶこともできずに静かに浮いたの「ノーパニック症候群」で発見が遅れるのでした。
溺れ対策として浮力帯としてライフジャケット装着が推奨されている。浮力帯を装着し
ていれば沈むことはないとの安心感があるが、体格にあった浮力帯を装着していただきた
い。また、股がけのある製品を選んで欲しい。
マスク、スノーケル、フィン等の器材は、量販店で安く購入できるが、器材を取扱うた
めの実技講習は宣伝されていないのが現状だ。実際にスノーケルを咥えて呼吸したら、ス
ノーケル内に残った海水を排水できず、誤嚥して喉頭蓋痙攣が起きて気道が塞がり呼吸が
出来なくなってしまうことが起きる。
スノーケラーには、水面で誤嚥して呼吸が難しくなった場合を想定して、咄嗟に伏し浮
きから背面浮きに体勢を反転させて顔面が水面上に出るようにする練習をすることを推奨
する。この反転方法ができれば顔面が水面上に出て、助かる可能性が高まるからである。
浮力帯を装着していれば水面に浮き、背面姿勢になれば顔は水面上に出て窒息しないと考
える。
近年、中高年者の死亡例が多くなる傾向にある。死因については公開されていないので
推測の域を出ないのが、事故の広報では溺水が原因で死亡したとの記事が大半を占めてい
るが、改めて注意喚起したい。
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(7)スクーバダイビング
01.02/06 静岡県 男 -- 1 死亡 SC 潜水機材を装着した状態で漂着した
02.02/13 沖縄県 女 39 1 死亡 SC ドリフト潜水 EN5 分後体調不良で CH 搬送
03.02/27 沖縄県 女 51 1 死亡 SC 体験ダイビング、体調不良後心肺停止、CPR 実施
04.03/17 沖縄県 女 30 1 搬送 SC EN 直後に発作発症、搬送中に虚偽の健康申告発覚
05.03/19 沖縄県 ダイビング船転覆事故 全員海保が救助
06.04/28 長崎県 男 68 1 行方不明 SC 三名で潜水、一名が行方不明、海保捜索
07.04/30 沖縄県 男 50 1 搬送 SC 水深 5m にて意識朦朧、医療機関にて減圧症治療
08.05/04 沖縄県 男 40 1 搬送 SC 水中で体調不良、診療所に搬送後、DH 搬送
09.05/26 沖縄県 女 50 1 死亡 SC 体験潜水中に体調不良、心肺停止、医療機関搬送
10.05/29 バリ島 男 73 1 死亡 SC 機材故障ガイドの機材と交換後、意識不明
11.06/01 沖縄県 男 70 1 搬送 SC 意識不明状態で浮上、診療所で意識回復
12.06/09 静岡県 男 56 1 搬送 SC 体調不良で浮上、意識不明 CPR 酸素供給、DH 搬送
13.07/08 静岡県 男 70 1 死亡 SC バディ潜水 体調不良、心肺停止 持病があった
14.07/10 沖縄県 男 70 1 死亡 SC 1:3 潜水 20 分後、水中で挙動不審、浮上後意識不明
15.07/13 島根県 女 52 1 搬送 SC 水深3m浮上サイン浮上後意識不明 CPR DH 搬送
16.07/14 鹿児島 女 58 1 死亡 SC 家族で講習中 浮上直後に体調不良、意識消失搬送
17.07/24 東京都 -- ---- 1 搬送 SC 初心者講習 水底で機材脱着訓練中溺れた 詳細不明
18.07/25 和歌山 女 59 1 死亡 SC 講習 水深 25m 浮上サイン 安全停止中に意識喪失
19.08/02 沖縄県 男 65 1 死亡 SN SC 体験前の身体慣らしで SN、意識不明で発見
20.08/04 新潟県 男 54 1 死亡 SC 潜水 10-15 分後水深 20m でパニック意識消失
21.08/04 和歌山 男 51 1 死亡 SC 体験二名 ロスト 15 歳意識朦朧、51 歳父心肺停止
22.08/09 沖縄県 女 20 1 救命 SC 体験 パニック浮上 溺れ呼吸あり意識消失
23.08/21 沖縄県 女 40 1 不明 SC 中国人三名セルフ一名不明 08/24 専従捜索打切り
24.08/24 福井県 男 59 1 負傷 SC イルカにフィンを咬まれた
25.08/25 沖縄県 男 62 1 死亡 SC 講習前の水泳検定中に体調不良、搬送先で死亡確認
26.08/29 沖縄県 女 20 1 救助 SC インストラクターがフィン破損し、帰還困難
27.09/10 沖縄県 男 79 1 死亡 SC 準備運動で入水 3 分後、心肺停止状態となった
28.09/18 静岡県 男 60 1 搬送 SC 講習中、浮上後意識不明 蘇生法実施、DH 搬送
29.09/25 沖縄県 女 30 1 搬送 SC10 分後浮上 意識朦朧 人工呼吸実施 DH 搬送
30.09/28 東京都 男 49 1 死亡 SC 引率者が行方不明 捜索して水底で発見、病死
31.10/06 沖縄県 女 60 1 死亡 体調不良で浮上後、船上で意識不明、CPR 実施 DH 搬送
32.10/12 沖縄県 女 30 1 搬送 2 本目に体調異変を伝え意識不明 船上で CPR DH 搬送
33.10/12 沖縄県 男 28 1 搬送 大深度水底で呼吸不全となり急浮上 DH 搬送 再圧治療
34.10/19 沖縄県 男 65 1 死亡 SC 潜降直後に潜水機材故障で誤嚥 心肺停止 搬送
35.10/20 沖縄県 女 20 1 救助 SC 講習潜降直後に誤嚥、意識朦朧状態で救助搬送
36.11/04 沖縄県 男 51 1 死亡 SC 海面に急浮上し意識朦朧 CPR 実施 診療所に搬送
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37.11/30 静岡県 男 70 1 死亡 SC 水中で意識朦朧から意識不明 心肺停止状態で救助
38.12/26 沖縄県 ダイビング船が座礁 乗員乗客 24 人全員救された 気象急変
39.12/28 タイ 男 54 1 死亡 SC 現地のダイビングツアー参加中に死亡 原因不詳
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
スクーバ 件数 死亡 救助・入院 行方不明
ファンダイビング 39件(30件) 21人(15人) 16人(24人) 1人(0)
講習 6件 (1件) 3人 (0人) 3人 (1人) 0人(0)
体験ダイビング 5件 (3件) 4人 (1人) 2人 (2人) 0人(0)
50件(34件) 28人(16人) 21人(27人) 1人
2023 年は34件だったが、2024 年は50件と増えたことが判った。図表に表したよう
にファンダイビングは39件(30件)、死亡21人(15人)、救助・入院が16人(2
4人)、行方不明が1人(0人)。講習では6件(1件)、死亡3人(0人)、救助・入院3
人1人)。体験ダイビングでは5件(3件)、死亡4人(1人)、救助・入院2人(2人)だ
った。
2024 年のスクーバダイビング、レジャーダイビングでの事故件数が、50 件と前年より
も多くなったことが判明。とくに講習と体験ダイビングでの事故が多くなっている。講習
中の事故もあるが、スクーバダイビング前の体慣らしや泳力検定時に死亡事故が報告され
た。講習や体験ダイビングを受講する前にはメディカルチェックの問診票への記入と年齢
によっては診断書の提出が義務付けられている。
体験ダイビングでの死亡事故では、潜水を開始してから短時間に体調不良を訴えた、イ
ンストラクターが対処している最中に心肺停止状態に陥り救命処置を実施したが意識不明
呼吸停止状態で医療機関に搬送されるが、救命に至らなかった事例も報告された。
和歌山県で 8 月 4 日に子供と父親の親子二人で体験ダイビングに参加。水中でロストし
てしまい発見したが、父親は心肺停止状態だったが、救命にいたらなかった。15 歳の息子
は意識朦朧状態で救助され救命した。結果は、51 歳の父親が死亡、15 歳の息子さんは助
かった事例があった。
沖縄では、ファンダイビングツアーで 30m を超える反復潜水の結果、体調不良を訴えた
が、すぐにレスキュー曳航せずに安全停止、船まで自力で泳がせた結果、船上にて意識不
明呼吸停止状態に陥った。救命処置が実施されたが医療機関に搬送された時点で低酸素脳
症状態だった。医療機関にて蘇生対応したが死亡した。高齢者、二日間を大深度潜水の反
復、事故者の持病と服薬、酔い止め服用等の影響が体調不良の原因だったことが推察され
た。引率ガイドが体調不良を訴えた段階で自力ではなく曳航していれば事故者の容態も安
定していたかも可能性も排除できなかった事案があった。
大深度潜水で 40m 付近の水底にて写真撮影、撮影に熱中し過ぎて過小換気。カメラのシ
ャッターを押す際に呼吸を止めることが重なったことで大深度にて呼吸困難となって急浮
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上し、医療機関に搬送され再圧治療を受けた事例が報告された。大深度潜水でのレギレー
ター呼吸の深く、ゆっくり呼吸する原則を怠ったことで過小換気となり、呼吸困難となり
急浮上した。この潜水ではセルフダイビングではなくガイド管理下だった。幸いにも再圧
治療で社会復帰できた。
スクーバ潜水での事故では、水中ロストや大深度での連続した反復潜水の判断ミス等が
指摘されている。また、ガイドダイバーがゲストダイバーの管理を怠っていたのではと懸
念される対応が事故に繋がっている。急浮上への対応が遅れてゲストダイバーが飛び出し
た後にガイドが後追いで浮上した事案。インストラクターやガイドの資質として管理能力
が低くグループコントロール能力、過度にダイブコンピュータへの過信、曖昧な潜水計画
と思われる事故が発生している。実際に起こり得る事案に対する対処法や未然に防ぐため
に知識や経験が乏しいのではないかと思われる。事故事例検証会を開催することも有効な
手段と考えて、自主的に安全対策のための各種トレーニングに参加を促しているが、なか
なか自分だけは大丈夫だという自己過信の体質は抜けない。
ダイバー自身の体調管理については、定期的に健康診断を受診して体調管理を行うこと
が推奨されている。ダイビングサービスは、ホームページにサービス提供を受け入れる側
として健康状態の把握を呼び掛けている。健康上不安がある場合は、医療機関からの診断
書類の提出を促している。高齢者へのダイビングサービス提供を実施しない旨を告知して
いる場合もありました。インストラクターやガイドは職業として潜水士扱いとなるので法
律的には定期的に健康診断を受ける必要がある。が、実際には受診していない例もあると
言わざるを得ない。
ダイバーの高齢化が指摘されている。インストラクターやガイド、一般ダイバーも高齢
化しているので、身体能力の低下を意識する必要がある。ダイバーの健康状態の把握、年
齢や体調等から講習やファンダイビングでの運動強度、残圧管理やナイトロックス潜水の
推奨、潜水計画、生活習慣病等について再度、検討すべき時に来ている。インストラクタ
ーの知識として人体生理学病態生理学や解剖、医学的な知識については再構築の必要性を
強く感じている。
現場に医療用酸素が配備され、救命救護活動の中で有効に活用した事例が報告されてい
る。循環器系、呼吸器系が原因での潜水障害が発生した場合は医療用酸素を現場で活用で
きることが望ましい。そのために医療用酸素の取扱いの講習も実施しているので是非とも
水辺活動の関係者は受講をより強力に推進したい。また、地域ぐるみで救助体制を構築し
て積極的に救命救護活動を実践している組織も活動を展開して、救命に効果を上げている。
筆者が所属している恩納村マリンレジャー協会では加盟店のインストラクターに蘇生法、
救助法、医療用酸素供給しての蘇生法等のトレーニングを義務化している。
潜水直後に体調不良を訴えて浮上するが意識不明、呼吸停止状態に陥る事例が多数報告
されるようになった。各潜水指導団体では浸漬性肺水腫への対策について安全セミナーで
告知している。
16
3.おわりに
2024(令和7)年は、潜水事故および事故関連での責任追及と損害賠償請求につい
ても報道されるようになりました。レジャーダイビングでのスクーバダイビングでのファ
ンダイビングおよび講習での潜水事故が急増した。漁労潜水では高齢者の死亡事故も多発
したことが判った。潜水事故後の救命救助対応では、呼吸障害が発生することで短時間に
心静止状態となり、酸素循環停止した結果での低酸素脳症を早期に現場で医療用酸素を用
いての救急蘇生対応が必須であることが明確となった。
これらの潜水事故に伴う諸問題の対応策として、一社)マリンレジャー振興協会のご尽
力でダイビングを含むマリンレジャーでの安全対策(救助救命処置)の映像化と公開、そ
れに医療用酸素関係の普及活動を積極的に開始する動きが始まった。筆者も微力ながら参
加します。
また、沖縄県内での漁労関係(モズク漁)での現状調査を併せて東京慈恵会医科大学お
よび久留米大学が実施する現地調査研究にも協力します。
資料作成・文責:2025(令和7)年4月22日(火)
国政潜水教育科学研究所 潜水救急ネットワーク沖縄
代表 村田 幸雄
(報道、地元、第十一管区海上保安本部情報提供) 2025.04.22.
1.2024 年潜水事故情報集計
はじめに
2024年(令和6)年のお正月早々から沖縄県内での潜水漁労従事者の潜水事故情報
が流れた。正月元旦の1月1日、1月9日、13日と連続して発生しました。フーカー潜
水で2件、素潜りで1件だった。波乱の幕開けでした。
レジャーダイビング関連では、2022年(令和4)年に新型コロナ感染症関連の規制
が解除された。しかし、約2年半の規制による影響の後遺症が色濃く残ったままだ。それ
は中堅のインストラクターが離職した。同様にリゾートホテルのマリンスタッフも退職者
が続いた。その後、新規のインストラクター予備軍およびマリンスタッフの人材不足が深
刻になった状態が改善することはなかった。
沖縄ではマリンスポーツの需要は新型コロナ以前に戻りました。しかし、担当するスタ
ッフ不足は深刻さを増した。午前、午後と掛け持ちでスノーケリングや体験ダイビングを
時間差で熟していた。若いインストラクター予備軍の新規参入が激減したことで現場のダ
イビングインストラクターの高齢化が一段と進んだ。
2022(令和4)年4月に発生した知床遊覧船転覆事故以降、ダイビング船も含めて
遊覧関係の船舶運航について各種の規制強化が本格化した。ダイビング船を自社で運航し
ているダイビングサービスでは通信関係の費用捻出と人材確保の課題となりました。
新しい動きとして一社)マリンレジャー振興協会のご尽力でダイビングを含むマリンレ
ジャーでの安全対策の映像化と公開、それに医療用酸素関係の普及活動が動き始めました。
2024年1月1日から12月末までの筆者が覚知した日本国内と日本人が関係した海外
での潜水事故情報を集計したものである。覚知できなかった事故もあり、全てではない。
2.2024(令和6)年潜水事故集計:
略号:スノーケリング(SN)スクーバ(SC)素潜り漁労(SK)スクーバ漁労(SG)フーカー(FK)潜水作業(DW)
公務潜水(PR)科学調査潜水(SR)(ドクヘリ(DH)海保ヘリ(CH)エントリー(EN)エキジット(EX)
01.01/01 沖縄県 男 65 1 死亡 FK モズク漁、水面でマスク外したまま心肺停止で発見
02.01/04 島根県 2022/08 潜水作業潜水士死亡、工事関係者 4 名書類送検
03.01/09 沖縄県 男 71 1 死亡 SF 素潜り漁、捜索した結果海中沈んだ状態発見
04.01/13 沖縄県 男 82 1 死亡 FK 潜水漁労、海保捜索中に水面に浮いた状態で発見
05.01/15 和歌山 2021/02 潜水作業潜水士死亡、遺族が工事関係者に賠償請求
06.02/04 沖縄県 女 30 1 スノーケリングツアー中に船のラダー指挟み負傷
07.02/06 静岡県 男 -- 1 死亡 SC 潜水機材を装着した状態で漂着した
08.02/13 沖縄県 女 39 1 死亡 SC ドリフト潜水 EN5 分後体調不良で CH 搬送
2
09.02/20 沖縄県 女 50 1 搬送 SN ツアー中に体調不良で港に戻り救急搬送
10.02/24 沖縄県 男 47 1 死亡 SK 単独で素潜り中、水深 3m に沈んでいた
11.02/26 新潟県 2023/10 柏崎市消防本部隊員死亡、第三者委員会開催
12.02/27 沖縄県 女 51 1 死亡 SC 体験ダイビング、体調不良後心肺停止、CPR 実施
12.03/13 熊本県 2023/07 SC 陸上自衛隊員勤務時間中に無届で SC し懲戒処分
13.03/15 沖縄県 男 56 1 搬送 SN 体調不良を訴えて搬送後、虚偽の健康申告発覚
14.03/17 沖縄県 女 30 1 搬送 SC EN 直後に発作発症、搬送中に虚偽の健康申告発覚
15.03/19 沖縄県 ダイビング船転覆事故 全員海保が救助
16.03/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会が 4 月公表の報告書基本案作成
17.03/24 沖縄県 女 73 1 死亡 SN 救命具着用、体調不良、心肺停止で医療機関搬送
18.03/26 新潟県 柏崎市消防本部事故、議会に第三者委員会が中間報告
19.03/28 沖縄県 2023/09 公安委員会が事故当事者へ 20 日間事業停止の行政処分公表
20.03/29 島根県 2022/08 工事関係者に業務上過失致死などの罪で略式起訴
21.04/16 沖縄県 男 53 1 死亡 SF 漁労開始 30 分体調不良、過呼吸後、心肺停止搬送
22.04/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会事故報告書提出
23.04/23 新潟県 柏崎市消防本部事故、報告書公表、当事者二名の懲戒処分発表
24.04/26 沖縄県 男 40 2 搬送 FK モズク漁中機材故障で送気途絶、緊急浮上後搬送
25.04/27 沖縄県 男 40 1 搬送 SN リーフカレント帰還不能後救助、CH 吊上げ救助
26.04/28 長崎県 男 68 1 行方不明 SC 三名で潜水、一名が行方不明、海保捜索
27.04/30 沖縄県 男 50 1 搬送 SC 水深 5m にて意識朦朧、医療機関にて減圧症治療
28.05/04 沖縄県 男 40 1 搬送 SC 水中で体調不良、診療所に搬送後、DH 搬送
29.05/07 沖縄県 女 70 1 死亡 SN 開始 5 分仰向け状態で発見、医療機関にて翌日死亡
30.05/17 三重県 女 77 1 死亡 SF 水面に浮いた状態で発見、船上にて CPR 実施
31.05/23 三重県 女 77 1 死亡 SF 漁労中脳出血を発症、水面に浮いた状態で発見
32.05/26 沖縄県 女 50 1 死亡 SC 体験潜水中に体調不良、心肺停止、医療機関搬送
33.05/29 バリ島 男 73 1 死亡 SC 機材故障ガイドの機材と交換後、意識不明
32.06/01 沖縄県 男 70 1 搬送 SC 意識不明状態で浮上、診療所で意識回復
33.06/09 静岡県 男 56 1 搬送 SC 体調不良で浮上、意識不明 CPR 酸素供給、DH 搬送
34.06/12 沖縄県 第十一管区海上保安本部よりマリンレジャー事故防止の注意喚起発信
35.06/14 茨城県 男 70 1 死亡 SF 一時行方不明、捜索中水面に浮いた状態で発見
36.06/19 沖縄県 男 41 1 送検 2023/08 船転覆、業務上過失往来危険で書類送検
37.06/20 沖縄県 男 44 1 死亡 SK 魚突き中に行方不明、捜索対応、06/23 発見
38.06/20 青森県 男 76 1 死亡 SF 水深 60 cmに仰向けで沈んだ状態で発見、搬送
39.06/21 千葉県 男 75 1 死亡 SF 06/17 に行方不明、捜索して水深 6m で発見
40.06/22 沖縄県 男 78 1 死亡 SK 釣り船船長、アンカー確認で入水して溺れた
41.06/24 沖縄県 男 50 1 救助 SN リーフ上で帰還不能、消防が救助 救命具未装着
42.06/27 北海道 男 30 1 死亡 DW 鉄板引上げ作業中ワイヤーに絡まった状態で救助
3
43.07/03 秋田県 男 58 1 死亡 SF 海藻採り中、溺れ浮いた状態で発見
44.07/06 沖縄県 男 77 1 死亡 SN 単独行動 波打ち際で浮いた状態で発見
45.07/06 沖縄県 公安委員会行政処分 03/28 20 日間業務停止案件、処分取り消し
46.07/08 沖縄県 男 30 1 搬送 SN 単独行動 意識不明 他のダイバーが救助 肺水腫
47.07/08 静岡県 男 70 1 死亡 SC バディ潜水 体調不良、心肺停止 持病があった
48.07/10 沖縄県 男 70 1 死亡 SC 1:3 潜水 20 分後、水中で挙動不審、浮上後意識不明
49.07/13 新潟県 男 66 1 死亡 SN 単独行動 浮いた状態で発見
50.07/13 島根県 女 52 1 搬送 SC 水深3m浮上サイン浮上後意識不明 CPR DH 搬送
51.07/14 愛媛県 男 51 1 死亡 DW 沈船の油抜取り作業 医療機関にて緊張性気胸
52.07/14 愛媛県 男 45 1 搬送 DW 耳を負傷した
53.07/14 沖縄県 女 50 1 搬送 SN 地元の方で家族と一緒に SN 中、溺れた
54.07/14 沖縄県 女 30 1 救助 SN 外国籍 救命具未着用 溺れ サーファーが救助
55.07/14 鹿児島 女 58 1 死亡 SC 家族で講習中 浮上直後に体調不良、意識消失搬送
56.07/15 沖縄県 男 33 1 死亡 SN 単独 10 分後に体調不良意識不明 救命具未着用
57.07/17 徳島県 男 8568 2 死亡 SF 85 歳浮いた状態、68 歳水深 2.5m に沈んだ状態
58.07/17 福岡県 男 26 1 死亡 福岡市消防学校 新人教育 立泳ぎ中 水没した状態発見
59.07/24 東京都 -- ---- 1 搬送 SC 初心者講習 水底で機材脱着訓練中溺れた 詳細不明
60.07/27 福島県 男 66 1 死亡 DW 土砂採取ための事前調査を二名で実施中に溺れた
61.07/25 和歌山 女 59 1 死亡 SC 講習 水深 25m 浮上サイン 安全停止中に意識喪失
62.07/31 神奈川 男 52 1 死亡 SN 二名で SN 中に体調不良で意識不明、搬送
63.08/02 沖縄県 男 65 1 死亡 SN SC 体験前の身体慣らしで SN、意識不明で発見
64.08/04 沖縄県 男 10 1 救命 SF ロープ岩に絡まり 溺れ船上背中叩打して意識回復
65.08/04 新潟県 男 54 1 死亡 SC 潜水 10-15 分後水深 20m でパニック意識消失
66.08/04 和歌山 男 51 1 死亡 SC 体験二名 ロスト 15 歳意識朦朧、51 歳父心肺停止
67.08/06 大分県 男 77 1 死亡 SK 三名で SK 一名水深 3m に沈んだ状態で発見
68.08/07 福井県 男 24 1 搬送 SN イルカに咬まれた右手約 20 針縫う重傷
69.08/08 島根県 男 27 1 SF 単独 行方不明捜索開始 08/11 専従捜索打ち切り
70.08/09 沖縄県 女 20 1 救命 SC 体験 パニック浮上 溺れ呼吸あり意識消失
71.08/10 沖縄県 女 29 1 死亡 SN 単独 うつ伏せ状態 救命具未着用 DH 搬送
72.08/10 島根県 男 62 1 不明 SF 漁労許可旗流失 回収時に溺れた 行方不明
73.08/11 沖縄県 男 20 1 救命 SN 単独 海水誤嚥 SUP で救助 嘔吐し診療所搬送
74.08/19 新潟県 男 79 1 死亡 SF 単独 うつ伏せ状態で発見
75.08/19 ハワイ 男 66 1 死亡 SN 08/14 溺水、意識不明 医療機関で治療
76.08/20 新潟県 男 76 1 死亡 SN 単独 水深 5m で発見、消防隊が救助
77.08/21 沖縄県 女 40 1 不明 SC 中国人三名セルフ一名不明 08/24 専従捜索打切り
78.08/21 島根県 08/10 行方不明者ご遺体発見 身元確認作業開始
79.08/26 島根県 08/08 行方不明男性ご遺体発見 27 歳男性と身元確認された
4
90.08/24 沖縄県 08/21 行方不明の中国人ダイバー 海保専従捜索を打切り公表
91.08/24 福井県 男 59 1 SC イルカにフィンを咬まれた
92.08/25 沖縄県 男 62 1 死亡 SC 講習前の水泳検定中に体調不良、搬送先で死亡確認
93.08/25 沖縄県 男 74 1 死亡 SN 開始後 5 分で溺れた 救命具未着用
94.08/26 島根県 08/10 行方不明の 62 歳男性と身元確認判明
95.08/29 沖縄県 男 40 1 救命 SN 単独溺れ浜で CPR 意識回復搬送 救命具未着用
96.08/29 沖縄県 女 20 1 救助 SC インストラクターがフィン破損し、帰還困難
97.08/30 沖縄県 男 80 1 救命 SN うつ伏せで浮いていた 家族が CPR 意識呼吸回復
98.08/30 山形県 男 78 1 死亡 SF 水深 5m で発見、救助 心肺停止、搬送先で死亡確認
99.08/31 沖縄県 男 65 1 死亡 SN 体調異変 救助要請 他スタッフが救助 救命具着用
00.09/06 静岡県 男 05 1 搬送 SN 5 歳児マスクに水が入って溺れ 呼吸不全 DH 搬送
01.09/10 沖縄県 男 79 1 死亡 SC 準備運動で入水 3 分後、心肺停止状態となった
02.09/17 長崎県 男 70 1 漂流 SK 強い潮流に流されたが、自力で陸地に上陸した
03.09/18 静岡県 男 60 1 搬送 SC 講習中、浮上後意識不明 蘇生法実施、DH 搬送
04.09/19 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流 30 歳女 10 歳男 ビーチスタッフが救助
05.09/23 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流一名救命具着用 一名救命具未着用 消防が救助
06.09/25 沖縄県 女 30 1 搬送 SC10 分後浮上 意識朦朧 人工呼吸実施 DH 搬送
07. 09/26 沖縄県 女 50 1 搬送 SN うつ伏せ状態 心肺停止 CPR 回復 医療機関に搬送
08. 09/26 沖縄県 2023/08 船転覆事案 運輸安全委員会報告書公開
09. 09/28 東京都 男 49 1 死亡 SC 引率者が行方不明 捜索して水底で発見、病死
10. 10/04 沖縄県 2023/08 船転覆事案 運輸安全委員会報告書(図解、問題点指摘)公開
11.10/06 沖縄県 女 60 1 死亡 体調不良で浮上後、船上で意識不明、CPR 実施 DH 搬送
12.10/07 沖縄県 男 38 1 死亡 SK 韓国籍 海底に沈んだ状態で発見、心肺停止で搬送
13.10/10 沖縄県 女 38 1 死亡 SN 韓国籍 沖合で救助信号を発し溺れた 救命具未着用
14.10/10 鹿児島 男 74 1 死亡 SF 10/09 に無人船確認、海保捜索、仰向け状態で発見
15.10/12 沖縄県 女 30 1 搬送 2 本目に体調異変を伝え意識不明 船上で CPR DH 搬送
16.10/12 沖縄県 男 28 1 搬送 大深度水底で呼吸不全となり急浮上 DH 搬送 再圧治療
17.10/12 沖縄県 女 20 1 救助 SN はぐれて帰還不能 救命具着用 救助された
18.10/13 沖縄県 女 76 1 死亡 SN クルーズ客 マスク付きスノーケル 救命具未着用
19.10/15 沖縄県 男 20 1 救助 SN 深みでパニック海水を誤嚥 ビーチスタッフが救助
20.10/19 沖縄県 男 65 1 死亡 SC 潜降直後に潜水機材故障で誤嚥 心肺停止 搬送
21.10/20 沖縄県 男 40 1 不明 SN はぐれて行方不明 救命具未着用
22.10/20 沖縄県 女 20 1 救助 SC 講習潜降直後に誤嚥、意識朦朧状態で救助搬送
23.10/23 沖縄県 女 28 1 死亡 SN 韓国籍 手をバタつかせ溺れ心肺停止 救命具未着用
24.10/23 沖縄県 女 40 1 負傷 SN 水上バイクが接触 頭部打撲で搬送
25.11/04 沖縄県 男 51 1 死亡 SC 海面に急浮上し意識朦朧 CPR 実施 診療所に搬送
26.11/30 静岡県 男 70 1 死亡 SC 水中で意識朦朧から意識不明 心肺停止状態で救助
5
27.12/26 沖縄県 ダイビング船が座礁 乗員乗客 24 人全員救された 気象急変
28.12/27 モルディブ 男 70 1 死亡 SN 現職の参院議員だった
29.12/28 タイ 男 54 1 死亡 SC 現地のダイビングツアー参加中に死亡 原因不詳
2.潜水分野別事故事例集計と解説
(1)潜水事故以外(裁判、書類送検、業務停止等)
01.01/04 島根県 2022/08 潜水作業潜水士死亡、工事関係者 4 名書類送検
02.01/15 和歌山 2021/02 潜水作業潜水士死亡、遺族が工事関係者に賠償請求
03.03/13 熊本県 2023/07 SC 陸上自衛隊員勤務時間中に無届で SC し懲戒処分
04.03/28 沖縄県 2023/09 公安委員会が事故当事者へ 20 日間事業停止の行政処分公表
05.03/29 島根県 2022/08 工事関係者に業務上過失致死などの罪で略式起訴
06.06/12 沖縄県 第十一管区海上保安本部よりマリンレジャー事故防止の注意喚起発信
07.06/19 沖縄県 男 41 1 送検 2023/08 船転覆、業務上過失往来危険で書類送検
08.07/06 沖縄県 公安委員会行政処分 03/28 20 日間業務停止案件、処分取り消し
10.08/24 沖縄県 08/21 行方不明の中国人ダイバー 海保専従捜索を打切り公表
11.09/26 沖縄県 2023/08 船転覆事案 運輸安全委員会報告書公開
潜水作業の部分でも書き添えたが、潜水作業での事故後の労働災害の補償については、
不十分なのか、ご遺族が工事関係者に対して民事での賠償請求裁判を起こしている。また、
工事関係者への刑事責任を追及する刑事事件としての追及が報じられた。
沖縄関係では、2023 年 9 月に発生した西表島の仲の神島で発生した事故について、事
業者に対して沖縄県水上安全条例違反として 20 日間の業務停止処分を勧告したが、後に
業務停止案件の処分取り消しを公表した。
2023 年 8 月に発生した船舶転覆事案について業務上過失往来危険で書類送検された。国
の運輸安全委員会から事故の詳細な報告書が公開された。沖縄県内での潜水事故が多発し
たことで第十一管区海上保安本部よりダイビング事業者向けに注意喚起が発信された。
(2)潜水漁労
01.01/01 沖縄県 男 65 1 死亡 FK モズク漁、水面でマスク外したまま心肺停止で発見
02.01/09 沖縄県 男 71 1 死亡 SF 素潜り漁、捜索した結果海中沈んだ状態発見
03.01/13 沖縄県 男 82 1 死亡 FK 潜水漁労、海保捜索中に水面に浮いた状態で発見
04.04/16 沖縄県 男 53 1 死亡 SF 漁労開始 30 分体調不良、過呼吸後、心肺停止搬送
05.04/26 沖縄県 男 40 2 搬送 FK モズク漁中機材故障で送気途絶、緊急浮上後搬送
06.05/17 三重県 女 77 1 死亡 SF 水面に浮いた状態で発見、船上にて CPR 実施
07.05/23 三重県 女 77 1 死亡 SF 漁労中脳出血を発症、水面に浮いた状態で発見
08.06/14 茨城県 男 70 1 死亡 SF 一時行方不明、捜索中水面に浮いた状態で発見
09.06/20 青森県 男 76 1 死亡 SF 水深 60 cmに仰向けで沈んだ状態で発見、搬送
6
10.06/21 千葉県 男 75 1 死亡 SF 06/17 に行方不明、捜索して水深 6m で発見
11.07/03 秋田県 男 58 1 死亡 SF 海藻採り中、溺れ浮いた状態で発見
12.07/17 徳島県 男 68 2 死亡 SF 85 歳浮いた状態、68 歳水深 2.5m に沈んだ状態
13.08/04 沖縄県 男 10 1 救命 SF ロープ岩に絡まり 溺れ船上背中叩打して意識回復
14.08/08 島根県 男 27 1 SF 単独 行方不明捜索開始 08/11 専従捜索打ち切り
15.08/10 島根県 男 62 1 不明 SF 漁労許可旗流失 回収時に溺れた 行方不明
16.08/19 新潟県 男 79 1 死亡 SF 単独 うつ伏せ状態で発見
17.08/21 島根県 08/10 行方不明者ご遺体発見 身元確認作業開始
18.08/26 島根県 08/08 行方不明男性ご遺体発見 27 歳男性と身元確認された
19.08/26 島根県 08/10 行方不明の 62 歳男性と身元確認判明
20.08/30 山形県 男 78 1 死亡 SF 水深 5m で発見、救助 心肺停止、搬送先で死亡確認
21.10/10 鹿児島 男 74 1 死亡 SF 10/09 に無人船確認、海保捜索、仰向け状態で発見
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
漁労 件数 死亡 救助・入院 行方不明
素潜り漁 15件(13件) 15人(12人) 1人 (1人) 0人(0人)
器械潜水 3件 (1件) 2人 (1人) 2人 (0人) 0人(0人)
18件(14件) 17人(13人) 3人 (1人) 0人(0人)
漁労関係での事故は、素潜り漁と高圧空気を使う器械潜水ではスクーバとフーカー潜水と
二種類の分類となる。漁労関係の事故は、18 件(13 件)が確認された。素潜り漁は 15 件
(13 件)で死亡が 15 人(12 人)、負傷が 1 人(1 人)。器械潜水では 3 件(1 件)、死亡が
2 人(1 人)、送気途絶で緊急浮上して医療機関に搬送された 2 人(0 人)が確認された。
漁労関係の事故を地域別では、沖縄県が素潜り漁で 3 件、器械潜水漁労で 3 件の合計 6
件が確認された。三重県では素潜り漁労で 2 件、島根県で 2 件だった。その他は青森県、
秋田県、山形県、茨城県、千葉県、新潟県、徳島県、鹿児島県、其々1 件が確認された。
器械潜水漁労は、沖縄県で 3 件が報告された。うち 2 件はモズク漁で発生した。モズク
漁では、送気途絶で 2 人が急浮上した。これは船上に設置されたコンプレッサーが故障し
たか、燃料切れで送気途絶したことが海上保安庁の資料で確認された。素潜り漁労では、
60 代後半、70 代、80 代の高齢者 18 件中の 11 件と 60%と高い死亡率となっている。死因
については持病があったことが判った。定期的な健康診断の受診ついては、漁業組合は推
奨しているが、あくまでも任意となっている。長年に亘って素潜り漁労に従事しているた
めに、ついついいつものように素潜り漁に行き事故となってしまう傾向があるようだ。
事故内容を確認すると漁労については単独活動することが多いので、水面や水中でトラ
ブルが発生しても救助されることは皆無だったことが判断できる。トラブルが発生した際
に共同で活動している場合は、異変に気付き、救助対応することで生命を失うことなく医
療機関への搬送となった。
7
2025 年 1 月と 2 月にモズク漁労従事者対象の現状検証に参加した。その前後にモズク
漁労従事者や漁業協同組合の関係者にヒヤリングを実施した。沖縄県内でのモズク栽培が
始まった頃から現在までの話を聞くことができた。
恩納村でのモズク漁労者は、本土復帰以降に恩納村ではモズク栽培が始まった頃、初め
のうちは素潜りでモズク漁労を実施していたことが判った。現在のような器械潜水に移行
したのは、本土復帰から間もない頃、沖縄各地の海や山が削られ港湾作業でコンプレッサ
ーを使用したフーカー式潜水器で潜水工事が実施されていた。そんな経緯がありモズク漁
師は、コンプレッサーと潜水機器を使ってのモズク漁労が普及したことが判った。
潜水機器を用いての漁労では、漁業者全員がフルフェイスマスクを使用している訳では
なく、スクーバ形式やフルフェイスマスク形式と様々となっていることが判った。潜水機
器を使って潜る技術については、見様見真似で正式な潜水教育を受けてなく家族内での父
から息子への伝承、見て覚えるスタイルだった。
関係者のヒヤリングを通じて分かったことを箇条書きで列挙すると1正式な潜水教育を
受けてなく家族内での父から息子への伝承、見て覚えろ。潜水士免許の有無は不明。2水
深計、ダイブコンピュータ等の計器類なしでの潜水を実施。3組合では健康診断を推奨し
ているが実際の受診は個人任せ。4潜水障害が起きた際の相談相手がいない。5小さな潜
水トラブルが起きているが本人が自覚していない。6浅い水深での潜水なので減圧は問題
ないと考えている。7浮上時のスピードの問題。8水面休息時間の確保が短い。9地域に
よっては、単独操業している場合もある(船長、潜水士兼務)船上待機者なしもある。10
昼間にモズク漁労、夜間にフーカーでの魚突きを実施。本人は相当な疲労感を感じている。
以上のヒヤリング内容から明らかになった。
本土復帰 53 年目を迎える一方で沖縄の水産業を取巻く課題として、「漁業従事者の高齢
化と後継者不足が浮かび上がった。これは沖縄だけでなく全国的な傾向でもあるのでした。
(3)潜水作業
01.01/04 島根県 2022/08 潜水作業潜水士死亡、工事関係者 4 名書類送検
02.01/15 和歌山 2021/02 潜水作業潜水士死亡、遺族が工事関係者に賠償請求
03.03/29 島根県 2022/08 工事関係者に業務上過失致死などの罪で略式起訴
04.06/27 北海道 男 30 1 死亡 DW 鉄板引上げ作業中ワイヤーに絡まった状態で救助
05.07/14 愛媛県 男 51 1 死亡 DW 沈船の油抜取り作業 医療機関にて緊張性気胸
06.07/14 愛媛県 男 45 1 搬送 DW 耳を負傷した
07.07/27 福島県 男 66 1 死亡 DW 土砂採取ための事前調査を二名で実施中に溺れた
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助・入院 行方不明
潜水作業 4件 (3件) 3人 (2人) 1人 (1人) 0人(0人)
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潜水作業での事故後の労働災害の補償については、不十分なのか、ご遺族が工事関係者に
対して民事での賠償請求裁判を起こしている。また、工事関係者への刑事責任を追及する
刑事事件としての追及が報じられた。
潜水作業での事故も4件発生した。三人の作業者が死亡し、1 人が負傷して医療機関に
搬送される事故が発生した。7/14 の愛媛県で発生した事故は、同じ潜水作業の中で 2 件
発生し、水中で緊張性気胸を発症して死亡した。もう 1 人は耳を負傷した。
高圧則では高気圧障害に関連する項目について健診を受けること。定期的に特殊健康診
断を受診することが覚められているが、潜水士健康診断を受診していたのだろうか。
潜水作業は、水中視界が限られた中での作業となることが多いので、事前に工事関係者
同士での段取りとして、実際の作業手順等を含めた綿密な打ち合わせが必要となる。水中
作業は、単独作業となることが多いので実際の作業ダイバーと地上での作業担当者との音
声と画像のコンタクトが重要と考えるが、多くの潜水作業現場では水中作業が終了して浮
上するまでコンタクトは乏しい状態となっていると思料される。
改めて潜水作業での潜水士と安全管理者の工事計画の打合せと緊急時の対応について
再確認すべきだ。
(4)公務潜水
01.02/26 新潟県 2023/10 柏崎市消防本部隊員死亡、第三者委員会開催
02.03/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会が 4 月公表の報告書基本案作成
03.03/26 新潟県 柏崎市消防本部事故、議会に第三者委員会が中間報告
04.04/22 新潟県 柏崎市消防本部事故、第三者委員会事故報告書提出
05.04/23 新潟県 柏崎市消防本部事故、報告書公表、当事者二名の懲戒処分発表
06.07/17 福岡県 男 26 1 死亡 福岡市消防学校 新人教育 立泳ぎ中 水没した状態発見
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助・入院 行方不明
公務潜水 1件 (3件) 1人 (2人) 0人 (2人) 0人(0人)
年明けから 2023(令和 5)年 10 月に発生した柏崎市消防本部での水難救助隊員死亡事故
の調査報告の作成過程が逐次報道され 2024(令和 6)年4月には事故報告書が全面的に公
開された。報告書には「海難救助訓練の一環で実施、二年のカリキュラムで、海洋での訓
練は 2023 年 7 月と 9 月の二回実施。今回の三回目の訓練中に発生した。26 歳の消防士が
水没状態で発見され、医療機関に搬送された翌日に死亡が確認された。当直明けでの訓練、
体調不良を訴えたが指導者に伝わっていなかった。」ことが判明。消防本部の責任者ら 2
人が懲戒処分された。
この事故が発生したことで「水難救助訓練等に係る安全管理の徹底について」(令和 5 年
10 月 17 日消防参第 277 号、消防第 365 号)及び「水難救助訓練等の安全管理に係る点検
9
等の実態調査及び安全管理の再徹底について」(令和 6 年 5 月 27 日消防参第 110 号、消防
第 146 号)の通達が出された。
しかし、2024(令和 6)年 7 月 9 日に福岡市消防学校にて水難事故が発生した。事故は
7 月 9 日の初任科の水難救助訓練中に発生した。訓練中の学生(26 歳)立泳ぎの訓練中、
水没した状態で発見。医療機関に搬送されたが 17 日に死亡した。学生が死亡したことで
事故が公になった。4 月に入校した初任科の学生 52 名、指導者 18 名で立ち泳ぎを 52 名
が水着まま一斉に実施した。
訓練計画の中に「立泳ぎ」への安全対策ガイドラインや責任者を含め現場の指導者の安
全対策へのトレーニングや指導経験等の不備が明らかになりました。過去に訓練を受けた
消防士からは「溺れそうな時は助けてくれないが、溺れたら助ける的な感じ」だったの証
言が報じられた。また、立泳ぎを断念してプールサイドに掴まることは許されなく、立泳
ぎを続けるように強要された。等々の問題点が指摘されているが、改善されることなかっ
た。
2020(令和 2)年 7 月 10 日に発生した山口県消防学校での初任科教育学生 55 名全員が
一斉にプールに入り立泳ぎを実施。当初は学生 55 名に対して監視人 6 人だったが、途中
に学生 2 名に監視人 2 名が対処した。結果的に学生 53 名に監視人 4 名と監視困難な状態
に陥り事故が発生した。責任者二名が業務上過失致死の疑いで書類送検。今回の福岡市消
防学校での立泳ぎでの事故は、何らこれらの事故後に指摘された安全管理と教訓が生かさ
れていないのでした。
この事故に対しての事故調査委員会が 2025(令和 7)年 1 月 29 日に初めて事故調査の
外部委員会が初めて開催された。再発防止策の策定に向けて検討が始まった。これまでの
消防関係では初任者課程での事故が続いている。今回の福岡市消防学校の事故調査結果の
公表が待たれる。
(5)科学調査潜水
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助・入院 行方不明
科学調査 0件 (0件) 0人 (0人) 0人 (0人) 0人(0人)
2024(令和6)年は科学調査潜水では事故報告は確認することができなかった。こ
の資料とまとめている最中に2025(令和7)年4月2日(水)に山形県鶴岡市の山形
県水産研究所の職員(31歳)が死亡する潜水事故情報を確認した。山形県人事委員会が
労働安全衛生法違反の疑いで調査を開始した。
(6)スノーケリング
01.02/04 沖縄県 女 30 1 スノーケリングツアー中に船のラダー指挟み負傷
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02.02/20 沖縄県 女 50 1 搬送 SN ツアー中に体調不良で港に戻り救急搬送
03.02/24 沖縄県 男 47 1 死亡 SK 単独で素潜り中、水深 3m に沈んでいた
04.03/15 沖縄県 男 56 1 搬送 SN 体調不良を訴えて搬送後、虚偽の健康申告発覚
05.03/24 沖縄県 女 73 1 死亡 SN 救命具着用、体調不良、心肺停止で医療機関搬送
06.04/27 沖縄県 男 40 1 搬送 SN リーフカレント帰還不能後救助、CH 吊上げ救助
07.05/07 沖縄県 女 70 1 死亡 SN 開始 5 分仰向け状態で発見、医療機関にて翌日死亡
08.06/20 沖縄県 男 44 1 死亡 SK 魚突き中に行方不明、捜索対応、06/23 発見
09.06/22 沖縄県 男 78 1 死亡 SK 釣り船船長、アンカー確認で入水して溺れた
10.06/24 沖縄県 男 50 1 救助 SN リーフ上で帰還不能、消防が救助 救命具未装着
11.07/06 沖縄県 男 77 1 死亡 SN 単独行動 波打ち際で浮いた状態で発見
12.07/08 沖縄県 男 30 1 搬送 SN 単独行動 意識不明 他のダイバーが救助 肺水腫
13.07/13 新潟県 男 66 1 死亡 SN 単独行動 浮いた状態で発見
14.07/14 沖縄県 女 50 1 搬送 SN 地元の方で家族と一緒に SN 中、溺れた
15.07/14 沖縄県 女 30 1 救助 SN 外国籍 救命具未着用 溺れ サーファーが救助
16.07/15 沖縄県 男 33 1 死亡 SN 単独 10 分後に体調不良意識不明 救命具未着用
17.07/31 神奈川 男 52 1 死亡 SN 二名で SN 中に体調不良で意識不明、搬送
18.08/06 大分県 男 77 1 死亡 SK 三名で SK 一名水深 3m に沈んだ状態で発見
19.08/07 福井県 男 24 1 搬送 SN イルカに咬まれた右手約 20 針縫う重傷
20.08/10 沖縄県 女 29 1 死亡 SN 単独 うつ伏せ状態 救命具未着用 DH 搬送
21.08/11 沖縄県 男 20 1 救命 SN 単独 海水誤嚥 SUP で救助 嘔吐し診療所搬送
22.08/19 ハワイ 男 66 1 死亡 SN 08/14 溺水、意識不明 医療機関で治療
23.08/20 新潟県 男 76 1 死亡 SN 単独 水深 5m で発見、消防隊が救助
24.08/25 沖縄県 男 74 1 死亡 SN 開始後 5 分で溺れた 救命具未着用
25.08/29 沖縄県 男 40 1 救命 SN 単独溺れ浜で CPR 意識回復搬送 救命具未着用
26.08/30 沖縄県 男 80 1 救命 SN うつ伏せで浮いていた 家族が CPR 意識呼吸回復
27.08/31 沖縄県 男 65 1 死亡 SN 体調異変 救助要請 他スタッフが救助 救命具着用
28.09/06 静岡県 男 05 1 搬送 SN 5 歳児マスクに水が入って溺れ 呼吸不全 DH 搬送
29.09/17 長崎県 男 70 1 漂流 SK 強い潮流に流されたが、自力で陸地に上陸した
30.09/19 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流 30 歳女 10 歳男 ビーチスタッフが救助
31.09/23 沖縄県 SN 二名離岸流で漂流一名救命具着用 一名救命具未着用 消防が救助
32. 09/26 沖縄県 女 50 1 搬送 SN うつ伏せ状態 心肺停止 CPR 回復 医療機関に搬送
33.10/07 沖縄県 男 38 1 死亡 SK 韓国籍 海底に沈んだ状態で発見、心肺停止で搬送
34.10/10 沖縄県 女 38 1 死亡 SN 韓国籍 沖合で救助信号を発し溺れた 救命具未着用
35.10/12 沖縄県 女 20 1 救助 SN はぐれて帰還不能 救命具着用 救助された
36.10/13 沖縄県 女 76 1 死亡 SN クルーズ客 マスク付きスノーケル 救命具未着用
37.10/15 沖縄県 男 20 1 救助 SN 深みでパニック海水を誤嚥 ビーチスタッフが救助
38.10/20 沖縄県 男 40 1 不明 SN はぐれて行方不明 救命具未着用
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39.10/23 沖縄県 女 28 1 死亡 SN 韓国籍 手をバタつかせ溺れ心肺停止 救命具未着用
40.10/23 沖縄県 女 40 1 負傷 SN 水上バイクが接触 頭部打撲で搬送
41.12/27 モルディブ 男 70 1 死亡 SN 現職の参院議員だった
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
件数 死亡 救助 行方不明
スノーケリング 41件(45件) 20人(30人) 22人(17人) 1人(0人)
これまでスノーケリング及びスキンダイビング(素潜り)と区別していましたが、2023
年よりスノーケリングに統一した。
2023 年は 45 件だったが、2024 年は 41 件と少しだが減少したことが判った。
沖縄で多発しているスノーケリング事故では、飲酒絡みで事故に繋がっているのではと
の推測している。2023 年に一例だけ飲酒後のスノーケリングを実施したことが報道された
が、その他では詳細不明のままだ。外国籍の方がスノーケリングで 5 件確認され、うち死
亡事故が 4 件、1 件が救助された。
浮力帯(ライフジャケットやスーツ)を装着せずに実施して発生した事故は、もしも浮
力帯を装着していたら、助かっていたのかもしれない。改めて、浮力帯なしと単独、飲酒
でのスノーケリングは極めて危険であることを再認識したい。広報活動だけでは限界があ
るのも否めない。「たかがスノーケリング、されどスノーケリング」だが、実際には専門家
からスノーケリングの指導を受けることを併せて広報すべきと提案したい。
スノーケリングは手軽にできるために、ついつい単独行動になりがちだが、単独行動で
はなくバディ(二人組)で行動して頂きたい。手軽にできると錯覚してマスクやスノーケ
ルを購入して見様見真似で実行して事故に遭遇したと推測される。実際には事前に専門家
よりスノーケルやマスク、フィンの取扱いの実技講習を受ける重要性を、これまで以上に
積極的に告知すべきだ。
沖縄ではサンゴ礁のリーフで形成された海岸線が特徴である。リーフの内側は静かであ
ってもリーフ際だけでなくリーフ内では潮汐の影響で強烈な離岸流の一種の「リーフカレ
ント」に巻き込まれる可能性がある。「リーフカレント」で沖合に流されても浮力帯を装着
していれば流されながら横に移動すれば岸に戻る流れに乗り、リーフ内に戻ることができ
る。水辺でのリーフカレントの危険性を告知する看板が設置されるようになった。流され
た場合の対処法も告知することが重要だ。
ガイド管理のケースで、体調不良の事案が発生。スノーケリングではスクーバに比べる
とガイド 1 名で大人数を引率している。そのためにスノーケラーの体調異変に気付くこと
が遅れた事案も確認された。スノーケリングを引率するガイド教育にも格差があり、ダイ
ビング経験者であればガイドとして簡易的に講習してガイド資格を付与した結果、重大事
案が発生した場合の緊急対応能力の低下も指摘されている。
ガイド管理でのスノーケリングツアー参加者がメディカルチェックについては、体調お
12
よび既往歴に問いに対して「健康です。持病および既往歴なし」と虚偽の報告を何件か確
認された。実際、救急搬送されて幸いにも救命され、事故当事者からスノーケリング事業
者に虚偽の申告をしていた旨の謝罪を確認した。近年、スクーバダイビングでの死亡事故
例で浸漬性肺水腫が原因とされたが、スノーケリングでも同様に発症し、死亡する事例が
救急医から報告された。
人間は片手の平に水をすくった位の水の量で鼻と口を覆われれば窒息する可能性がある。
また少量の海水を誤嚥すると喉にある喉頭蓋が閉じて肺に繋がる気道を一瞬にして塞ぐ喉
頭蓋痙攣が知られている。気道が塞がれた途端に呼吸は、できなくなる。喉頭蓋痙攣が収
まるまで気道は塞がったままだ。この状態では、呼吸ができないので心臓や脳への影響が
出る。いわゆる呼吸原性での心静止を来すことになる。誤嚥、喉頭蓋痙攣、窒息、心静止
と分単位の極めて短い時間で推移すると指摘された。心静止が起きるので脳への酸素供給
も途絶し、脳は低酸素脳症を呈して極めて蘇生率が一挙に低下することが判っている。
水中では、水平姿勢で水面に浮かぶので、胸郭に水圧が影響を与える。胸郭が水圧で圧
迫されて呼吸がし辛くなる。普段以上に強く排気して換気しなければならない。強く排気
して換気を忘れると体内の二酸化炭素の蓄積量が多くなる。一種の二酸化炭素過多状態と
なるので人体としては、危険な様態となる。場合によっては意識不明になる可能性もある。
喉頭蓋痙攣、低酸素脳症、二酸化炭素過多等の諸条件が揃ってしまうので「助けて!」と
叫ぶこともできずに静かに浮いたの「ノーパニック症候群」で発見が遅れるのでした。
溺れ対策として浮力帯としてライフジャケット装着が推奨されている。浮力帯を装着し
ていれば沈むことはないとの安心感があるが、体格にあった浮力帯を装着していただきた
い。また、股がけのある製品を選んで欲しい。
マスク、スノーケル、フィン等の器材は、量販店で安く購入できるが、器材を取扱うた
めの実技講習は宣伝されていないのが現状だ。実際にスノーケルを咥えて呼吸したら、ス
ノーケル内に残った海水を排水できず、誤嚥して喉頭蓋痙攣が起きて気道が塞がり呼吸が
出来なくなってしまうことが起きる。
スノーケラーには、水面で誤嚥して呼吸が難しくなった場合を想定して、咄嗟に伏し浮
きから背面浮きに体勢を反転させて顔面が水面上に出るようにする練習をすることを推奨
する。この反転方法ができれば顔面が水面上に出て、助かる可能性が高まるからである。
浮力帯を装着していれば水面に浮き、背面姿勢になれば顔は水面上に出て窒息しないと考
える。
近年、中高年者の死亡例が多くなる傾向にある。死因については公開されていないので
推測の域を出ないのが、事故の広報では溺水が原因で死亡したとの記事が大半を占めてい
るが、改めて注意喚起したい。
13
(7)スクーバダイビング
01.02/06 静岡県 男 -- 1 死亡 SC 潜水機材を装着した状態で漂着した
02.02/13 沖縄県 女 39 1 死亡 SC ドリフト潜水 EN5 分後体調不良で CH 搬送
03.02/27 沖縄県 女 51 1 死亡 SC 体験ダイビング、体調不良後心肺停止、CPR 実施
04.03/17 沖縄県 女 30 1 搬送 SC EN 直後に発作発症、搬送中に虚偽の健康申告発覚
05.03/19 沖縄県 ダイビング船転覆事故 全員海保が救助
06.04/28 長崎県 男 68 1 行方不明 SC 三名で潜水、一名が行方不明、海保捜索
07.04/30 沖縄県 男 50 1 搬送 SC 水深 5m にて意識朦朧、医療機関にて減圧症治療
08.05/04 沖縄県 男 40 1 搬送 SC 水中で体調不良、診療所に搬送後、DH 搬送
09.05/26 沖縄県 女 50 1 死亡 SC 体験潜水中に体調不良、心肺停止、医療機関搬送
10.05/29 バリ島 男 73 1 死亡 SC 機材故障ガイドの機材と交換後、意識不明
11.06/01 沖縄県 男 70 1 搬送 SC 意識不明状態で浮上、診療所で意識回復
12.06/09 静岡県 男 56 1 搬送 SC 体調不良で浮上、意識不明 CPR 酸素供給、DH 搬送
13.07/08 静岡県 男 70 1 死亡 SC バディ潜水 体調不良、心肺停止 持病があった
14.07/10 沖縄県 男 70 1 死亡 SC 1:3 潜水 20 分後、水中で挙動不審、浮上後意識不明
15.07/13 島根県 女 52 1 搬送 SC 水深3m浮上サイン浮上後意識不明 CPR DH 搬送
16.07/14 鹿児島 女 58 1 死亡 SC 家族で講習中 浮上直後に体調不良、意識消失搬送
17.07/24 東京都 -- ---- 1 搬送 SC 初心者講習 水底で機材脱着訓練中溺れた 詳細不明
18.07/25 和歌山 女 59 1 死亡 SC 講習 水深 25m 浮上サイン 安全停止中に意識喪失
19.08/02 沖縄県 男 65 1 死亡 SN SC 体験前の身体慣らしで SN、意識不明で発見
20.08/04 新潟県 男 54 1 死亡 SC 潜水 10-15 分後水深 20m でパニック意識消失
21.08/04 和歌山 男 51 1 死亡 SC 体験二名 ロスト 15 歳意識朦朧、51 歳父心肺停止
22.08/09 沖縄県 女 20 1 救命 SC 体験 パニック浮上 溺れ呼吸あり意識消失
23.08/21 沖縄県 女 40 1 不明 SC 中国人三名セルフ一名不明 08/24 専従捜索打切り
24.08/24 福井県 男 59 1 負傷 SC イルカにフィンを咬まれた
25.08/25 沖縄県 男 62 1 死亡 SC 講習前の水泳検定中に体調不良、搬送先で死亡確認
26.08/29 沖縄県 女 20 1 救助 SC インストラクターがフィン破損し、帰還困難
27.09/10 沖縄県 男 79 1 死亡 SC 準備運動で入水 3 分後、心肺停止状態となった
28.09/18 静岡県 男 60 1 搬送 SC 講習中、浮上後意識不明 蘇生法実施、DH 搬送
29.09/25 沖縄県 女 30 1 搬送 SC10 分後浮上 意識朦朧 人工呼吸実施 DH 搬送
30.09/28 東京都 男 49 1 死亡 SC 引率者が行方不明 捜索して水底で発見、病死
31.10/06 沖縄県 女 60 1 死亡 体調不良で浮上後、船上で意識不明、CPR 実施 DH 搬送
32.10/12 沖縄県 女 30 1 搬送 2 本目に体調異変を伝え意識不明 船上で CPR DH 搬送
33.10/12 沖縄県 男 28 1 搬送 大深度水底で呼吸不全となり急浮上 DH 搬送 再圧治療
34.10/19 沖縄県 男 65 1 死亡 SC 潜降直後に潜水機材故障で誤嚥 心肺停止 搬送
35.10/20 沖縄県 女 20 1 救助 SC 講習潜降直後に誤嚥、意識朦朧状態で救助搬送
36.11/04 沖縄県 男 51 1 死亡 SC 海面に急浮上し意識朦朧 CPR 実施 診療所に搬送
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37.11/30 静岡県 男 70 1 死亡 SC 水中で意識朦朧から意識不明 心肺停止状態で救助
38.12/26 沖縄県 ダイビング船が座礁 乗員乗客 24 人全員救された 気象急変
39.12/28 タイ 男 54 1 死亡 SC 現地のダイビングツアー参加中に死亡 原因不詳
2024年潜水事故 ( )内は2023年潜水事故
スクーバ 件数 死亡 救助・入院 行方不明
ファンダイビング 39件(30件) 21人(15人) 16人(24人) 1人(0)
講習 6件 (1件) 3人 (0人) 3人 (1人) 0人(0)
体験ダイビング 5件 (3件) 4人 (1人) 2人 (2人) 0人(0)
50件(34件) 28人(16人) 21人(27人) 1人
2023 年は34件だったが、2024 年は50件と増えたことが判った。図表に表したよう
にファンダイビングは39件(30件)、死亡21人(15人)、救助・入院が16人(2
4人)、行方不明が1人(0人)。講習では6件(1件)、死亡3人(0人)、救助・入院3
人1人)。体験ダイビングでは5件(3件)、死亡4人(1人)、救助・入院2人(2人)だ
った。
2024 年のスクーバダイビング、レジャーダイビングでの事故件数が、50 件と前年より
も多くなったことが判明。とくに講習と体験ダイビングでの事故が多くなっている。講習
中の事故もあるが、スクーバダイビング前の体慣らしや泳力検定時に死亡事故が報告され
た。講習や体験ダイビングを受講する前にはメディカルチェックの問診票への記入と年齢
によっては診断書の提出が義務付けられている。
体験ダイビングでの死亡事故では、潜水を開始してから短時間に体調不良を訴えた、イ
ンストラクターが対処している最中に心肺停止状態に陥り救命処置を実施したが意識不明
呼吸停止状態で医療機関に搬送されるが、救命に至らなかった事例も報告された。
和歌山県で 8 月 4 日に子供と父親の親子二人で体験ダイビングに参加。水中でロストし
てしまい発見したが、父親は心肺停止状態だったが、救命にいたらなかった。15 歳の息子
は意識朦朧状態で救助され救命した。結果は、51 歳の父親が死亡、15 歳の息子さんは助
かった事例があった。
沖縄では、ファンダイビングツアーで 30m を超える反復潜水の結果、体調不良を訴えた
が、すぐにレスキュー曳航せずに安全停止、船まで自力で泳がせた結果、船上にて意識不
明呼吸停止状態に陥った。救命処置が実施されたが医療機関に搬送された時点で低酸素脳
症状態だった。医療機関にて蘇生対応したが死亡した。高齢者、二日間を大深度潜水の反
復、事故者の持病と服薬、酔い止め服用等の影響が体調不良の原因だったことが推察され
た。引率ガイドが体調不良を訴えた段階で自力ではなく曳航していれば事故者の容態も安
定していたかも可能性も排除できなかった事案があった。
大深度潜水で 40m 付近の水底にて写真撮影、撮影に熱中し過ぎて過小換気。カメラのシ
ャッターを押す際に呼吸を止めることが重なったことで大深度にて呼吸困難となって急浮
15
上し、医療機関に搬送され再圧治療を受けた事例が報告された。大深度潜水でのレギレー
ター呼吸の深く、ゆっくり呼吸する原則を怠ったことで過小換気となり、呼吸困難となり
急浮上した。この潜水ではセルフダイビングではなくガイド管理下だった。幸いにも再圧
治療で社会復帰できた。
スクーバ潜水での事故では、水中ロストや大深度での連続した反復潜水の判断ミス等が
指摘されている。また、ガイドダイバーがゲストダイバーの管理を怠っていたのではと懸
念される対応が事故に繋がっている。急浮上への対応が遅れてゲストダイバーが飛び出し
た後にガイドが後追いで浮上した事案。インストラクターやガイドの資質として管理能力
が低くグループコントロール能力、過度にダイブコンピュータへの過信、曖昧な潜水計画
と思われる事故が発生している。実際に起こり得る事案に対する対処法や未然に防ぐため
に知識や経験が乏しいのではないかと思われる。事故事例検証会を開催することも有効な
手段と考えて、自主的に安全対策のための各種トレーニングに参加を促しているが、なか
なか自分だけは大丈夫だという自己過信の体質は抜けない。
ダイバー自身の体調管理については、定期的に健康診断を受診して体調管理を行うこと
が推奨されている。ダイビングサービスは、ホームページにサービス提供を受け入れる側
として健康状態の把握を呼び掛けている。健康上不安がある場合は、医療機関からの診断
書類の提出を促している。高齢者へのダイビングサービス提供を実施しない旨を告知して
いる場合もありました。インストラクターやガイドは職業として潜水士扱いとなるので法
律的には定期的に健康診断を受ける必要がある。が、実際には受診していない例もあると
言わざるを得ない。
ダイバーの高齢化が指摘されている。インストラクターやガイド、一般ダイバーも高齢
化しているので、身体能力の低下を意識する必要がある。ダイバーの健康状態の把握、年
齢や体調等から講習やファンダイビングでの運動強度、残圧管理やナイトロックス潜水の
推奨、潜水計画、生活習慣病等について再度、検討すべき時に来ている。インストラクタ
ーの知識として人体生理学病態生理学や解剖、医学的な知識については再構築の必要性を
強く感じている。
現場に医療用酸素が配備され、救命救護活動の中で有効に活用した事例が報告されてい
る。循環器系、呼吸器系が原因での潜水障害が発生した場合は医療用酸素を現場で活用で
きることが望ましい。そのために医療用酸素の取扱いの講習も実施しているので是非とも
水辺活動の関係者は受講をより強力に推進したい。また、地域ぐるみで救助体制を構築し
て積極的に救命救護活動を実践している組織も活動を展開して、救命に効果を上げている。
筆者が所属している恩納村マリンレジャー協会では加盟店のインストラクターに蘇生法、
救助法、医療用酸素供給しての蘇生法等のトレーニングを義務化している。
潜水直後に体調不良を訴えて浮上するが意識不明、呼吸停止状態に陥る事例が多数報告
されるようになった。各潜水指導団体では浸漬性肺水腫への対策について安全セミナーで
告知している。
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3.おわりに
2024(令和7)年は、潜水事故および事故関連での責任追及と損害賠償請求につい
ても報道されるようになりました。レジャーダイビングでのスクーバダイビングでのファ
ンダイビングおよび講習での潜水事故が急増した。漁労潜水では高齢者の死亡事故も多発
したことが判った。潜水事故後の救命救助対応では、呼吸障害が発生することで短時間に
心静止状態となり、酸素循環停止した結果での低酸素脳症を早期に現場で医療用酸素を用
いての救急蘇生対応が必須であることが明確となった。
これらの潜水事故に伴う諸問題の対応策として、一社)マリンレジャー振興協会のご尽
力でダイビングを含むマリンレジャーでの安全対策(救助救命処置)の映像化と公開、そ
れに医療用酸素関係の普及活動を積極的に開始する動きが始まった。筆者も微力ながら参
加します。
また、沖縄県内での漁労関係(モズク漁)での現状調査を併せて東京慈恵会医科大学お
よび久留米大学が実施する現地調査研究にも協力します。
資料作成・文責:2025(令和7)年4月22日(火)
国政潜水教育科学研究所 潜水救急ネットワーク沖縄
代表 村田 幸雄
八丈島アクアトリップダイビング
代表 服部克彦