『海辺のカフカ』に次のような箇所がある。文脈が必要なので、長く引用するが、一部省略がある。
その中に三度「うなずく」が出てくる。その下に英訳を付す。上がアメリカ版、下がイギリス版である。
最後の「うなずく」の直前の段落にも英訳を付す。
「この前、自分は特殊な人間だと言ったのはそういう意味だったんだね」と僕は言う。
「自慢するわけじゃないけれど、僕の表現が決して誇張じゃなかったことはわかってもらえたよね」
僕は黙ってうなずく。
I nod silently.
I nod.
「ときどき僕自身にもなにがなんだか理解できなくなることがある。僕はいったいなんなんだろうってさ。ねえ、僕はいったいなんなんだろう?」
僕は首を振る。「ねえ大島さん、そんなことを言えば、僕にだって自分がなにかはわからないんだよ」
「アイデンティティーの古典的模索」
僕はうなずく。
I nod.
I nod.
彼はカウンターの上に置かれていた長い尖った鉛筆を手に取り、それを眺める。その鉛筆は彼の身体の延長線上にあるもののように見える。
「このことは君になるべく早い機会にうち明けておいたほうがいいだろうと思っていたんだ。誰かほかの人から聞かされるよりは、僕自身の口から直接伝えて起きたかった。だから今日はまあいい機会だった - ということだよ。あまり気分がいいとは言いかねるけれどね」
But I guess there’s not much I can do about it.” He picks up a long, sharpened pencil from the counter and gazes at it as if it’s an extension of himself. "I wanted to tell you all this as soon as I could, directly, rather than have you hear it from someone else. So I guess today was a good opportunity. It wasn’t such a pleasant experience, though, was it?”
僕はうなずく。
I nod.
I shake my head.
最後の「僕はうなずく」がアメリカ版ではI nod、イギリス版ではI shake my headと訳されている。これは、英米差ではなく、イギリス版は、アメリカ版の訂正か?
日本語の「はい、いいえ」が英語でそれぞれnoとyesに対応する場合があるということはよく知られているが、「うなずく」にnodとshake one's headがあり、それもyes,noと同様に、質問に対応するはずである。
その中に三度「うなずく」が出てくる。その下に英訳を付す。上がアメリカ版、下がイギリス版である。
最後の「うなずく」の直前の段落にも英訳を付す。
「この前、自分は特殊な人間だと言ったのはそういう意味だったんだね」と僕は言う。
「自慢するわけじゃないけれど、僕の表現が決して誇張じゃなかったことはわかってもらえたよね」
僕は黙ってうなずく。
I nod silently.
I nod.
「ときどき僕自身にもなにがなんだか理解できなくなることがある。僕はいったいなんなんだろうってさ。ねえ、僕はいったいなんなんだろう?」
僕は首を振る。「ねえ大島さん、そんなことを言えば、僕にだって自分がなにかはわからないんだよ」
「アイデンティティーの古典的模索」
僕はうなずく。
I nod.
I nod.
彼はカウンターの上に置かれていた長い尖った鉛筆を手に取り、それを眺める。その鉛筆は彼の身体の延長線上にあるもののように見える。
「このことは君になるべく早い機会にうち明けておいたほうがいいだろうと思っていたんだ。誰かほかの人から聞かされるよりは、僕自身の口から直接伝えて起きたかった。だから今日はまあいい機会だった - ということだよ。あまり気分がいいとは言いかねるけれどね」
But I guess there’s not much I can do about it.” He picks up a long, sharpened pencil from the counter and gazes at it as if it’s an extension of himself. "I wanted to tell you all this as soon as I could, directly, rather than have you hear it from someone else. So I guess today was a good opportunity. It wasn’t such a pleasant experience, though, was it?”
僕はうなずく。
I nod.
I shake my head.
最後の「僕はうなずく」がアメリカ版ではI nod、イギリス版ではI shake my headと訳されている。これは、英米差ではなく、イギリス版は、アメリカ版の訂正か?
日本語の「はい、いいえ」が英語でそれぞれnoとyesに対応する場合があるということはよく知られているが、「うなずく」にnodとshake one's headがあり、それもyes,noと同様に、質問に対応するはずである。