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村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

「シンドローム」と「ヒッポドローム」

2015-05-28 17:51:02 | ことばの意味を実感する
「シンドローム(syndrome)」という語はよく耳にし、その訳語が「症候群」であることも知られているのですが、実はその意味がよく分かっていないと言う人が多いようです。知ったかぶりで使う人が多いのかもしれません。こういう時には語源を考えましょう。頭のsynは「同じ、一緒」の意味です。「シンクロナイズド(synchronized)スイミング」という競技がありますが、「シンクロナイズ」は「クロノ」が「時」を表すので「時を同じくする」のような意味です。さてdromeですが、これは「走る」の意味です。そこで「シンドローム」は「一緒に走る」のような意味を持ち、そこから「多くの人が同じようになる」ことを表すようになり、それに「症候群」と言う語を当てたのです。
 英語にはまた、日本語には入っていませんがhippodromeという語もあります。今の英語ではhippoは「カバ」を表すので「カバが走る」のような意味に取られるかもしれませんが、実はこれは古代ギリシャローマの「競馬場」のことです。なぜ「馬が走る場所」なのかということですが、「カバ」を漢字で書いてみてください。「河馬」ですね。「河馬」は英語でhippopotamusと言います。前半のhippoは実は「馬」のことなのです。そして後半のpotamusは「河」の意味です。くっつけて、順番は逆になりましたが、「河馬」が完成します。ところが、今の英語はなんと前半だけで「カバ」にしてしまったのです。もとの意味は一般の人にはわかりませんからね。ちょうど、日本語で「サンドイッチ」から「サンドする(=はさむ)」を作り出したようなものです。「サンドsand」はどう考えても「砂」です。