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歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【歌舞伎】歌舞伎座 十二月大歌舞伎 第二部・第三部 2020年12月

2020-12-20 21:46:52 | 歌舞伎
十二月大歌舞伎
歌舞伎座
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◆第二部 心中月夜星野屋

ライトな一幕。
リズムよく、時事ネタと楽屋オチで、今年の笑い収めナリ。

猿弥さんがおっかさん、
今まであまり見なかったかも。思えば意外。

騙し合いの重なり合いが妙味な脚本ではありますが。
おたかと星野屋は根っこのところの相互信頼が徹底的に「ない」設定なのが、
心からは笑えない要素だったりはしたかも。
ググったWikiによると元禄11年(1700年くらい)ということなので、
当時はお店の旦那と囲い女に対して、庶民の突き放した笑いを狙ったのか、
庶民にもそういう関係性の当事者感があったのか。

◆第三部 傾城反魂香 土佐将監閑居の場

このキャスティング、ども又、とても新鮮。

今回、勘九郎さんの又平は、吃音以外はなんら欠けたところがない、
ということが強く伝わってきた。
吃音が唯一絶対的な瑕疵であることにより絶望は殊更深いものになる。
その印象を強く増幅するのが猿之助さんのおとくで。
母性にも似た添い方に加えて、このおとくは、知が冴え冴えと冴えている。
又平の才に強い確信をもっている。

解説にある「心温まる舞台」という表現は確かにその通りなのだけれど、
確信する真実を手放さず目標に至る、現代的な空気があったと思う。

鶴松さんの土佐修理之助、團子さんの狩野雅楽之助がまた、
きりきりと爽やかによろしくて、歌舞伎は続いていくのだなあと
また楽しみができた。

(2020.12.20)


欄外:
中1.5時間の4公演を全部観るのは、個人的にスケジュール調整が
けっこう厳しくて、今回もチケット取ってたけど全部は行けませんでした。
ほんとうにごめんなさい。
演者さんにも、私が取ってた所為で席が取れなかった人にも。
来月は3部型になるようなので、皆勤を取り戻す…。


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