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【読書】ノヴァセン

2020-08-10 21:26:28 | 読書記録
「ガイア理論」は聞きかじり程度だったので、
とりあえず、ちゃんと理解したくなった。

主張、8割は腑に落ちた。

そうかもしれない。

昨今顕在化が著しい、ヒトの活動による地球環境への影響ですら、
ヒトが生存・拡大をする上で起こるべくして起こっているような気が
し始めていた。
でも、ロールバックはどこまで戻せばいいか分からないし、
そもそもロールバックは無理じゃないかと、新型ウィルスへの対処を
見ていて思ったり(最善の衛生は、器具を都度都度使い捨てることなり)。
…そうか、戻すという発想には無理があったのだ。

進むのだ。

原状回復ではなく。

ガイアの温度をを上げないように。(すごく明快なビジョンだ)。

量子力学や多元的な思考(のようなもの)はヒトの脳では追従できなくても
"超知能"なら解決可能のはず、という想定も、そうかも知れないと思う。

"超知能"として描かれているものは、シンギュラリティ仮説で言われる
新たな知能と違いはないと思う。重なっている。
違うのは、前者が自身とヒト含め生命が存在可能な温度を保つことを
第一義にしていることだろう(と私は解釈している)。
後者が自己増殖を第一義にしている(と私は解釈している)のに対して。
でも、生じうる未来は、"超知能"のふるまいは、ヒトへの影響は、
どちらからでも同じところに行き着くかもしれない。
そのこと自体がガイアのホメオスタシスの一現象だとしても違和感はない。

腑に落ちなかった2割は、
"超知能"が完全自律選択モードに入った時の、
生存の継続に関する根源的な欲求は、一体どこから来る何なのかということ。
それをヒトがプログラミングで仕込むのだとしたら、そこには
自然(じねん)の生にない、パラドックスを孕むのではないだろうか。
一方それが自律で生じた何かだとしたら、有機生命体の根源的生存本能と
違うものになる気がしないのだ。

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ノヴァセン 〈超知能〉が地球を更新する
ジェームズ・ラヴロック 著
NHK出版 2020/04
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818152020.html

(2020.8.10)
備忘追記:
そうそう、"超知能"が席巻する「ノヴァセン」に至ったとき、
ガイアの温度を維持するために、このガイアを成している無数の、
それこそ無数の微生物含めたエコシステムに代わる
完全制御の管理システムを入れたりするだろうか?とも思った。
今のシステムで対処する方が効率的ではなかろうか。直感的に。
(ラヴロック先生は直感重視だから許してもらおう)。
だとするとこの有機生命体によるエコシステムの、生かすものと
喪失していいものと、どこで線を引くのだろう。
きれいな線引きができないのではないかな。一体だし。

総とっかえして完全制御になるとしたら、
ガイア全体が人工島みたいな感じになるのかしら。
そうなると、別に地球上になくてもいいんじゃないか?…なるほど、
だから宇宙に出ていく可能性があるのか。(違う??)