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【読書】合成テクノロジーが世界をつくり変える

2020-09-28 07:51:44 | 読書記録
冒頭のオヒョウを釣り上げる場面からヒトの科学技術ベースの営みが
染みわたっている地球環境に視野をパンと広げさせる。
ミクロとマクロを行ったり来たりは、この本の基調かもしれない。

列挙される合成テクノロジーとして、
ナノ素材、分子製造、DNA編集と人工生物、管理された移転、
都市がもたらす生物の変化、
温暖化対策としての太陽放射管理と二酸化炭素除去、
など。

各々の技術動向と倫理的側面での議論状況。
各分野で著名な書籍の引用に分かるように、
これ1冊読むと、各方面の書籍(門外漢でも読めるくらいの)を
それぞれ一通り読んだくらいの情報が得られる。

一方でポストナチュラルにおける「エコモダン」思考を引いて、
技術を取り込んでいく上での論点を提示している。

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合成テクノロジーが世界をつくり変える 生命・物質・地球の未来と人類の選択
クリストファー・プレストン 著
インターシフト 2020/07

「「自然」という幻想」は私も読んで、管理することへのコミットは
理解できたけれど。
管理するとはすなわち、管理範囲というスコープの中で整合性を保つこと。
とすると「ノヴァセン」で思ったような、整合の限界が推察される。
"管理者"の視界から外れているところもあまさず繋がっているから、
管理の枠外から管理を転覆するような何かの伝播は常に起こりうるのではないか。
自然由来のウィルスが都市に到達したのと少し似ている。

(2020.9.27)

20200928追記
一晩寝て起きて思い浮かんだ。
整合可能な対象を特定してその枠の内側を管理するとき、枠内の代謝で
排出されるものが枠を通じて外とやりとりされる(細胞と同じだ)。
枠内が平衡なうちは生命は続く。代謝が実行可能なのは外側が排出物を
処理可能な環境が必須となる。
ゆえに、枠=都市(人工的環境)とすれば、都市内の代謝による排出物が、
都市外の環境で許容可能(地球由来の循環に吸収可能)な限り、
都市の生命は保たれるはずだから、その量を算定できればその範囲で
人工環境は維持し続けられるかな。外の環境を管理するというのは
無茶な気がするから。算定値の精度は問題だけど。いまのCO2排出削減の
目標値と似た感じか。信憑性議論ありつつも実行のベースにはなりうる
のではないか。
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