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ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【映画】国宝

2025-06-06 23:08:17 | 映画
吉沢・横浜両氏の渾身に圧倒され。

15歳から65歳、入門から国宝まで、
10代の艶々、20代の強か、30-40代の荒廃、60代以降まで、
顔・首・手先まで、肌合いの変化。

皺に重ねる白粉と紅の、劇場画面いっぱいのアップが
美しいと感じられることが、この映画の真骨頂ではないでしょうか。

様々な劇場、実在の劇場も含めたロケハン、記憶を探る楽しみ。

物語の重要なシーンとして折々差し挟まれる有名演目。
舞台場面の再現性への超絶努力がすごい。

終始、吉沢氏の眼ヂカラ。

普段みることの叶わない、舞台奥から客席への視点が新鮮。
早や替わりの引き抜きなど後見、花道、すっぽん・奈落、楽屋。
立ち廻り、鳴り物、音曲がた、道具がた、付き人のかた、
舞台を支える、あらゆるスタッフが常にさりげなく視界に入る。

個人的に観客として歩んできた30年超が、物語の年譜と重なっていて、
劇中のエピソードの断片たちに、人物・イベント・境遇に関する
リアルや風聞を想起させられたり。
(ゆえにこれがSでなくTである理由を察してみたり)。

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公式サイト:https://kokuhou-movie.com/

襲名口上と道成寺鐘裏の2シーンは…
演出上のこととは理解しつつ、ないわ感もあり。
コロナ関連を除いて、例えば歌舞伎座なら毎月20日超の上演で、
舞台上での大事故がほぼ起きていない(体調悪かったら代役立つし)
というのは、大変な管理能力なのかもしれないと改めて思いました。

(2025.6.6)