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Feelin' Groovy 11

I have MY books.

ねじまき鳥

2005-03-07 | 村上春樹
  近所の木立からまるでねじでも巻くようなギイイッという規則的な
  鳥の声が聞こえた。我々はその鳥を「ねじまき鳥」と呼んでいた。
  クミコがそう名づけたのだ。本当の名前は知らない。
  どんな姿をしているのかも知らない。でもいずれにせよねじまき鳥は
  毎日その近所の木立にやってきて、我々の属する静かな世界のねじを巻いた。
                     (「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹著)


私の近所でもその鳴き声はした。
隣の土手がまだ整えられる前、まだ木々が生い茂っていた
その奥から決まってギギイーギギイーって聞こえてきた。
どう考えても動物園でしか聞けないようなその声に
小さい頃から興味を持っていたが、姿を見たことはなかった。

そうか。ねじまき鳥だったんだ。

私は「ねじまき鳥クロニクル」を読んでそう思った。

これは子供時分の話というわけではない。
この本を読んでいた頃もまだ、
部屋でゆっくりと過ごしている休日なんかには聞こえていたのに。
いつからだろう。
最近その声が聞こえてこない。
その声をしばらく聞いていない。