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Feelin' Groovy 11

I have MY books.

カフカを

2008-06-09 | 
  
  それから、告白というものは、
  それが取り消されるときにはじめて
  意味がはっきるするものですね、とも言った。

 (【物語『ある戦いの記録』からの二つの対話】より
       「祈るひととの対話」カフカ著 新潮社)


この本でいうはっきりしたこととはなんだろうと
ずっと考えていた。

まるで「単純な出来事」に意味をつけたがることへの皮肉?

  


絶景ってのは・・・

2008-05-21 | 
詰まるところ「パノラマのごとき絶景」というのは、
遠くから見ている限り見事という景色のことなのだ。

本ではこのように表現されている。

  パノラマのごとき絶景-----というのが
  電話で物件説明をしたときの不動産屋の台詞だった。
  家の正面にはぼさぼさに茂った芝生の庭があるが、
  こうなったのは私が手を抜いているからだ。
  それから砂利敷きの長い車まわしの道があって、
  これが表道路に通じている。
  道路の向こうには山々の屋根が見える。
  詰まるところ「パノラマのごとき絶景」というのは、
  遠くから見ている限り見事という景色のことなのだ。
  (『象』より「ブラックバード・パイ」
   レイモンド・カーヴァー著 村上春樹訳 中央公論新社)


山を登っているとき思ったものだ。
外見が好きな槍ヶ岳。
でも実際その場に行くとただのゴツゴツした岩や石でしかない。
当たり前のことであるけれど
今登っている山を見ることはできないんだと。


空間だけでなく時間も同様ですね

  「遠くから見れば、」と僕は海老を呑み込みながら言った。
  「大抵のものは綺麗に見える。」
     (『1973年のピンボール』村上春樹著 講談社)

上記はコチラでとりあげました。


夢をかなえるゾウ

2008-04-23 | 
  でも、なんか今の俺、すげー普通。
  すげー普通の会社員。
  「普通が一番難しい」なんていうけど、嘘だね。
  だって多いから普通なんだよ。
  多いってことはそれだけ簡単だってことだろ?
  (『夢をかなえるゾウ』水野敬也著 飛鳥新社)

この『夢をかなえるゾウ』は
ガネーシャ(インドの象の神様)が
自分を変えたい主人公に夢をかなえる方向へ導く過程がつづられている。

啓蒙的な内容のものは読んでいるうちに
なにかとツッコミを入れたくなることが多いが
この本はその都度主人公が反発してくれるので
読みやすかった。

中には29の教えが登場する。

どの部分が印象に残ったといえば
教えには全く関係ない最初に引用した箇所。

だって多いから普通なんだよ、ってとこ。

妙に噛み締めた

この作者のブログ→「ウケる日記

記憶のひとつ

2008-04-17 | 
本を読んでいると
とっくに忘れてしまっている頭の隅っこの記憶が
ときどき顔を出す。

今回はこれで。
妊婦が受講する「プレママクラス」の内容の一節。

  「さあみなさん、輪になって手をつなぎましょう」と
  年配の女性が言う。たじろいでいるのは私だけで、
  みなさっとたちあがり、輪を作る。おずおずと私も輪に加わった。
  「目を閉じて、そして空想してください。これからあなたがたに訪れる、
  最高の瞬間をイメージしてください」
          (『予定日はジミー・ペイジ』角田光代著 白水社)

なんかこういうこと大学であったような・・・
そうそう、メンタルヘルスの授業。
間違いなくこういうことに私はたじろぐ人種である。

メンタルヘルスの授業のときは
(そんなこと言われて誰かやるのかぁ?)と周りを見渡すと、
みんな目を閉じて指示に従っているではないかっ!!
でもなんだか洗脳されそうな気がして
心の中で抵抗していたことが思い出された。

なんてみんなは素直なんだろう、
そしてなんて私は素直でないんだろう、と。

こんな15年前のどうでもいい記憶まで大事にしまっている、
脳ってスゴイな。。

ところであの授業では
何を思い描けと言っていたのか
肝心のところが思い出せない。
必須科目だったと思うけれど、
誰か思い出したら教えてください


日本語ってスゴイ!

2008-03-21 | 
これは作者の手法であって、
  自分の記憶力が悪いだけだと、思いたくない。


まず 第1章の「1」

   高槻倫子遺作展
   (中略)
   高槻倫子。たかつきのりこ。知らない名前だ。

と高槻の名が登場。

その12ページ先の「2」

   「あの----、わたくし、タカツキと申しますが、」

と若い男が主人公の勤め先に訪ねてきたとき、まったくピンと来なかった。
         
その話の雰囲気に任せて
(誰が訪ねて来たんだろう???)と思ってしまった私は
数行先まで読んで(あれ?もしかしてこの名字・・・)と気づき、
ストーリーの中で完全に明かされる前には
(ああ、この男は・・・)と、誰なのか分からせる手法。

漢字で書いて、ひらがなで書いて、
重要なところでカタカナを使い、
ズバリと分からせずじわじわと読者に気づかせる手法。


日本語ってスゴイ!

時間がなくて筋ばかり追うように本を読んでいた頃に比べて
じっくり楽しめるようになってきたわぁ~