私の読書記録

ミステリー、サスペンス、アクション
ファンタジー、SF、恋愛、ハートフル
社会派、時代物、何でも読みます

黒猫の小夜曲 / 知念実希人

2024年04月11日 | 読んだ小説
                    


この世に大きな悔いや未練を残し地縛霊となって縛られて浮かばれない魂を救うために、
我が主様(神?)から地上に使わされた天使or死神?のような霊的存在が、黒猫の姿を借りて
浮かばれない魂達を成仏させていく。

まずは記憶喪失の若い女性の魂を、交通事故で昏睡状態の別の若い女性の体に一時的に入れて蘇らせ、
黒猫の飼い主及びパートナーとして話の中心に置き、その後に妻に寄り添う製薬会社の会長の魂、
殺人事件の犯人を逮捕できないまま病死した刑事の魂、恋人の酷い裏切りに遭った生きている女性と
救っていく中で、それらの人達が、製薬会社に関する事件に繋がっている事が明らかになっていく。

第三章の話で、アフリカにボランティアに行った男が、現地でタトゥーを入れてエイズになるのだが、
周囲でエイズが蔓延しているような所で、タトゥーを入れるような海外ボランティア要員なんているわけ
ないだろ。 先進国の人間ならそれなりにエイズの知識はあるし、ましてやボランティアでアフリカに
行くのなら事前にレクチャーも受けていてより注意をして当然のはずだ。 それでエイズになるような
アホ過ぎる男に何の同情も湧かなかった。

そして、そのアホ過ぎる男が恋人を諦めさせるために、わざと酷い言葉を浴びせて裏切ったように装った
のだが、それを言われた方が、どれほど深く傷つくのか考えないのだろうか。 そんなものは本当の
愛ゆえの行動なんかでは決してない。 こういう自分勝手で独りよがりな男が一番性質が悪い。 

そして、事件の真犯人は、その人物が最初に登場した時から、こいつが犯人だろうと察しがついていた。
大体、製薬会社絡みの殺人事件って画期的な新薬の利権が原因だろうと想像できるし、それを踏まえた
上で他に怪しい人物なんて誰もいなかったから(笑)。 これまで知念実希人の作品を本作も含めて、
他にも「螺旋の手術室」「仮面病棟」「屋上のテロリスト」と4冊読んだが本作が一番面白かった。


最新の画像もっと見る