私の読書記録

ミステリー、サスペンス、アクション
ファンタジー、SF、恋愛、ハートフル
社会派、時代物、何でも読みます

置き去りのふたり / 砂川雨路

2024年07月06日 | 読んだ小説
                    

☆☆
みちかと太一と空人は大学の親友同士だった。 そして、みちかと太一は、それぞれ密かに空人に恋心を
抱いていた。 しかし、ある日突然、空人は恋人と謎の心中自殺をしてしまう。
残された2人に、空人が自殺の直前に書いた2人宛の手紙が届くが、そこには「ふたりをいつまでも恨ん
でいる」と書かれてあった。 親友であり密かに愛する人の突然の自殺に、衝撃と共に喪失感を抱いてい
る上に、親友だとばかり思っていた相手から予想もしない言葉を浴びせられ戦慄し混乱する2人。

みちかと太一は、空人の自殺の真相と、自分達を恨んでいた理由を知るためにいろんな人を訪ねて訊いて
回るが、そこで明らかになってきた事は、空人には2人に見せていた顔とは違う別の裏の顔があり、
性悪で非常に嫌なクズの一面があるという人間だった。

私には、どこまでが友達で、どこからが親友なのかよく分からないが、たとえ親友同士でも相手にすべて
をさらけ出す必要もないし、そんなのは世間では普通にいくらでもある事だと思う。
でも、何で空人の弟は、みちかと太一に空人の遺言の手紙の最初の1枚だけ送ったのだろうか。
そんな事をしたら2人は困惑して絶対に調べ始めるに決まっているし、自身の犯罪を隠し通したいのな
ら、2人に手紙なんて見せなければいいんだし。 まぁどちらにしても弟の共犯はいずれ警察に暴かれた
だろうと思うけど。

非常に読み易い文章で、みちかと太一の心情もよく表されていてなかなか面白かったが、私なら空人の
ような人物と親友同士だった事を恥じて黒歴史として封印してしまいたい所だが。