サッカー日本代表W杯出場決定、予選の苦しみを本大会での糧に

2005-06-09 02:54:02 | Weblog
 サッカー日本代表は8日、ワールドカップ最終予選で北朝鮮と対戦、柳沢と大黒がゴールを決め2-0で勝ち、来年のドイツで行われる本大会の切符を手にした。

 タイ・バンコクであった無観客によるゲームは、日本代表にとって初の経験だった。しかも中田英、中村、三都主は累積警告のため出場できない状態。小野は骨折で既に戦列を離れている。引き分けでも本大会出場が決まる計算でも、決して万全の状態で試合に臨める環境でなかった。

 その影響があってか、前半はこう着したまま終わる。しかし後半は一転して日本ペース。そして後半28分に柳沢が相手のクリアミスをボレーでゴール左に決めて先制。終了間際の同44分には、大黒が相手GKをかわして無人のゴールへ流し込むダメ押し弾。今回の最終予選で唯一、安心してみていられる試合内容だった。

 今年2月に火ぶたを切った最終予選で、北朝鮮戦はロスタイムに大黒が決めた勝ち越しゴールで劇的な白星発進。イランに乗り込んでのアウェー戦で敗北を喫し、ホームでのバーレーン戦では、相手のオウンゴールによる棚ボタ勝利があった。そして今月3日のアウェーのバーレーン戦は、小野の代役だった小笠原の値千金のゴールで本大会出場へ王手をかけた。

 主力の欠場者が多い中で、初めての快勝。皮肉といえば皮肉だが、日本の層の厚さと、ここ一番での力強さを感じた。今日の勝利で予選によるドイツ行き決定が世界でトップというおまけつき。とはいえ、苦しみながら勝ち星を積み上げてきた経験はきっと本大会でいきるはずだ。

  前回のW杯出場国を調べてみると、優勝したブラジルにしろ、準優勝だったドイツにしろ予選では厳しい戦いを経験した。ブラジルは南米予選で、一時は予選落ちも心配されたほどの苦戦ぶりだった。結局、トップのアルゼンチンから勝ち点13も離されての3位通過だった。ドイツもイングランドと同居した予選グループで終盤に失速。トップの座をイングランドに奪われ、プレーオフを戦う羽目に。ウクライナとの死闘を制して本大会に乗り込んだ。本大会3位に入ったトルコもプレーオフ組だ。

  一方、予選トップ通過は、本大会で悔しい思いをしたケースが多かった。南米ではトップ通過だったアルゼンチンが本大会では1次リーグでまさかの敗退。欧州組でも強豪ポルトガルをはじめ、ロシア、ポーランド、クロアチアが決勝トーナメント進出を阻まれている。前回優勝の特権で予選が免除されたフランスに至ってはゴール一つ奪えずに帰国した。

  このことを考えると、今回日本が苦しみながら予選を勝ち抜いたことは本大会での糧となるはずだ。精神的にたくましくなった選手たちをドイツで見るのが楽しくなった。