ラグビー日本代表に必要なもの

2005-06-01 00:11:19 | Weblog
 ラグビーのスーパーカップ決勝が5月29日、秩父宮ラグビー場であり、連覇を狙う日本はカナダと対戦したが、10-15で敗れた。守備はしつこいぐらいにタックルで相手の突破を止めた。攻撃でも、相手に突っ込むのでなく、スペースを突く「フランス流」と遂行する意図は理解できた。それでも負けた。足りないものとは何だったのか。

 私は以前、日本代表は2002年度の早稲田大学を目指せと、このブログで書いている。この日の試合を見て、その思いが一層増した。

 あの年、大学選手権決勝で早稲田が関東学院を倒した原動力は華麗な展開を見せたバックスである。しかし、その展開を支えたのが、羽生憲久(当時4年)、川上力也(同3年)の両フランカーだった。味方がタックルを受けて倒れる。もちろんタックルを受けた選手はボールを離さないと反則になる。しかし、ただ離せば相手にボールが渡る。そこへ、この2人がすばやくフォローへ入る。時には味方選手に覆いかぶさる相手を剥ぎ取るかのような力強さもあった。そして、そこへスクラムハーフの田原耕太郎(同4年)が駆けつけ、バックスへボールを供給する。この一連のスピーディーな流れがあればこそ、相手の守備陣が整う前に、早稲田バックス陣の素早くグラウンドいっぱいの広さで高速展開する芸術が生み出された。

まず必要なのは、この献身的に動く2人のフランカー。しかし残念ながら、29日の試合では、フランカーのフォローが遅れ、なかなかスピードある攻撃を演出できなかった。運動量豊富なフランカーがいないままならば、「フランス流」などといっても「絵に描いた餅」で終わってしまう。

そして、この試合では日本代表のウイング小野沢、センター大畑が相手の隙間を突くステップを見せた。やみくもに相手に突っ込むのでなく、ステップで翻弄する姿勢は評価できる。しかし残念ながら2人のステップで、あまり前進できなかった。というのも、相手守備陣には、この2人が攻め込むパターンが分かりきっていたからではないか。つまり攻撃するための「引き出し」が少ないのだ。では「引き出し」を増やすためにどうしたらいいか。ヒントは前出の早稲田ラグビーにある。あの年のセンターには主将の山下大悟(同4年)がいた。彼はステップ、正面突破ともに力があった。タックルで止めるのに複数の人数が必要だ。となると、必然的に防御網に穴ができる。そこへ他のバックス選手が入り込むチャンスが生まれた。もちろん、山下を放っておけば彼が一人で持っていってしまう。

日本に欠けているのは、一人でも力づくで突っ込む力のある選手だ。大畑がセンターをしているが、彼はスピードを生かすべきで、正面突破のおとりにすべきでない。そこで求められるのは外国人選手となる。そこで必要なのがパーキンソンだ。彼はオライリーが六本木で不祥事を起こしたときの現場にいて、パーキンソン自身も器物破損をしたため、代表の試合2試合の出場停止となった。本来ならば、もっと反省させる必要があるが、チーム強化を優先させるならば、183センチ、97キロのベテラン(32歳)センターに期待するしかない。

 日本は今後、アイルランドとのゲームがある。一連の速い流れの中で、トライを量産できるシステムづくりへ本腰を入れなければならない。